岡山•倉敷より|い草のバッグ
夏らしさが日ごとにまし、よそおいも軽やかに。
Tシャツ、サンダル、帽子……。
さて、手もとのバッグはどうしましょう。
たたみと同じ材料「い草」を使ったこんな夏バッグはいかがでしょうか。
持ち手の部分に「い草」の持ち手をつけたリネンバッグ。
今年も、岡山県倉敷市にて工房をかまえる「須浪亨商店」さんに誂えていただきました。
じつはこの持ち手、須浪さんのい草の鍋敷きから着想したもの。
鍋敷きは、以前は釜敷きとよばれ、多くの地域でつくられていました。
通常、鍋敷きの芯には縄を使いますが、中からチラリとオレンジ色をきかせるために、ホースを使っています。
ホースをじっくり見ると……印字や記号が残っているのもユニークなポイント。
どちらかといえば、型やぶり。
作ってもらえるものだろうかと不安を感じつつ、
須浪さんにこのデザインを相談したところ、快く引き受けてくださいました。
他にはない、パラスパレス×須浪亨商店オリジナルバッグです。
香りを楽しもう
い草といえば、やっぱりあの香り。
和室の戸を引いた瞬間の、畳の香りです。
畳とおなじく、この香りは時間とともにうすれていきます。
香りと色、期間限定の青々しさをお楽しみください。
このバッグを作るっている途中、
須浪さんからハンドルのパーツが送られてきた時に、
箱をあけると、ふわーっといぐさの濃い香りがフロアに広がりました。
記憶は五感からといいますが、
箱をあけたときの感動はわすれられないものになりそうです。
い草まめ知識
い草の香りって、じつは草そのものの香りでは無いんです。
刈り取った草を泥に漬ける工程があり、泥と草の化学反応であの香りが生まれているそう。
干し草の香りだとばっかり思い込んでいましたが、そんな秘密があったとは!
そして、もうひとつ
い草のカゴバッグも登場します。
い草でできたカゴを「いかご」といいます。
昔は、闇市おでかけ用のカゴとして「闇カゴ」とよばれていました。
もともと、い草や綿の栽培がさかんな土地、いかごは古くから生活に根付いていたんですね。
生地を織るように、い草の縄を手織りしてつくられています。
縄の本数が1本、2本と抑揚があるのは昔から伝わる模様なんだとか。
こちらのバッグは、実店舗にて販売中です。
取り扱い店舗、在庫の有無がことなりますのでお近くの店舗にお問い合わせくださいませ。
色が変化します
畳と同じように、いかごは色が経年変化します。
数ヶ月で青みが薄らぎ、数年で干草色に。
今年お店に登場するいかごは2年目なので、すこし青みがとれているかもしれません。
使い込むほどに手の脂で艶が出て、形も丸みを帯び、風合いもしなやかに。肌あたり、衣服へのあたりも優しいかごです。
一生モノでは、ありません。
いかごは、人間と同じように経年変化があり、寿命があります。
変化のぐあいも、十人十色。使い方や環境によって差がでるもの。
その変化を味わいながら、かごが寿命をまっとうしても、
「また、欲しいな」と思ってもらえれば、作り手としてそんなにうれしいことはありません。
ただ、長持ちはさせたいもの。いかごと長くお付き合いするためのお手入れは……
いかごのお手入れ
もともとは生活に根付いた身近なかご。
須浪さん自身が「ガシガシつかってください」とも。特別なお手入れは必要ありません。
すこし汚れたら、ブラシや乾いた布でさっと汚れをはらいます。
い草は、水に弱いものではありませんが、
湿気がおおいところで使い続けるとカビの原因となるので、風通しの良いところで保管してください。
万が一、カビがはえてしまったら、ブラシではらって、風通しのよい日陰でしっかりと乾かしてください。
岡山県倉敷市より届いたいかご。
ぜひ、香りとともにおたのしみくださいね。
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オンラインストアのリンクこちら い草持ち手のリネンバッグ
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昨年の記事はこちら
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さいごに、ちょっとおもしろ企画ウラ話
持ち手に使ったオレンジ色のホース、太さと色がちょうど良いものがなかなか見つかりませんでした。
デザイナーが各地のホームセンターを巡って、ギリギリのタイミングで見つけてきました。最後の最後でベストを見つけてくるあたり、内心、さすが!とおもったものです。
ホームセンターでホースの在庫m数を確認してもらう際、
巻きを全部ほどかなければならず、売り場のおじさま達と心を一つにワンチーム!ヨイショヨイショと一緒に長さを計ります。
骨の折れる作業だったので、おじさま達に
「……これ、ほんとに買うの〜?」と不審がられたエピソードも。
「全部買います!」と言い切り遠方から大量に担いで帰ってきた、漢気あふれるデザイナーでした。
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