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嫌いな人は、実は自分に似ているという話

ユング心理学で言われるところの「シャドウ」を、自分なりの解釈も交えて漫画で解説してみました。
とりあえず漫画を読んでみてください。
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私は24年、境界性パーソナリティ障害という精神障害だった人間です。
その病をひどくした原因のひとつは、「本当は他人への好き嫌いが激しいのに、誰にでもいい顔をしようとした」だと考えています。

なので、治療の過程で「嫌いな人からは積極的に距離を置く」という方法を取りました。これは非常に良かったです。

長年悩んでいた「コントロールできない怒り」をつくる原因のひとつは、日頃の“嫌いな人にもヘラヘラ良い顔して対応する”の積み重ねによる精神的負担だったので。

しかし病気を克服して早5年、「嫌いな人を嫌いなまま排除する」のに限界が訪れようとしていました。

なぜかというと、「排除しても排除しても、また同じタイプの嫌いな人が私を煩わせに来る」からです。なんなら、大して嫌いじゃなかった人にその傾向が強く表れたりし始めました。
もうここまでくると、完全に相手ではなく自分の問題です。

前々から興味のあったユング心理学を学び始めると、ちょうどその答えが見つかりました。それが「シャドウ」です。

人は誰でも、自分の無意識の中に「嫌いな要素」を持っています。
しかしそれを認めたくないので、他人の中にそれを映し出し、その人を嫌うことで「自分はあんな要素を持っていない」ように仕向けるのです。
まあ、この辺は漫画で説明した通りですね。

この「嫌いな人間」こそが、自分のシャドウです。

シャドウは自分の心が作り出しているものなので、どんなに「嫌いな人」を自分の人間関係から排除しても、また別の人が「シャドウ」となって現れます。
解決するには、「認めたくない嫌いな私」を受け入れるしかないのです。

実はこの数ヶ月くらい、私はずっと自分のシャドウに向き合っていました。
「嫌いだ」と感じた人の特徴をリストアップし、一体どんな所が自分に似ているのか見つめ直しました。

これは非常に嫌な作業でした。だって思考では「こんな奴らと同じだなんてどうしても認めたくない」のですから。でも自分の心は、本当は「それが自分だ」と分かっているのです。

嫌いな特徴を煮詰めて煮詰めて考えていた時、ひょんなこと(友人との対話)から彼らの共通点がわかりました。
「自分のことにしか興味がない」です。
そして私もまた、「自分のことにしか興味がなかった」のでした。

私は、本当は自分にしか興味がないのに……いや、興味を持つことができないのに、みんなに好かれようと思って必死で「他人に興味があるふり」をしていたんです。

私が「自分のことにしか興味がない人たち」に腹を立てていたのは、自分はそうならないように努力していたから。
彼らがその努力をせず思うまま生きられているのが、それで人生や人間関係が成り立っているのが、ものすごく腹立たしかったのです。

平たく言えば、嫉妬していました。

これに気付いた時、怒りや悲しみよりも、自分に対する「よく頑張ったね」というねぎらいの言葉が浮かびました。

「無理なことを、よく頑張ってやってきたね。
本当は自分にしか興味がないのにね。
頑張った、本当に頑張ったよ、うん。

これからはもう、嫌われてもいいから、『自分のことにしか興味がない私』を出していこう。
大丈夫、それでもあなたから離れない人も、新しくあなたを好きになる人も、きっといるよ」

……みたいなことを頭の中で考えたら、今まで「嫌い嫌い! 許せない!」と思っていた人たちへの怒りが、急にスーッとどうでもよくなったのです。

別にわざわざ彼ら一人一人に連絡を取り、「もう一度仲良くしましょう」とか「もう一度仕事しましょう」とか言う気はありません。
ただただ、「もういいか」と思えました。

シャドウを受け入れる・自分の嫌いな部分を許してあげるとは、こういうことか……となんだかものすごく腑に落ちました。
頭じゃなくて、肚(ハラ)で深く理解している感じ。

私はこの記事を書いたからといって、すべての人に「シャドウを受け入れよ」とか言いません。
受け入れないまま人生を終えることも、それはそれでいいと思います。

じゃあなぜ私が何ヶ月もかかって嫌な自分(シャドウ)を受け入れることを試みたかと言うと、単なる探究心です。

それができれば、創作活動もより良くなり、人生もまたさらに楽しくなる予感がしました(今もすでに創作活動が活発になり、人生も穏やかで楽しいのに、それ以上に!)。
それを私は確認したかったのです。

人生は「選ぶ」ことも「選ばない」ことにもその先の道が用意されています。だからどちらを選んでも、間違いではありません。

この記事を読んであなたがどうしようと、私の知ったことではありません。なので、ご自由にどうぞ。
だって私は、自分のことにしか興味がないのですから。

ごきげんよう、さようなら。

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