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夏のシャツはじめ

待ちに待ったシャツの季節がやってきます
さっと袖を通せば 自分らしくいられる服
………
お馴染みの方にも はじめましての方にも
多くの人に着てもらいたくて
たくさんのシャツをあつらえました

2024/4/20〜
「パラスパレス 夏のシャツはじめ」として
お店にはおすすめのシャツがずらりと並びます

手から手へ 糸から服が出来るまで
リレーのようなものづくりをご紹介
訪れたのは 兵庫県西脇市
シャツ生地<播州織>が有名な産地です

それではシャツの旅、はじまりはじまり。

今回は「あべこべグレンチェック」にスポットをあててご紹介します。

あべこべグレンチェック

◾️生地のデザイン


服つくりには、2つのパターンがあります
生地からオリジナルで服をつくる
②生地屋さんが作った生地から服をつくる

今回のシャツは①のパターンです。
色、柄、どこにもないブランド独自のものができあがります。

ただしとっても時間がかかるので、考えはじめるのは半年以上前であることも。

まずは、どんなシャツにしようかなあと
素材、柄、柄の入り方、デザイン、価格帯、時期などなど、あたまの中にあるものをアウトプットしていきます。
こんな、手のひらサイズの模型をつくることも。


デザインのアイデア源は、着物の柄や、季節の色、雄大な自然にふれた体験だったり、まるでデザイナーの人柄そのもの。

じっくり考えて、生地の企画がまとまると……

◾️生地屋さんにバトンタッチ


デザインが決まると、プロが糸の本数や素材を計算して、より精巧なシミュレーションをします。

紙のシミュレーション

シミュレーションをみて「よし、これでいこう!」と決めると糸の準備や、日程等の調整に入ります。

今回は桑村繊維の竹本さんに依頼をしました。
竹本さんは全体の流れを司る、監督のようなお仕事です。


◾️糸染め

まずは、糸を染める工程から。
西脇の豊富な地下水を汲み上げて染色に使っています。軟水なので染料と相性が良い水質です。

「もう少し濃く…、色みを黄み寄りにしたい…」しあがりを想像しながら調整をします。  工場には今まで染めた色のストックがずらり。

10万色のストックがあるとか!過去のデータは宝物です。

◾️糸加工(糊つけ 糸巻き)

染めたままの糸は、柔らかすぎて織るときに切れてしまいます。

糸にパリっと糊をつけて、織りやすくする工程です。

糸を織機にセットできるようにする作業=整経(せいけい)経はタテ糸の意味。
糊付けした後、タテ糸はビームという大きな筒に巻いていきます。

織る前の下準備が大切なんですね。

「大きなチェックは、糸巻き屋さん泣かせなんよ。、マジでこんな大柄やるんかーってね!」と話すのは整経担当の伊藤さん。

柄の繰り返しが小さいチェックに比べると、糸を切ってつなぐ作業が多くなるため、とっても手間なんです。
「普通の柄は1日に1本位は巻けるんだけけどね、大柄は1週間くらいかかっちゃうんだよね」

「当然コストも5〜6倍よ……。」

コストと納期の話になると、工場さんと私たちの間の立場である竹本さんはタジタジです。

「でもね、ここにはここの柄の良さがあるから。」

伊藤さんからの嬉しい一言でした。

伊藤さん

◾️織り

「シャトル織機しょっき」という昔ながらの機械で織っています。
シャトルとは、スペースシャトルにちなんだ名前で、ヨコ糸を通す時に、糸がピュンと飛んでいくことから名付けられました。

現代の高速織機と比べると、とってもゆっくり織るので、ほどよい「間」がうまれ風合いが柔らかくなるんです。

手元にある木の道具がシャトル。ヨコ糸をセットしています。

この織機は50年くらい前のもの。木の部品が使われているので、木と木がぶつかる独特の音が工場に響きます。

機械自体は新しく作ることが難しく、自分たちでメンテナンスしながら大切に使っています。部品が底をついてしまったら、使い続けることはできません。  

シャトル織機を新たに作ろう、という声が某巨大アパレルメーカーさんから上がったそうですが、車と同じく金型から必要なので、何万台と作らなければならず実現しなかったとか。

