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お酒をやめて5年以上経った

お酒好きだった。

大学の卒業アルバムの個人写真には、日本酒の一升瓶を抱えて半笑いの顔が勝手に選ばれた。「この写真がパジャマさんらしい」とのことだった。

定年退職を迎えた先輩に贈り物をしたら、お返しに日本酒の一升瓶2本セットが送られてきて、ひとりで呑んだ。
どんだけ日本酒好きだと思われてるんだか。

お酒の場が楽しかった20代。私はお酒を呑むと口数が増えて上機嫌になるタイプだった。父がそういうタイプだから、私は父似だろうと思っていた。そういう自分が好きだったから、お酒が好きだったのかもしれない。

ところが30代になって、酔うと泣くようになった。私の母が泣き上戸だ。子どものように泣きながら愚痴を吐き続ける母のような酔い方はしたくないと前々から思ってきた分、ショックだった。私は、実際は、母似だったのかもしれない。

そんな自分が嫌で、だんだんお酒を飲む頻度は減って、飲み会以外の場面で飲むことがなくなった。

なんだ、私には飲みたい欲求がないんじゃないか。飲まなくても全然平気じゃん。それか、もう、お酒のことはだいたい分かったから飽きちゃったのかもしれない。私、なんでも熱しやすく冷めやすいんだよね。もう、飲まなくてもいいか。お酒代、浮くし。

そう思っていたところに、断酒への決定的な出来事が2つ起きた。

1つは、接待の席。なんか変に嫌な雰囲気になって泣いちゃった人から何故かもらい泣きして、そのまま過呼吸になって、ホテルに帰らされてからも1時間くらい、部屋の床を殴りながら嗚咽し続けてしまった。酔うと何でこんな状態になるんや? 怖… って。自分が心底嫌になった。

もう1つは適応障害。薬物療法に入って、お酒は完全にNGになった。飲み会も当然行けなくなった。忘年会新年会歓迎会接待etc… 全部お断り。行かなくなって、飲み会も実はそんなに好きじゃなかったことが分かった。酔った男性たちにお触りお持ち帰りされる場は、もー、ほんと懲り懲りなんだよ。

そうしていたら会社を辞めることになり、もうまったく、社会人的な飲む場面に出くわさなくなった。同時期にコロナが始まって、プライベートでも集まりの場は消えた。

今は実家で、父が晩酌する様子を見ているだけだ。見ていても酒欲求がまったく湧いてこないので、完全に卒業してしまったのだと思う。30代前半までで、自分のアルコール摂取一生分を呑んでしまったんじゃないかな。

そんなこんなで、お酒をやめて5年以上経った。

やめたことによるメリットは、お金の節約になってることと、体に負担がかかってないこと。

少量のお酒は体に良いっていう論文も、それを否定する論文もあるけど、私個人的にはお酒にはデメリットしかねぇと思ってる。だから、これからも、飲まない。私にはアルコールは必要ない。

だからといって、飲む人を否定するわけじゃないよ。
酒場放浪記、ぜんぜん観るし!