八王子のストール
すぅ、と風が抜ける感覚。
初夏の首元にも、そんな心地よさをまとえるものができたなら。
この夏、涼しげなメッシュのニットストールをお届けするため、東京都八王子市のある工場にいってきました。
京王線に揺られて、車窓の景色はだんだんと変わっていきます。
駅を降りると、高尾山が「いらっしゃい。」と言ってるかのような近さです。
八王子は繊維の街
八王子は、桑都(そうと)と呼ばれる、生糸生産、輸出がさかんな地域でした。
桑は養蚕業には欠かせない、かいこのごはん。かつては八王子から横浜の港まで、輸出用に生糸を運んだ、絹の道という史跡も残っています。
生糸輸出で成功を収めた、豪商の屋敷跡を改装した「絹の道資料館」も、歴史を知るのに面白そうです。一般公開もされています。
今回ご紹介するストールに絹は使われていませんが、八王子はこのように生糸業を背景にもつ、今も繊維産業がさかんな街です。
いざ工場へ
いつもお世話になっている、工場さんと私たちを繋げてくださっている方に同行してもらい、車で10分ほど
「こんにちはー。」と戸を開けると、大きな音。たくさんの編機が稼働しています。
工場を訪れて、まず見せてもらったのが設計図。ニットの製品は、まず編み目の設計からはじまります。
幾何学模様がパソコンの画面に広がり、ベテランのニッターさんがパパパっ!とあざやかに操作をしていきます。
「忙しい時は、編み機を夜中じゅう動かすこともあるんですよ」そう話してくれたのは、この工場で働く青木さんです。
ニットは、ヨコ方向に編機が動いて編み目を形成していきます。
右へ左へと反復運動を繰り返すたび編み地がつらなり、機械の下の方からストールが出来上がってきました。
何かに使えないものか
機械に糸をセットする時に、最初に別の糸を引き込まなくてはいけません。
これは糸の案内役のようなもので、こっちにおいでと針の方へ引っ張っていく役割があります。
こちらのカラフルな糸の塊が、取りさった後の編み始めの糸で、捨て糸と呼びます。
色々な工場に行くたびに、捨て糸や生地の耳端が愛らしくて何かに再利用できないかなあと考えてしまいます。
編み上がったストールは……
つぎに、手まわしの機械をつかった「リンキング」という工程に入ります。
リンキングは、編み出しのスタートラインをほどけないように編み留める役目があります。
タタタタタ……と小気味よい音を立てながら機械を動かす職人さんの、無駄のない手の動きが印象的でした。
次に仕上げです。荒縫い後、枠にはめて四角の大きさを蒸気で整えてから不要なところをほどいていきます。
そしてまた丁寧に蒸気で仕上げをかけていきます。
やめられないのよ
見学の途中、青山さんは言いました。
「ニットって面白いでしょ?だから私、やめられないのよ!」
朗らかな笑顔でからりと話します。
一目一目、一枚一枚じっくりと作っています。そう物語るような青山さんたちの手。
丁寧なものづくりを続けてくれる職人さんの手から、私たちへ、そしてこのストールを見つけてくれたみなさまの手へ。ものづくりのバトンタッチのひとつなぎになれれば幸いです。
こちらのストール、ナナメに編み方と色が変えてあるので、動きがあり楽しい見え方です。糸使いにもこだわりました。2本の違う色を混ぜているのでニュアンスのある色合いになっています。
これからの季節にぴったりな麻素材です。涼やかな彩りをどうぞ。
ニットメッシュストール¥13,000+税/PPPM-1612B
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