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NFTの国際展開を見据えたガチ戦略(後編)

今回は前回の記事に引き続き、NFTの国際展開を見据えた戦略的な話をしていきます。
ぜひ前編から順番にご覧ください。

それでは、前回のつづきで、
「NFTコレクションの収益化戦略」の話の文脈から、まずは購入チャネルについて解説していきます。

購入チャネル

「直接口説く」というのは、海外コレクターにファンになってもらって作品を購入してもらうためのアプローチのひとつです。
購入して貰う為のアプローチの種類を、”購入チャネル”と呼んだりします。
具体的に、購入チャネルは次のようなものがあります。

  1. 直接口説く(営業)

  2. Discordコミュニティ経由

  3. Twitter経由

  4. OpenSea経由(ダイレクト)

  5. メルマガ経由

  6. 広告経由

  7. 公式サイト経由(ポートフォリオ)

  8. インフルエンサー経由

  9. タイアップ/コラボ経由

  10. イベント経由

など、チャネルは考えつく限り無数にあります。
「どのチャネルに、どれくらいのリソースを傾けるのか?」
は、大切な意思決定のひとつです。

一定規模のスタートアップになると、各購入チャネルごとに、
「どらくらいの費用を投じればどれくらいの収益リターンがあるか」
が可視化されてきます。

チャネルごとの流行り廃りを見ながら、時期によって投下費用を調整していくようなイメージです。

NFTコレクションの場合は、
いちいち数値を取るまでもなく、
「いまは①が有効だ!①に全力投球!」
と、直感で決め打ちして進めるのも良くある話です。

現在はコミュニティを作るNFTコレクションが多いので、②Discordコミュニティ経由は、意図せずともチャネルが有効になっていることでしょう。
すると、②経由の場合は、もしかしたら①直接口説く(営業)よりも、高いLTV(ライフタイムバリュー=顧客生涯価値)が出ていたりするかもしれません。

すると、
「よりエンゲージが高くファン度が高い人たちは、②に集まっている」という仮説がたちます。
毎月同じ人数を獲得していたとしても、②のほうに費用を投じたほうが、中・長期的にはKGI(重要目標達成指標)の達成に有効だということも分かってきます。

②Discordコミュニティ経由は、いつもオンラインイベントやスペースを行った直後に多い、などの法則が見つかったとします。
すると、リアルな熱量を伝え、エンゲージを高める企画をすることが大事となったら、
「毎週1回オンラインイベントを行うのが良いかも?」
という仮説が立ちます。

そうした施策レベルまで落とし込んで数値で振り返ることで、PDCAが回りだします。

この場合、「毎週1回オンラインイベントを行う」がKPI(重要業績評価指標)となるわけですね。

スタートアップの取り組みを知る意味

ここまで、ダダーっと書いて来ました。
どう思われたでしょうか・・・?

「私(たち)はそんなつもりでNFTコレクションを始めたわけではない!!」

という感情が湧いてきたとしたら、それはもっともな感想ですし、正常な感覚だと思います。

ただ、私は、
スタートアップが、なぜ定量化を突き詰めていくのか?
ということも、知っておいて損はないと思うのです。

スタートアップが定量化を突き詰める理由

端的に言うと、

  • ビジョンの実現のために、投資家にお金を投じてもらうため。

  • どのようなロジックで収益が上がるかを、ちゃんと説明する必要があるから。

ということです。
これはとても大変なことです。

大変な苦労をしてでも、やるのです。
それは裏を返せば、それだけビジョンの実現に本気だということでもあります。
最初に設定した『NFTコレクションを通じて世界の人に笑顔になってもらいたい』といった”ビジョン”を、どこまで真剣に考えているか?
その覚悟が、投資家やVCから試されているのです。

それが適度な緊張感を生み出して、投資家とスタートアップが、監督とプレイヤーのような関係性で切磋琢磨されて導かれていく―という流れなのです。

クリエイター主導の成功もあり得る!

