パレスチナ自治区の経済:小麦
こんにちは。駐日パレスチナ総代表部です。
これまで、このnoteでは様々な食文化をご紹介しました。
ですが、現地ではそれだけを並べて食べているわけではありません。今まで紹介してきたこれら主菜・副菜と合わせ、パンが主食として日常的に食べられています。このパンはもちろん小麦からできており、パレスチナ自治区内で作られていますが、それではその小麦は果たして一体どこからやってくるのでしょうか?
今回はパレスチナの人々を支える小麦を通して、パレスチナ自治区の経済事情をご紹介します。
小麦の自給率の低さ
結論から申し上げると、パレスチナで手に入る小麦はその9割以上を輸入に頼っています。
パレスチナ自治区では後述するように小麦等の自給が困難な理由を抱えており、主にイスラエルから小麦を輸入しています。国内での栽培も行われているものの、自給できているのはわずかに過ぎません。
まず自給が困難な要因として挙げられるのが、十分な水を使うことができないことです。パレスチナの直面している水利用制限により、パレスチナの人々には水が十分に供給されていない現状があります。そのため、農業に回すための余分な水がなく、なかなか農業及び自給に結びつかないという結果に陥っています。
また、食料貯蔵用の施設が不足しています。代わりにパレスチナの民間セクターとイスラエルの施設に頼っているのが現状であり、栽培できたとしても地域内に貯蔵できないという事情があります。
輸入への依存で起こること ー日本と比べてー
さて、先述した小麦の自給率の低さですが、この観点で考えると実は私たちの住む日本も同じです。日本の小麦の自給率はおおよそ15〜20%であり、数値上ではパレスチナの状況と、日本で消費される小麦のほとんどを輸入で賄っている状況に変わりはありません。日本では昨今の小麦不足でパンやラーメンなどが値上げ傾向にあり、そのことを実感している方もいらっしゃるかもしれません。
このように、食糧のインフラとも呼ばれる小麦を輸入に依存している状況下では、自国外の要因によって自国の小麦輸入量や価格変動が左右されます。ですが、そのような価格変動が起こりやすいのがパレスチナ自治区なのです。
その一因として指摘できるのは、例えば日本の場合、小麦はアメリカ、カナダ、オーストラリアなどから輸入しており、複数国とバランスよく輸出入を行なっています。これにより、仮に一国との貿易量が減ってしまっても、多少の影響はあるとはいえ、大飢饉を招くような事態には陥りません。
他方、パレスチナの場合はイスラエル一国に輸入を依存しているため、仮にイスラエルにおいて小麦の流通量が減った場合はパレスチナも直接的な影響を受け、被害は甚大になりやすいのです。
このように小麦を通してパレスチナと日本を比べてみると、パレスチナ自治区内の経済の実態が分かりやすくなったかと思います!今後も様々な側面からパレスチナを深掘りしていきます。
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