１７．田舎【ショートショート】

「俺の実家がすげえ田舎でさぁ。最寄りのコンビニ行くのに、車で１５分以上かかんだぜ」
「俺ん家の方が田舎だよ。周りは田んぼしかないし、最寄り駅が車で３０分だぜ」
　不意に始まった田舎自慢。負けるが勝ちのネガティブ自慢合戦が繰り広げられ始める。
「いやお前出身〇〇町だろ？ショッピングモールもカフェチェーン店もあるし、十分都会だろ。ウチのとこなんて休日人が集まるのが百貨店だぜ。遊ぶ所も何もないド田舎だよ、ド田舎」
「お前らなんてマシだよマシ。俺の出身、市内にゲーセンも無いよ。学生がつるんで遊ぼうと思ったら、電車で１時間かけて隣町のアミューズメント施設行くくらいしかなかったくらいだ」
　いつの間にか参戦していた友人も交え、いやいや、まだまだ、ウチこそと不毛な言い争いが続いた。
「なになに、実家がどんな田舎だったかって？ウチも大概よ。なんてったって町唯一の転送装置がフリーポイント式じゃなくて座標固定式だったくらいなんだから」
　遅れて現れ田舎自慢に参戦してきた、風変わりな格好の友人にすかさず突っ込みが入る。
「お前の星から見たら俺ら全部田舎だろうよ！」