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不思議で奇妙な話

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わたしが体験した奇妙な出来事、わたしが聞いた不思議な世界の話を、おひとついかが。
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#信じるか信じないかはあなた次第

1ヶ月後の夜に【不思議で奇妙な話】

わたしは大のおじいちゃん子だった。祖父の葬式では「あんたはおじいちゃん孝行だったけぇね」と遺影を持たされて霊柩車を見送った。 ちょうどその頃、わたしは日々の肉体労働に疲れきって泥のように眠る日々が続いていた。 祖父が亡くなって四十九日も迎えていない、1ヶ月後。(月命日と言いたいところだが四十九日を迎えていないので、1ヶ月後と表現する) オルゴールの音でわたしは目が覚めた。 音は頭を向けている方向から聞こえてきた。 そこには押し入れがあった。片方が開けっ放しの押し入れ

新しい住宅地に居るもの【不思議で奇妙な話】

過疎化が進む、とある山間部の村。 若い人たちに住んでもらい、人を増やしたいと考えた行政は、草むらだった空き地を整地、そこに住宅地が出来た。付近の獣道を広げて、県道に整備した。 新しい県道は夜は街灯に照らされ、建てられた住宅には若い夫婦等が住むようになった。家明かりは眩しく、かつての暗く静かな、誰も寄り付かない草むら一帯は、その気配を失ったかのように思えた。 深夜。 新しい県道をバイクで帰宅中の男がいた。男はこの村に、生まれたときから暮らしていた。今までは細く暗い古い県

彼が2日間、学校に来なかった理由【不思議で奇妙な話】

放課後、部室には部員以外でも、部員の友人であれば好きなように出入りできた。 集まって、それぞれが好きなことをしていた。 音楽を聴いたり、お菓子を食べたり、ゲームをしたり、マンガを読んだり、寝たり。もちろん、部活らしいこともしていたが、ゆるい雰囲気だった。 たむろするメンバーの中に、Y君という男子がいた。 Y君は部員ではなかったから、特に何をするわけでもなく、椅子に座って雑談をして、放課後の時間を潰していた。 Y君は、成績がすこぶる良かった。 いつも学年の上位にいる、勉