織機メンテナンス用の工具

織機修理用の部品や工具が並んでいます。左上のダンボールが揖保乃糸なのが西脇らしいですね。そうめんは播州の名産品です。


◾️生地の仕上げ


織った生地は、仕上げ加工へ。糸に糊がついているので、そのままだとパリパリです。

この状態を生機きばたといいます。

糊落としの洗いをかけるため、仕上げ工場に生地を運びます。

大きな機械。広い工場は端から端が霞んで見える遠さ。

ここは、生地をふんわりさせたり、毛羽を焼いてツルリとさせたりと、例えると生地にお化粧をするところ。付加価値の要となる現場です。

パラスパレスのシャツ生地は、糸そのものの風合いを活かすため、自然に仕上げています。

加工後、巻き取るときにも気を使います。チェックはゆがみが目立ちやすく、ゆがむと後の工程や洋服の仕上がりに影響するため、真っ直ぐになるように注意しています。

キズや汚れがないか、しっかり検品します。

ブブブーン!できた生地は縫製工場へ配送!

◾️型紙つくり

生地づくりと並行して、パタンナーが型紙をつくります。
デザイナーが描いた絵型をもとに、シルエットやディテールを作り上げます。その仕事はミリ単位。数字とラインと格闘します。

ブランドらしさやデザイナーの意図を汲み取り、たくさんの提案をしてくれるのもお互いの信頼があってこそ。服のかたちのデザイナーともいえる大切なお仕事です。

◾️サンプル作成


生地、型紙、釦などの準備ができると、洋服のサンプルを作成します。ここではじめてシャツの形になってきます。

そこから、デザインとかたちの修正をします。

ボタンのバランスを変えよう、丈を2センチ伸ばそうなどなど、スタッフが着用して、細かい直しを加えます。

OKが出ると、量産進行=お店にいきわたる数をつくる工程に進みます。

◾️裁断

柄がねらいの位置に入るように型紙を置いて裁断していきます。
チェック柄はゆがみがめだちやすいので、生地の仕上げの良しあしがここで影響してきます。
波打ちやすい「生地の耳」を使っているので、ずれないようピンチで挟んでいますね。裁断しずらい部分は、機械ではなく手で裁断しています。やり直しがきかないので、慎重に慎重に。

◾️縫製

1枚1枚、人の手で縫っています。針目(ステッチ)のサイズもデザインの一部でもあり、品質にかかわる大切なこと。縫う順番を考えたりと緻密な作業の積み重ねです。チェックは歪みが目立ちやすいので、より丁寧に作業が進められます。

◾️洗い・プレス

縫いあがった洋服は、洗いをかけます。その理由は……
ひとつは、自然な洗いざらしの風合いにするため。
もうひとつは、天然繊維は洗うと繊維が縮むことが多いので、お客様が買った後もなるべくサイズ感が変わらないようにするためです。

最初から少し大きめに作り、洗ったあとのサイズ感で仕上がるように計算して作っています。

アイロンかけ。ピシっと仕上げず、洗い感をのこしつつ、ラフに仕上げてもらっています。

◾️検品

仕上がると、洋服に問題がないかをチェックします。
寸法、縫い糸の色は合っているか、縫製はきれいか、釦が裏返ってないか……。
目を皿にしてすみずみまでチェックします。

OKがでると、工場から倉庫、全国のお店へと配送されます。

そうして出来たのがこちら、あべこべグレンチェックのシャツ。
格子の大きさがアンバランスな「あべこべ感」がたのしめます。

4/20より発売


シャツの旅いかがでしたか。
他にも夏に着たくなるシャツをご用意してお待ちしております。
オンラインストアはこちら↓
【4/22 追記】大変ご好評のため、オンラインストアの在庫が薄くなっております。実店舗にて販売中の商品もございますので、店舗までお問い合わせいただきますと幸いです。

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