元ボーダー当事者が比較する、双極性障害(躁うつ病)と境界性パーソナリティ障害の違い
オリジナル記事掲載日:2021年4月30日
「気分の浮き沈みが激しい」
ことで有名な、
双極性障害(旧称:躁うつ病)と
境界性パーソナリティ障害
(ボーダー、BPD)。
かつて境界性パーソナリティ
障害だった私も、診断前は
「自分は双極性障害なのか、
それとも境界性なのか?」
と悩んでいました。
もしかしたら同じ悩みを
持つ方もいるかもしれないと思い、
元BPD当事者の目線から
二つの精神疾患を比較してみます。
どちらの病気も、単に
「気分が落ち込む」
「死にたい」とか言っていると
あっさりうつ病に誤診される
精神疾患です。
病院へ診断を相談しに行く前に、
「自分はどちらに近いのか」を
チェックしてみてくださいね。
二つの精神疾患の、共通点と異なる点
さてまずは、判断が難しくなる
原因となる「共通点」を
挙げてみましょう。
共通点
◎気分の浮き沈みが激しい
(高揚した気分と
ドン底の気分を交互に繰り返す)
◎短気(怒りっぽい)
◎他人の痛い所を上手に突く
(暴言を吐く)
◎急に突飛な行動を起こす
◎性的に奔放になる
◎自殺未遂を起こす
「上記の症状が起きる
心理状況」は異なりますが、
これらの共通点があるため
「どっちなの?」となる方は
多いのではないでしょうか。
では次に、元BPD当事者
目線から見た「異なる点」を
挙げていきます。
異なる点
●発症原因
●お金の使い方
●妄想の内容
●薬の効果
●睡眠時間の重要性
●意見の受け取り方
●自信の持ち方
●気分の浮き沈みの期間
こうして挙げてみると、
かなり沢山違いがありますね。
一つずつ説明していきます。
発症原因
どちらも発症原因は
正確には解明されていません。
「こうではないか」
「この可能性が高い」
と言われているものが、
境界性パーソナリティ障害:
幼児期のストレス、
親や近しい大人との関係
双極性障害:
遺伝、神経伝達物質の
調節異常
です。
境界性パーソナリティ障害も
遺伝や脳などの調節異常を
言われていますが、
どちらも双極性障害ほど
強く言われてはいません。
お金の使い方
双極性障害も
境界性パーソナリティ障害も
生活を圧迫するほどの衝動買いを
起こすことはあります。
しかし使う金額が高いのは
双極性障害の方のようです。
(躁状態の時に金遣いが荒くなる)
といっても激しい躁状態が
起こるのは「双極性Ⅰ型」なので、
躁状態が軽度な「双極性II型」の方は
そこまで多額のお金を
使うことはないと思いますが……。
(そこもまたややこしい)
境界性パーソナリティ障害は
「自分を傷つけるために」
(自分自身を、より困難な
状況へ陥れるために)
多額のお金を使う傾向があります。
双極性障害は後で衝動買いを
後悔する事はあるかもしれませんが、
上記の理由で使う事はないはずです。
妄想の内容
双極性障害の代表的な症状は
誇大妄想・万能感であり、
境界性パーソナリティ障害も
時折そのような妄想を抱きます。
しかし境界性
パーソナリティ障害の
代表的な妄想は
「根拠のない嫌われ・
見捨てられ不安」
です。
誇大妄想や万能感が
それらを上回ることは
ありません。
薬の効果
私が診断された2014年時点で
「境界性パーソナリティ障害は
薬で治るものではない」
と医師に言われました。
(現在は薬物療法も発達して
きたのかもしれませんが)
確かに当時、自分も様々な
薬を飲んできましたが、
どれも効きませんでした。
(個人差はあると思います)
双極性障害は、投薬で
症状を抑える事ができると
言われています。
しかし、症状が全く出ない時も
飲んでいないと再発したり、
抗うつ薬の種類によっては
処方によって躁状態が
悪化する場合もあるそうです。
(私は薬のプロじゃないので
その辺は医師に聞いてください)
睡眠時間の重要性
