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ペアーズが伝えたい「出会い」と”活動人口”の話(前編)

少子化問題が話題になっています。3月31日には、政府の異次元の少子化対策のたたき台が発表され、2030年までを少子化傾向を反転できるラストチャンスとして、「経済的支援の強化」、「保育サービスの拡充」、育児休業にともなう「制度面の改革」など、子育て支援を中心に3つの柱が掲げられました。

実はPairs(ペアーズ)は、2019年頃から少子化について外部有識者との共同研究等に取り組んでいます。

マッチングアプリの会社と少子化、何の関係があるの? と思われるかもしれませんが、数年にわたる調査研究から、私たちが提供するサービス「出会い」は、少子化問題に深くかかわっていると考えています。子育て支援とはちょっと異なる視点での取り組み、そのことを、このnoteを通じて皆様にもお伝えしたいと思います。

マッチングアプリ婚が増えている

マッチングアプリを出会いのきっかけとする結婚が増えているという情報を聞いたことがあるでしょうか。

2021年、それを示す複数のデータが次々紹介されました。

まずは公的な調査である出生動向基本調査。国内の結婚、出産、子育ての現状と課題を調べるために国立社会保障・人口問題研究所が約5年ごとに実施している調査です。2021年に最新の第16回出生動向基本調査が実施され、その結果が2022年9月に公表されましたが、マッチングアプリやSNSを含む「ネット(インターネット)」が結婚の出会いのきっかけの選択肢に今回初めて登場。そして、職場での出会い等が減る中で、インターネットサービスで知り合った夫婦が2018年から約3年間の結婚の約13.6%を占めていると発表されました。

同時期にペアーズは全国約6,000人を対象に株式会社日本総合研究所(以下日本総研)と独自に実施した共同調査の結果を発表しました。調査を実施した2021年6月時点から1年以内に結婚した人にしぼって見ると、約19%がマッチングアプリを利用していたという結果が出ています。

さらに昨年11月、明治安田生命保険相互会社の調査結果で、 2022年単年で5人に1人以上(22.6%)がマッチングアプリで出会って結婚、きっかけではトップと発表され、メディアでも多く取り上げられました。

このように、最近の国や民間の調査によって、マッチングアプリでの出会いの実態が可視化され、結婚に至る出会いの手段が多様化する中で、その成果が注目されるようになりました。

結婚の出会いのきっかけとしてのマッチングアプリの可能性を以前より認識していたペアーズは、2019年から外部有識者らと調査研究活動や有識者会議などを行い、その成果を「Pairs 少子化・未婚化白書」等としてまとめてきました。

この過程で、私たちは少子化問題は未婚化の問題と密接に関わっていることに気がつきました。
ここからは「Pairs 少子化・未婚化白書」第二弾(2022年版)のデータを引用しながら、マッチングアプリと少子化・未婚化問題との関係についてお話ししていきたいと思います。

結婚してから子どもが日本の文化

日本では、下図のように出生率と婚姻率は相関関係にあり、ほぼ比例して動いています。そんなの当たり前でしょ? と思われるかもしれません。でも実はこれ、日本の大きな特徴なのです。

下の図(左)を見てください。非嫡出子(ひちゃくしゅつし)率というのが、日本と韓国が他国に比べ極端に小さいことがわかります。聞き慣れない言葉ですが、これは「婚姻関係にない男女間に生まれた子ども」を意味します。外国では同棲や事実婚等で子どもを持つ人も多いのですが、日本は結婚してから子どもを持つ方がほとんど。つまり結婚が出産の大前提にある国であることがわかります。

一方、下の図(右)の完結出生児数(結婚持続期間「結婚からの経過期間」15年〜19年の夫婦の平均出生子ども数)を見ると、ここ40年間、約2人で大きな変化はありません。

少子化というと、結婚しても子どもを生まない人が増えている、といったイメージがあるかもしれません。確かに夫婦あたりの子どもの数は微減しているのですが、全体的に見ると、何十年も前から大きくは減っていません。

つまり、結婚している夫婦の子どもが減っているというより、結婚しないから子どもの数も減っている、ということになります。これが、出生率が婚姻率に比例して減っているという、冒頭の図につながっています。

日本の少子化問題は、結婚後の問題だけでなく、結婚前の問題を考える必要があるらしい、ということがわかるのです。

ペアーズが少子化に貢献できると考える理由。それは、日本の少子化問題は、結婚の問題でもあり、結婚の問題は「出会い」の問題でもあるためです。

結婚意思があるのに何もしていない

なぜ結婚する人が減っているのでしょうか。結婚したくない人が増えているからでしょうか?

下の図で、先の出生動向基本調査の別のデータを見ると、80%以上の未婚者は「いずれ結婚するつもり」と回答していて、これも約40年前から大きくは変わっていません。結婚意思は、依然として高い傾向にあるのです。一方同じデータで、交際相手をもたない人の数は大きく増えているのがわかります。

結婚する意思はあるのに、交際相手がいない、そんな状況がこのデータから見えてきます。

なぜなのでしょうか。後編で、これまでのPairsの調査研究から、その背景にあるものを少し深堀してご紹介したいと思います。

出典「Pairs 少子化・未婚化白書 2022」