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仮面をつけていた私

人を外見、能力、肩書き、地位、名誉・・・でジャッジしていたのは私だった

私はずっと
どうして人は人をランク付けして、人によって態度を変えるのだろうと
疑問、時には怒りも感じていた。

あたかも私は人をランク付けなんてしていませんよ、私は誰に対しても平等に接していますよ、とでも言うように。

でも、最も人をランク付けしていたのは私だった。
私自身が人をランク付けしていたからこそ、
どうして人は人をランク付けしてそれによって態度を変えるのだろう?と感じていたのだ。

本当に人をランク付けしていない人は、
そもそもそんな疑問すら持たないのだろう。
なぜなら、自分自身が人をランク付けしていないから、
他の人も人をランク付けしているとは考えもしないのだ。

そもそもなぜ、私は人をランク付けしていたのか。
それはいじめられたくなかったから。

中学・高校の時、いわゆる「スクールカースト」というものを
敏感に感じ取っていた。無意識に。

そんな学校生活の中で、いじめられている子を目にしたり、誰かが誰かの悪口を言っているのを耳にすると、
「あぁ、こういう振る舞いをするといじめられるのか、悪口を言われちゃうのか」と感じ、「それなら私はこういうことはしないようにしよう」とそれによって自分の行動、発言を変えていった。

本当は、いじめられている子と同じことを考えていたとしても、
そんなこと考えていませんよ、私はあなたたちと同じように考えていますよ、と意見を変えてとにかくいじめられないように。

自分の本当の意見よりも、いじめられないことの方が大切だった。
そうやって自分の意見にフタをすることが、自分を守る方法だった。

私は私が傷つかないように、自分の意見や感情を抑えつけることを身につけた。
それは自分で「これからは自分の意見や感情を感じるのは止めて、周囲に合わせて変えていこう」とある日突然決意したのではなく、
気がついたらそれが当たり前になっていて、
あたかも初めからそうやって生きてきたかのようになっていた。

そうやって仮面をつけた自分が本当の自分だと思い込んでいた。
だから、長い間その思い込みに気づくことが出来なかった。
最近になってようやく気づき始めたのだから。
何かが違うと。

これは私が心から楽しいと思ってやっていることなのに、
どこかむなしさを感じる、心の底から楽しめている感覚がしない。
とか、
私はこうやって過ごすことが幸せだと感じるはずなのに、
何かが引っかかる。
心の底から本当に幸せだとは思えない。

それはなぜか。
それは、本当の自分の意志ではなかったから。

私がこれまで信じてきたのは「仮面をつけた自分」の意見。

「仮面をつけた自分」というのは、
自分が周囲からはぶかれていじめられないように、傷つかないように
自分を守るために身につけた自分。
自分の本当の意見や感情を抑え、その代わり、周囲で良いとされている考え、すごいと思われている考えをまとっている。
それは本当の自分の考えではないのに、それを疑うことはない。
自分は心からそう思っているのだと。

なぜならいつの間にかその考え方が自分に染みついていたから。
霧の中を歩いていたらいつの間にか衣が濡れていたのと同じように。

自分でもいつから変化したのか分からない。
静かにじんわり馴染んでいくだけに、自分が変化したことに気がつかない。自分は最初からこの考え方だ、この生き方だと。

それでも気がついたのは
どこか違和感を感じたから。
何かが違う気がする。

自分が本当に望んでいることをしているはずなのに、
どこかむなしさを感じる、心の底から満たされているとは感じられない。
ということは、そもそもこの望み自体が本当に私が望んでいることではないのかもしれない。

そうやって少しずつ自分の選択を疑い始めた。
そして、
私は本当は何が好きだったっけ?
何をしているときが楽しい?
私が心から満たされていると感じるのはどんな時?
と改めて自分に聞いてみた。返事が来るまで何度も。

初めのうちは答えが思いつかなかった。
それくらい、本当の自分にフタをし過ぎていた。
本当の自分の意見を聞かないこと、
本当の自分の感情を感じないことが当たり前になっていたから。

自分を守るために身につけた、「仮面をつけた自分」が
本当の自分を抑えつけていたみたい。

でもそれは私を守るため。
きっと、「仮面をつけた自分」は本当の自分に、
「そうやって本当の自分の意見を言うと、また傷つくよ。
周囲ではこれが正解だと思われているみたいだから、私もそう思っていることにしておこうよ。」って忠告をしてくれていたんだよね。

ありがとね、でももう大丈夫だよ。
私は本当の自分で生きたいの。
傷ついてもいいから。
嫌われてもいいから。
誰にどう思われてもいいから。
誰かに嫌われることよりも自分の意見にフタをして生きることの方が怖いの。

私を信じて。

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