双極性障害は、躁状態の時に
「活動的」になるのが特徴です。
睡眠時間が少なくても
バリバリ活動できたり、
よく喋ったりします。
境界性パーソナリティ障害も
急に活動的になったり
よく喋ったりしますが、
睡眠時間が少ないと寝ます。
(睡眠時間が少ないせいで
落ち込んだりイライラしたり
やる気がなくなることも)
意見の受け取り方
双極性障害は、躁状態の時に
人の意見を聞けなくなる
傾向があります。
境界性パーソナリティ障害も
興奮状態の時は
「まるで相手の話を
聞いていない」
ように見えますが、
基本的には
「自分がない」病気なので、
相手の言うことを
まるまる鵜呑みにします。
何か言われて
激しく腹をたてるのは、
「図星だ」「その通りだ」と
実は素直に受け取って
いるためです。
自信の持ち方
双極性障害は躁状態の時に
自尊心が大きくなりますので、
「自信家」のような
行動・言動を取りやすいです。
境界性パーソナリティ障害は
本当は全く自信がないのを
隠そうとして、
「自信があるように振る舞う」
ことはあります。
しかし長続きしません。
気分の浮き沈みの期間
双極性障害は、躁状態や
うつ状態のエピソードが
長期間にわたり
続くのが特徴です。
個人差はありますが、
数週間から3〜6ヶ月
続くと言われています。
一方、境界性
パーソナリティ障害は
数時間で気分が
コロコロ変わります。
数日以上続くことは
ほとんどありません。
* * *
当カウンセリングにも、
「気分の浮き沈みが激しい」
一点のみに注目し、
「自分は(あの人は)
境界性パーソナリティ
障害じゃないかと思う」
と言う方がたくさん来られます。
現在はインターネットの発達で
精神疾患の知識をあちこちで
得る事ができますが、
素人の自己診断は危険です。
上記のいずれかに当てはまっても、
「じゃあ双極性障害に違いない」
「じゃあ境界性パーソナリティ
障害に違いない」
と決めつける事はしないでください。
また、カウンセラーは病名の
診断を行えません。
診断は、病院でしてもらいましょう。
* * *
双極性障害の中には
Ⅰ型・Ⅱ型の細かい
診断基準を満たさない
「特定不能の双極性障害」も
あるとのことです。
双極性障害は、
カウンセリングのみでの
治療や寛解が難しい
精神疾患と言われています。
上記の症状が続く場合は、
お近くの心療内科・精神科へ
受診してみてくださいね。
逆に境界性パーソナリティ障害は、
かつての私自身のように
「薬を飲んでも改善しない」
「色んな病院を受診したのに、
一向に改善しない」
こともあるようです。
また、「ただ共感
してもらうだけ」では
納得いかず改善しなかったり、
担当医師やカウンセラーを
すぐに見下してしまう
傾向もあります。
信頼できる医師やカウンセラーを
見つけるのは大変かもしれませんが、
私が克服できたように、
必ず乗りこなせる病気です。
諦めずに、自分に合う治療法を
見つけてくださいね。
宣伝になってしまいますが(笑)、
当カウンセリングも
オンライン受付&実施しています。
私は自分一人で心理学習を行って
克服しましたが……
もし自分に合うサポーターを
見つける事ができていたら。
もしもっと早く、自分に合う
心理教育に出会う事ができたら。
寛解までに20年以上も
苦しみ続ける事はなかった
のではないかと、
今でも思っています。
それでは本日はこの辺りで。
ごきげんよう、さようなら。
※双極性障害については、以下のサイトも参考にしました。
→双極性障害(躁うつ病)MSDマニュアル家庭版
→双極性障害(躁うつ病)MSDマニュアルプロフェッショナル版
◎わたくしのウェブサイト↓
カウンセリングのお申込みもこちらから行えます。
◎無料メールマガジン(月〜土20時配信)
サポート頂けるとわたしの創作活動や生活費の支えになります。支援が増えると更新頻度が高くなります。