一方で、NFTコレクションは、数値に表れない、アートやエモーショナルな面も強い領域でもあります。

  • 「ちょーかっけー!」

  • 「めちゃんこかわいいんだけど!」

  • 「めっちゃワクワクする!」

のように、「いいねの数」だけでは表現できない、深く強い感情を揺さぶることができるプロダクトもあります。

先述してきたような、スタートアップのビジネスライクに、
「ゴールから逆算的に戦略を立てていく」
というアプローチは、再現性を確立する意味では良いと思いますし、それはそれで1つの正解だと思います。

しかし私は、いい意味で期待を裏切り続けることでブランドを高めていくような、
『ぶっとんだNFTコレクション運営』
のほうが、魅力に感じたりもします。

おそらく今後、「NFTコレクションが儲かるらしい」と世間に広がれば広がるほど、スタートアップ的な企業もたくさん参入して来ることでしょう。

それはそれで良いのですが、
私は、こうした旧来の"投資家主導型"のやり方ではない、"クリエイター主導"のひらめきや直感で進むような世界も、同時に成立してくれることを願っています。

クリエイター主導型と、マーケ主導型

NFTコレクションを別の切り口で見てみましょう。
大きく分けて、「クリエイター主導型」と、「マーケ主導型」が存在します。

ブランドを大きくするには、『チーム化が必須』であると断言します。

不得意領域は、信頼できる誰かに任せるのです。
チーム全員がそれぞれの得意領域で力を合わせます。
ブロックチェーンならではの、ボトムアップ型グロースを狙う、「DAO」の選択肢も強力です。

NFTと相性の良い考え方12選

NFTの持つ特性から、相性の良さそうな考え方をいくつか挙げてみましょう。

  1. 唯一無二&限定数量

  2. 権利&特典付与

  3. n次流通

  4. 二次創作

  5. メタバース&コミュニティ

  6. グローバル&オープン&連携

  7. フルオンチェーン

  8. 金融&トークンエコノミー

  9. 統一感&自動生成

  10. 非独占&共有&フェア

  11. デジタル完結&自動執行

  12. ギブ・アンド・ギブ

ブランドと、突き抜けた個性

さて。
「NFTコレクションとは何か?」
ということを突き詰めて考えていくと、

「新時代におけるブランドを構築していること」

に他なりません。

ブランドは、人が創ります。
「時代の価値観とのギャップ」が、ブランドのコア思想になります。

世界一売れた香水、シャネルの「No.5」は、ココ・シャネルの不平等に対する反骨精神から生まれました。

ココ・シャネルは、19世紀的な古い価値観を葬り去り、女性の解放のアイコンとして、ブランドを確立。
女性として史上初の世界的実業家となりました。

  • 「エレガンスとは拒絶すること」

  • 「私は流行を作ってるんじゃないの。私が流行なの」

などの数々の名言は、彼女の突き抜けた個性を表現しています。

NFTもきっと、新しい時代に求められている「突き抜けた価値観」を表現する者が現れ、NFTコレクションとしてブランドを作り上げていくでしょう。

そのようなNFTコレクションは、
突き抜けた個性・価値観」の”分身”・”象徴”・”旗印”として、様々な方法で自分に「着飾る」ことで、人々が自己表現をする時代になるでしょう。

オープン、分散、非中央集権、DAO。
これらブロックチェーンの根幹思想は、その新時代のアップデートすべき価値観を備えているように見えます。

そして、今度の”着飾り方”は、人間の肉体に対して振りまく物理的な匂い(=香水)ではなく、新時代の”顔”としてのSNSのアイコンやメタバース上の”身体”(=アバター)がその主役です。

肉体から精神と思考が分離したデジタル空間での人と人との交流の際に、表現されるモノになるのでしょう。

NFTとは、思想の表明

NFTとは、思想の表明です。

美しいものが好きな人、かわいいものが好きな人、先端技術が好きな人、現代社会に中指立てる人。

SNSのアイコンや、メタバースでアバターが身につけるアイテムを見るだけで、その人が所属している”価値観”が分かる世界観。

NFTは従来のファッションと同様の効能を持ち、思想がブランドになっていくのです。
思想を創り出す人、それはクリエイターが主役です。

NFTの出現により、強烈な個性を発するクリエイターたちが一層輝ける時代が到来することでしょう。

ブランド=共感深度×伝播力

圧倒的な個性と思想で異彩を放つクリエイターと、それを支える強力なチームが折り重なって、新時代のブランドを築き上げて行くことでしょう。

ここ日本からも、世界中の人々の心を掴む一大ブランドが誕生するかもしれません。
そう思うと、今からワクワクが止まりません!

クリエイターやコレクター、その他様々な立場の人々が手を取り合って助け合い、世界に羽ばたく日本発NFTコレクションが登場する未来は、決して夢物語では無いでしょう。


※この記事は、パジ(@paji_a)の発信をもとにかねりん(@kanerinx)が編集してNFT記事化しています。
※この記事の元投稿は、HiDΞで連載中のマガジンです。(JPYCの投げ銭も可能)


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