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テーマのある依頼イラストはどうやって描けばいいのか|(松江水燈路アーティスト行燈2020)

オリジナル記事掲載日:2020年10月25日

イラストレーターの卵さんや、
駆け出しイラストレーターさんの中には
「テーマに沿った絵を描くのが難しい」
「絵を仕事にすると好きなように描けない」
と悩んでいる方もいませんか?

今回は
・テーマありイラストの描き方
・仕事絵でも好きに楽しく描く方法

をご紹介したいと思います。

例として、2020年10月に発表した
松江水燈路アーティスト行燈用の
イラストを使います。

1.まずテーマから考えられる素材をリストアップ

今年提示された条件は以下のような感じでした。

作画イメージ:
・コロナによって停滞している気持ちに
希望を持てるようなメッセージ性のあるもの
・和のあかりに合うデザイン

作画テーマ:
・山陰の歴史や文化、祭、ゆかりのコンテンツ
・山陰の観光施設と関連があるもの

慣れてくると上の文章を読んだだけで、
数秒〜数分で描くものや構図が
だいたい浮かんできます。

しかし今回の記事は
“初心者向け”を想定していますので、
少し丁寧に解説していきます。

まずは作画イメージから思い浮かぶ素材を
リストアップしていきます。

・アマビエ
・疫病退散、厄病退散の文字
・和服、和装

次に作画テーマから思い浮かぶ素材をリストアップします。

・松江城
・小泉八雲
・ホーランエンヤ
・神社
・出雲神話

素材をリストアップする際は、
「描ける」とか
「描けない」とか一切考えず、
とにかく無心で
リストアップ
しましょう。

そこで邪念が入ると
この先の進行が
うまく行かないからです。

2.素材と自分の「好き」をつなげる

リストアップが終わったら、
それぞれの素材と
自分の「好き」をつなげます。

・アマビエ
→こないだ三光エナジー
サービスさんの依頼で描いた。
あれ楽しかった。好き。

・疫病退散、厄病退散の文字
→筆字が好き。
筆字風に描いたら楽しそう。

・和服、和装
→最高。好き。

・松江城
→好き。でもおととし
描いたから今回はいい。
あと背景を描くのがめんどい。

・小泉八雲
→好き。でも昨年描いたから今回はいい。
※昨年どんな風に描いたかは
こちらの記事でご覧いただけます

・ホーランエンヤ
→派手な衣装やメイクや舞は好き。
でもあの、人が沢山いる光景を
描くのは正直めんどい。

・神社
→最高。好き。
でも描くのは正直めんどい。

・出雲神話
→最最最高。好き。

わたしの場合、パッと思いつくものは
大体ほとんど好きなものなので、
すぐ「好き」に結びつきますが、
そうでない人は多分
「大して興味のないもの」や
「別に描きたくないもの」も
浮かぶと思います。

ここで「好きじゃない・興味がない」
ものは振るい落としてください。
「好きだけど描くのはめんどい」
ものは後でなんとでもなるので、
残します。

3.描きたい素材の資料や文献を探しまくる

とりあえずアマビエちゃんは
描きたかったので、
描いてもいいのか
三光エナジーサービスさんの
関係者に確認。(すぐOK出ました)

アマビエについてはその時のご依頼で
死ぬほど資料を探したので割愛。

リストアップした素材の中で
一番描きたくなったのは神社と出雲神話です。
さて、それを何の関係もない
「海の妖怪・アマビエ」と
どう結びつけるか。

とりあえず神社描こうかな……
(めんどいけど)と思いながら、
わたしが過去に行った島根県内の
神社をいくつか思い浮かべて、
“好きな神社”である
「日御碕神社」に目をつけました。
ここでも、「自分の好き」に
結びつけるんですね。
(好きな理由ですか? 赤いからです)

まずは日御碕神社の資料を探します。
個人的に出雲観光ガイドさんがわかりやすかったです。

こちらによると、日御碕神社は
素盞嗚尊(スサノオノミコト)と
その姉とされる
天照大御神(アマテラスオオミカミ)
の二注が祀られている神社。
(そういえばそうだった)

わたしがアマテラスを好きなのは
この辺の記事でも言ってるんですが……

まあオロチのシナリオも書いてるし、
男性キャラクターも
普段あまり描かないので、
今回はスサノオを描くことにしました。

そうすると次に、スサノオの資料を
探すことになります。
(いっぱいありすぎるので割愛)
(そもそもスサノオの資料は
「オロチ」の仕事でも見てるけど、
これは初心者向け記事なので
一応「探して知った」ことにします)

・スサノオは海の神様
・長髪でヒゲが生えている描写が多い
(わたしはボサボサの長髪とヒゲ好き)
・赤色をよく使われている
(先述した通りわたしは赤好き)
・わりと激しい神様

……なので、

「海の妖怪であるアマビエと
海の神様であるスサノオが
厄病退散のために共闘する
描写にしたら面白いんじゃね?」

という結論になり、
今回のイラストが出来上がりました。

小さくて可愛い生き物と
オッサンが共闘してるのも
わたしのすごい好きな感じで
いいなあと思ったからです。

日御碕神社をバックに
描こうかと思ったけど、やめました。
なぜかって、めんどいから。笑

(そりゃご依頼主様が
「日御碕神社を描いてくださいっ!」
って指示をされたら
見積もりを出した上で描きますけど、
今回は自分が勝手に思い浮かんだだけで
相手方に指示された訳じゃないので……)

ちなみに行燈になった状態はこちらの動画で見られますよ〜!
こんなアニメっぽい絵なのに
ちゃんと「和のあかり」になってる!(笑)

テーマありでも仕事の絵でも、工夫次第で「好き」は描ける

以上、わたしのやっている
「テーマありイラストの描き方」
でした。

今回は人様に説明するため
丁寧に「3つの工程」としましたが、
正直言うと1・2番の工程は
慣れれば頭の中で数分でできます。

でも慣れないうちは、
紙に書いたり
PCやスマートフォンなどで
テキストデータに打ち出したり
した方がいいと思いますよ。
(書いている内に脳内が整理されるので)

で、今回この工程を文章化して
思ったんですけど、
わたしは
「好きなもの」に
結びつけようとする
情熱・執念が強い
んですね。

「もう何としてでも
わたしの好きなように
描いてやるッッ!!」という。

しかしそれで、ご依頼主様も
喜ぶ絵になっているんですから
別にいいですよね〜。

報酬(謝礼)をいただいて描く絵は
相手方の意向に沿うこと、
相手方を喜ばす事が当たり前ですが、
「なんとしてでも
自分の“好き”をねじ込む」

という情熱も大事です。

わたしが持っている、
相手の望むものと
自分の好きをつなげる
アイデアを生みだす能力は

こちらで紹介している
アーティスト・デートとか
 ↓


こちらのnoteの無料部分で
紹介している
モーニング・ページとか
 ↓

で、育んできたと感じています。

よかったら上記も
参考にしてくださいね〜。

それでは本日はこの辺りで。
ごきげんよう、さようなら。

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