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性的なものを封印している人こそ、その才能があるらしい

本日は新潟コミティアの後に「コミックワークショップ」という、ベテラン漫画家・belne先生に自分の漫画を講評していただくというイベントに参加してきました。

で、色々と経過をすっ飛ばして結論から言うと、「自分の創作活動における性的な表現」に向き合うきっかけになってしまいました。

* * *

なんでそんなことになったかというと、コミックワークショップの講評にて「創作において“自分”を出すのを抑え、大衆にウケることばかりを気にしすぎている」と見抜かれてしまったからです。

私はこれまで、自分の漫画が微妙にウケないのは「自分のニッチな性癖のせいだ」と思い込んでいました。要するにヒゲと眼鏡が好きとかそういうアレです。ここにも書いたように。↓

違いました。私は、自分のニッチな性癖を全開に出すことをおそれて、中途半端に「みなさんにわかりやすいような」「みなさんが拒否しないような」「誰もが読みやすいような」ライトなもので塗り固めようとしていただけだったのです。

だって私、おじいちゃんが、家族が誇りに思うような私になりたかったから。

家族が誇りに思うような仕事をしたかったから。

家族が誇りに思うような創作物で評価されたかったから。


* * *

実は私、pixivFANBOXという支援サービスでだけ、時々R18漫画を描いているんですね。
というか元々エロゲーの仕事もしていましたし、R18の二次創作漫画も描いていました。

でも私、そっちの業界に突っ走るのが嫌だったんですよ。

だっておじいちゃんが誇りに思えないじゃないですか。

「若い頃にちょっとやってた」くらいはいいですが、家族が誇りに思えない創作物で有名になったり活躍するのだけはどうしても嫌でした。

だからある時、R18漫画を描いている人のエッセイで、その人が親や親族と縁を切っているって話を読んだ時、不謹慎ながらこう思ったことがあります。

いいなあ、家族と縁を切っていたら、自分の好きなものが思いっきり描けるんだ。
いいなあ、いいなあ。

って。
そう思った瞬間に「最低だな、私は」と思いました。
家族と仲がいいのは喜ぶべきことなのに。
この人は家族と縁を切らなければいけない事態になって、さぞ苦しんだだろうに、何を思っているんだ……と。

* * *

考えてみると、R18の創作物を描いていたとき、いろんな人にめちゃくちゃ褒められていたんですよ。

でも私はそれを才能だと思わず、「だいたいみんなエロ好きだから、とりあえずエロであればなんでも喜ぶんだろう」と思っていました。

しかしその後、心理学を学んでいく中で、こういう言説に出会ったのです。

「性的なものを封印している人こそ、本当はその才能がある」と。

そもそもなぜ封印するかというと、その才能がゆえに嫌な目に遭っているからです。私も確かにエロゲー業界の仕事をしている時、プロデューサーの自宅に呼ばれそうになって、「キモっ」と思ってその業界から足を洗うことを決意しました。

私はエロっていうのはいろんな意味で芸術だと思っているんですけど、性別が女でそういう業界で働こうとすると、「お前本人もエロいんだろ」「お前にも何してもいいんだろ」みたいな目で見られるんですよ。それを心底気持ち悪い、と思っていました。だから封印したのです。

* * *

しかし先日、件(くだん)のpixivFANBOX用の趣味R18漫画をなんとなく描いていたら、時間を忘れて没頭して描けたのです。午前中が溶けました。

そういえば知人が言っていました。「時間を忘れるほど、寝食を忘れるほど、没頭できるものが本当に好きなものだ」と。

私は周囲の、好きなことをして楽しんでお金を稼いでいる人たちにめちゃくちゃ嫉妬していました。
というのは、私が「時間を忘れるほど好きな癖(へき)・そして才能」を封印していたからですね。

そして自分の癖(へき)が発覚した今でも、こう思っています。

もっとみんなが誇りに思えるものだったらよかったのに。
もっと家族や親族が誇りに思えるものだったら良かったのに。
そんなものを全開にして、友達の誰が喜ぶんだよ。

でも、こうも思っています。

もうおじいちゃん死んだんだから、好きにやれよ。と。


そうなんです、私に世界的なアーティストになってほしいと言っていたおじいちゃんは、もう死んだんですよ。

だから別に私、ただ自分の好きなことをやってもいいんです。
自分が抑えつけてきた才能を、もう使ってもいいんです。

ごきげんよう、さようなら。

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