精神病になりたがる人は、「逃げたい」つらい現実がある—作為症・ミュンヒハウゼン症候群について
ずいぶん前に、“発達障害になりたがる人”の話を聞いたことがあります。
「あまりにも生きづらいので、インターネットや本などで発達障害の特徴を探し、特徴のごく一部が自分に当てはまるから『発達障害に違いない』と専門外来に行って、診断をもらいたがる」人を言うのだとか……。
精神病(精神疾患)になりたがる人も、だいたい同じ経緯を辿るなあと思います。特徴の一部で検索し、「自分にぴったり当てはまる」と思い(あるいは自分がそれに寄せていき)、自分はこの病名にちがいないと思い込むのです。
本物は、嘘の人物を見破れるじゃないですか。
警官のコスプレをしている人と本物の警官が並んでいても、一般人には見分けがつきません。いや、本物の警官でも、ただ並んでいるだけでは見分けがつかないこともあるでしょう。
しかし、本物側が偽物側に事情聴取をすると、おそらくバレます。
元警察官ならまだしも、内部の事情を全く知らない偽物がただ服を着ただけであれば、質問にしどろもどろになるし、仮に回答できても何かおかしな部分があるでしょう。
ということで、私は下記記事の通り、モノホンの精神病(正確に言うと精神障害)当事者だったので、精神病になりたがる人は喋っていればすぐわかります。
わざわざ相手に「あなたはなりたがっている人ですね?」とは言ったことがありません。というのも、なりたがっている人にはなりたがっている人の事情があるから。
そして「病気になりたがる」症状もまた、度を越せば精神疾患になりうるからです。
今日は精神病になりたがる人の心理について、そして作為症(虚偽性障害)・ミュンヒハウゼン症候群について解説していきます。
◆作為症(虚偽性障害)・ミュンヒハウゼン症候群とは
ミュンヒハウゼン症候群は、明確な外的要因がないのに、身体/精神症状があるふりをしたり、それらの症状を作り出したりするのが代表的な症状です。
1951年、イギリスの内科医師リチャード・アッシャーが発見し、「ほら吹き男爵」と呼ばれた実在するドイツ貴族、ミュンヒハウゼン男爵にちなんで命名されたそうです。
病名としては「作為症(または虚偽性障害)」と診断されます。
今回の記事のテーマは「精神病になりたがる人」ですが、作為症・ミュンヒハウゼン症候群は精神だけでなく肉体の病気を装うこともあります(たとえば心臓疾患など)。
ガチの作為症・ミュンヒハウゼン症候群の人は、かなり頭が良く狡猾なようです。
なので私が視認してきた「精神病になりたがる人」は、私にバレている時点でぜんぜん作為症でもミュンヒハウゼン症候群でもなんでもない可愛子ちゃんなのですが、放っておけばそこまで進展する場合もあるかもしれません。
なのでこの記事を書くことにしました。
今回は省略しますが、代理ミュンヒハウゼン症候群(他者に追わせる作為症)というのもあるようです。
詳しく知りたいかたは上記引用リンクか、こちらをご覧ください。↓
◆作為症(虚偽性障害)・ミュンヒハウゼン症候群を発症する原因
これに限ったことではなく、多くの精神疾患や精神障害が原因不明であるように、作為症(虚偽性障害)・ミュンヒハウゼン症候群の原因も不明だそうです。
ただし、このような記述がありました。
ほほう、実に面白い。
面白いと言うと不謹慎かも知れませんが。
主に「境界性パーソナリティ障害になりたがる人」を見ていた境界性パーソナリティ障害・元当事者の私が、作為症・ミュンヒハウゼン症候群について調べていたら、「境界性パーソナリティ障害」の記述を目にするとは。
確かに境界性パーソナリティ障害は極端な見捨てられ不安により、問題やトラブルを起こすことで周囲の人を引き止めようとする傾向があります。
私は病気を詐称したことはありませんが、子どもの頃に熱が出たり本気で体調が悪くなると、ちょっとだけ「やった」と思っていました。
周囲に注目してもらえるし優しくしてもらえるからです。
しかしそうなると、境界性パーソナリティ障害を装おうとする人達はなんなのでしょうか。境界性パーソナリティ障害予備軍、境界性パーソナリティ障害グレーゾーン? という名称にでもなるんですかね。
どちらにしろもともと何か近しい傾向があり、しかし境界性パーソナリティ障害と診断するには決定的な何かが欠けているので、「なりたがる」あるいは「ミュンヒハウゼン症候群的な症状が出てしまう」人になるのでしょう。
◆境界性パーソナリティ障害と「精神病になりたがる人」との共通点:圧倒的な孤独感
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