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【連載小説】「恋するスピリチュアル」㉓~お姫様抱っこ、からの、ぐるぐる


出版のチャンスを失くし、私は失意のどん底にいた。
やる気もなくなり、今まで自分がやって来たことは、一体何だったのだろうと虚しさに襲われていた。

それから何度か、文学賞に応募をしてみたが、鳴かず飛ばずで、どこにも引っかからなかった。
私はますます無力感に苛まれた。

そんなある日、私はネットで、一つの公募に目が止まった。
それは、映画の原作本を募集するというもので、
ずっとシナリオの勉強をしてきた私にとって、
まさに打って付けだった。

ここに応募してみよう。
そうして、ダメだったら、もう諦めよう。

私はそう思った。

その頃の私は、五十目の前。
このままやり続けていてもいいものかと感じていた。
既に夢を追う年齢でもなかった。

いや、そうではないだろう。
どんなに年をとっても、夢を諦めない人はいるのだから。
本音を言えば私は疲れていたのだ。

これまで、マンガ家、シナリオライター、小説家と、子供の頃から様々に、目標を変えて頑張ってはきたが、とうとう刀折れ矢付きたという感じだった。

もう、歩けない…。
これ以上、無理だ…。
私は向かい風を一身に受けながら、よろよろと、一歩、また一歩と足を運ぶ旅人のようだった。いつ倒れてもおかしくはなかった。

けれど、書くことを諦めたら、私に何が残るのだろう…。
これからどうやって生きていけばいいのだろう…。

心のどこかでは、そう感じてもいた。

そんな漠然とした不安を抱えながら、私は最後の公募に備えるべく、
作品の手直しをはじめたのだった。


つづく

https://www.amazon.co.jp/dp/B0759VJ614




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