見出し画像

私には、自分の心の病を治す才能が、あったのかも知れない。

昨日から、というかきっとずっと前から考えていたことがある。

苦しむ人たちは、心を病む人たちは、なぜ人のせいにばかりしているのだろう、とずっと謎だった。
「あの人が何を考えているか教えてくれ」とか「こうしたら周りはどう思うのか」とか、そればっかり。

相手の心が気になるということは、“相手のせいにしている”ことと同じだ、と私は思う。

だって相手の心が思う通りになれば、自分が幸せになれる、この苦しみから逃れられるはずだと思って、特別な能力がありそうな人に“それを聞きに行く”のだから。

私はそれをやめさえすれば、苦しみは和らぎ、心の病も治ると体験した。
相手の心を憶測するのではなく、自分の心に向き合うこと。

そしてそれは“その気になれば誰にでも簡単にできることだ”と信じていた。

先ほど、ふと思った。
私には、「自分の心に向き合う才能があったんじゃないか?」と。
それはイコール、自分の心の病を治す才能だ。

勘違いしないでほしいのは、才能がなければ心の病は治せない、わけではないということだ。
誰にでも、考えや目を向ける方法を少し切り替えるだけで、苦しみも病も和らげれられる。痛みや生きづらさを乗りこなせる。幸福にもなれる。

ただし、切り替えるためのスピードは人によって違うのかもしれない。
それは、50Mを走る速度が人によって違うのと同じことだ。
6秒で走れる人もいれば、8秒、10秒で走り切る人もいる。
それを人は「走る才能」という。
私は「自分の心に向き合う速度が速かった」というだけだ。

多くの人に言われた。
あんな難解な精神病を自力で治せるなんて凄い、と。
私はそれを凄いことだとは思えなかった。

なぜなら、私だって相手の、人の心を勝手に決めつけては、「自分のせいじゃない」と叫び続けていたからだ。
「どうせ私が悪い」と言いながら、心の奥底ではすべて人のせいにしていた。お前らが変わりさえすれば、私は幸せになれるのだ、と。

そのおかげで24年間も精神疾患だった。

私には自分の心に向き合う才能があったかも知れない。
けれど、それを開花させたのは努力のおかげだ。
死ぬほど苦しかった。
歯を食いしばって嗚咽した。
血を吐くような辛さ、苦しさ、二度と味わいたくない。
あれを乗り越えて今の私がある。

私の才能をもっと正確に言葉にすると、自分の心に向き合う才能というよりは「一生懸命、根気強く努力できる才能」なのかもしれない。

私は努力の人なので、自分が天才だとは到底思えなかった。
だからそれをまるで才人のように「凄い」と言われても、その評価を受け取れなかったのだ。

唐突にわかった。
「つらい目に遭わずに努力もせずに簡単に心の苦しみを取る技、教えてくださいよ。知ってるんでしょ?」みたいな感じで近づいて来られるとムカついていたのは、私が努力で“それ”をもぎ取ったからだ。

私は私の努力を無視して攻略法を聞いてくる人間に腹を立てていた。
でも、違うな。
私が一番腹を立てていたのは、自分自身だ。

血を吐く思いで努力してきたのに、それを一番評価しなかった、自分自身。
あろうことか、その努力してきた自分を「黒歴史」として処理しようとした、自分自身だ。

期待を持って私のところへ来る人々へ、私は「簡単な方法」など教えられない。なぜなら私は、心臓が潰れるような思いで、血反吐を吐きながら、ここに辿り着いたからだ。

「良いパートナーに出会えたから治ったんですよね」も腹が立つ。
ふざけるな。ふざけるな。ふざけるな。
私は死ぬ思いでここまで来た。
今の私が良い友人と良いパートナーに恵まれているのは、“私が自分と向き合う勇気を持った”結果だ。

ああ、なんだか、初めてここ10年くらいの自分の功績を労い、認められた気がする。心の底から。

私は人には言えたのに、自分には言えなかった。
カウンセリングに来る人たちに言ってたのに。

「自分と向き合うことなんて、ほとんどの人ができません。
みんな自分と向き合うのが怖いから。
その中で、それを必死でしてきたあなたは、本当に凄い。
自分とそうして真摯に向き合えることが、すでに才能ですよ」

みんな人のせいにばかりしている、とイライラしていたが、ちゃんといた。自分と向き合う勇気を持った人。
「私なんて」「いえ、巴さんのおかげです」と言っていた。
あなたはもっと誇りを持っていい。
あなたの、自分の心と向き合える才能に。
自分の心と向き合い、険しい道を歩き続けたことに。

正直に言う。
私は今後も人のせいにばかりしている人間にイライラするだろう。
私に「簡単な方法」を教わりにくる人間にイライラするだろう。
けれどカウンセラーは、いや、どんな形ででも“人と関わる”のは、やめないのだろう。
ときどき、自分の心に向き合う勇気と才能を持った、キラキラした人に出会えるから。

その人たちのために、私は、やめない。

ごきげんよう、さようなら。

◎アイキャッチ写真について

※記事トップの写真に写っているのは私です。

撮影:いしとびさおり(Tsubaki_Rokka)さん

a modo mio.
(いしとびさんホームページ)
Twitter@koto000

◎わたくしのウェブサイト

漫画家(イラストレーター)と心理カウンセラーを兼業しております。

カウンセリングのお申し込み・イラストや漫画のご依頼等は以下のサイトからどうぞ。
・境界性パーソナリティ障害向け
・クリエイター向けカウンセリング

も行っております。
 ↓

◎今のところ月水金20時発行のメールマガジン

ご登録はこちらから↓

サポート頂けるとわたしの創作活動や生活費の支えになります。支援が増えると更新頻度が高くなります。