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境界性パーソナリティ障害・治療の過程で起こる「ぶり返し」とは?

オリジナル記事掲載日:2020年9月15日

境界性パーソナリティ障害の方
(またはその可能性がある方)
のカウンセリングをしていると、
必ずと言っていいほど
「ぶり返し」があります。

これ、実はわたしが
自力治療している時も
あったんですよね。
今日はそんな話です。

※これを書いている人は
24年続いた境界性パーソナリティ障害を
自力で治療して克服した人です。
詳細↓

※もしかしたら他の精神疾患・障害でも
起こることなのかもしれないけど、
今の所「境界性パーソナリティ障害」
でしかほぼ断言できないので
そこに限定しておきます。

「ぶり返し」とはどんな現象か

「風邪のぶり返し」はよく聞きますよね?
治りかけにちょっと無理しちゃって、
もう1回風邪を引いてしまう、というアレ。
しかもぶり返した時のほうが
症状がひどいこともありますよね。

境界性パーソナリティ障害の
「ぶり返し」も似たようなもんです。

「あれっ……最近怒り爆発してないぞ!?」
「最近『死にたい』って思うほど落ち込まない!」
「しばらく症状出てないじゃん!
もしかして治った!?」
と喜んだ数時間後や数日後にその症状が出る、
ってやつです。まじヌカ喜び。
喜んだ時間返せって感じ。

「治った!?」と喜んだ後にやってくるので
落胆や落ち込みが以前よりひどく、
「前より悪くなったのでは……?」
と錯覚する時もあります。

「ぶり返し」は治療が進んでいる証拠

わたしも寛解(症状が出なくなった)
今なら言えるんですけども、
「ぶり返し」は治療が進んでいる
証拠なんですよね〜。

なぜかって、
「3歩進まないと2歩下がるのは無理」
だからです。

「進んでいない」人に
「元に戻る」ことはできません。


そして、
「元に戻った!」
「また同じことの繰り返しだ!」
という気がしていても、
実は「1番の位置」までは
戻っていないのです。

上の図で言うと
「1番から少し進んだところ」
「1番と2番の間くらい」
に戻っているはずです。

「ぶり返し」の経験を利用して治療を早める

「ぶり返し」が起きた人は、
「もうダメだ」
「自分には治せない」
「どうせ一生治らないんだ」
など絶望しやすいです。
(わたしもしました)

が、「ぶり返し」が起きた人って
その後ちゃんとその落ちた状態を
“脱出”できてるんですよね。

あと、おそらく前よりも
落ち込みから回復する時間が
短くなっている
はずなんですよ。
(本当に治療が進んでいれば)

なのでわたしは「ぶり返し」が
起きた相談者さんには

「なんだかんだ乗り越えられてません?」
「もしまたぶり返しが起きても、
もう一度同じように乗り越えられますよ」

とお話ししています。

そうすると、
「ぶり返しが起きた自分」を責めたり
不安になっている相談者さんも、
「言われてみれば」という
気持ちになっていきます。

乗り越えた経験を思い出して、
徐々に「ぶり返し」への
耐性をつける
んですね。

「なんだかんだ前も乗り越えたじゃん!
次も大丈夫!」
という声かけが自分で自分に
できればいいんですけど……。
(ていうかそこまでいってたら
もうカウンセラーの手はほぼいらない)

やっぱり治療初めのうちは
「自分ダメだ!」というほうへ
意識が向きやすいので、
“人から言ってもらう”のがいいんですよね。

最近は相談者さんへ事前に言っています

以前は「全員に起きる訳じゃないかも」
と思っていたので、
ぶり返しが起きた時に
相談者さんへお伝えするように
していたんですけど、

最近はあまりにもたくさんの人に
ぶり返しが起きるので、
もう事前に
「たぶん『調子良くなってきたな』
と思った後にぶり返しが起きるんで、
もし起きたら
『これが言われてたぶり返しか〜!』
と思ってくださいね」

と言うようにしています。

「来る」とわかってたら
ダメージが軽減できるので。

初めて入るお化け屋敷でも、
「このポイントでお化け出て来るんで」
ってマップを渡されてたら、
怖さがやわらぐでしょう?

あと、「ぶり返し来るんだな!
来るなら来い!」と思っている人は、
結局カウンセリング終結まで
「ぶり返し起きませんでしたー!」
となったりもするので。

逆に、言わないで
ぶり返しが起きてしまい、
「そういうもんですよ」
「他の人もそうなってますよ」
とお話ししても、
聞き入れてくれなかった方がいまして。

「自分だけが特別に悪くて、
元に戻ってしまって、
もう二度と治らないんだ」
と思ってしまうんですよね。
そんなことないんですけどねえ。

落ち込んでしまってから伝えるのは
色々と大変だな、とわかったので、
今は事前に言うようになりました。


事前に言っておくと、
わりとみなさんすんなり受け入れて
くれるんですよね。
「あ、そういうもんなんだ」と。

ということで、わたしのように
自力治療をがんばっている方、
これからカウンセリングを受けようか
悩んでいる方、
なにがしかの参考になれば幸いです。

ごきげんよう、さようなら。

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撮影:いしとびさおり(Tsubaki_Rokka)さん

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