新しい住宅地に居るもの【不思議で奇妙な話】
過疎化が進む、とある山間部の村。
若い人たちに住んでもらい、人を増やしたいと考えた行政は、草むらだった空き地を整地、そこに住宅地が出来た。付近の獣道を広げて、県道に整備した。
新しい県道は夜は街灯に照らされ、建てられた住宅には若い夫婦等が住むようになった。家明かりは眩しく、かつての暗く静かな、誰も寄り付かない草むら一帯は、その気配を失ったかのように思えた。
深夜。
新しい県道をバイクで帰宅中の男がいた。男はこの村に、生まれたときから暮らしていた。今までは細く暗い古い県