見出し画像

八ヶ岳音楽堂でコンサートがしたい!!

(画像は「井上直幸ピアノ奏法」のワンシーン。)

自分の未来に関して、
ずっと前から見えているビジョンがあります。
夢のようなもの。

・・・
そんなに広くない、サロンのようなホール。
大きな窓の外は木々のある庭。
美しい景色が見えていて、
その前にピアノが置いてある。
人数は多くない。
でもすごく親密なコンサート。
私とお客さんはお互いに信頼し合っている。
暖かい、勇気が湧いてくるような期待に満ちた空気。
私はピアノの前で深呼吸をする。
指先が鍵盤に触れる。
水を打ったような一瞬の静寂ののち、
人が入っている分リハーサルとは少し違う、
でも豊かな音が鳴る。

私はピアノとの対話を楽しみ、
観客と音でコミュニケーションをする。
とてもリラックスしていて、いいかんじ。
恐れはない。
どの曲も長く弾き込んで慣れ親しんだ、
体の隅々まで熟知している最愛のパートナーたち。
ラヴェル、ドビュッシー、
スクリャービン、カプースチンなど
大好きな作曲家の名品だけを厳選した
プログラム。

刻々と変化する音響を楽しみ、
味方につけて、
ピアノとホールの可能性を遊び心たっぷりに探りながら気持ちよく音を鳴らす。
観客も音の世界でそれぞれが違う景色に身を任せながら、
刻々と移り変わる場面や音色にハッとし、
高揚し、想像し、微細な変化を味わい、
そこに居合わせた誰が欠けても体現できないような、
特別な時間を共有する。

かけがえのない「今このとき」を、全員で共有する。
フェスのように声をあげて熱狂するわけではない。
だけど満ち足りた、不思議な一体感。
次も絶対にまた聴きたいと思う。

…なんて豊かで特別な時間!

てなかんじで、妄想は膨らむよどこまでも。

ですが、ところで。

私が夢みているその「景色が見えるホール」って、
一体どこにあるんだろう?
というのが今ひとつ明確じゃありませんでした。

それにようやく気づいた。
それが…

八ヶ岳高原音楽堂だった!!

巨匠ピアニスト・リヒテルや小沢征爾の助言をもとに生まれたという、
250席しかない特別で贅沢な高原のホール。
建築としても美しい。

…と言っても、行ったことはありません。

その行ったこともない八ヶ岳高原音楽堂に
なぜ憧れるのか?
さらに思い出しました。

音大時代の私は、どうピアノを弾いたらいいか
わからずに苦しんでいました。

練習をしようにも正解がわからない。
どの方向に進むべきか、いくらレッスンを受けても見えない。
自分のか演奏が良いのか悪いのか、
さっぱりわからない。
(おそらく教授との相性があまり良くなかったのですね…いい先生だったのですが。)

そんな時に授業で観たのが「井上直幸のピアノレッスン」DVDでした。

クラスの皆は、井上さんがピアノを弾く時の「最高に感じている」ファニーな表情を見ては爆笑していた。
でも私は内心すごく感動したのです。

だから自分でDVDを買い直し、
一人で観ながら泣いたりしていました。

井上直幸氏が楽譜を指さしたり実際に弾いて見せてくれる。
そして楽譜とおしゃべりするみたいに、
心から楽しそうに話す。
それが本当に楽譜を通して作曲家とメッセージをやり取りしているように見えて、
美しいホールと音響も相まって、
別世界のような、天国的な極上の時間でした。

「ああ、音楽って
こうやって向き合うものなんだな」
と、ひどく感銘を受けたのです。

「クラシック音楽は本来こうやって楽しむものなんだ」と。


井上直幸(おじさん)がフツーのセーターを着て、
ニコニコ笑いながら秋の音楽堂の周囲を歩き、自然に囲まれながら言います。
「なかなかピアノは上手く弾けません。
でも僕、ピアノ練習するの大好き」と言う。

衝撃だった。
既にものすごく上手いのに。
あんなに素晴らしいのに。

それでもまだ「上手くない」とおっしゃる。

この人がそんなこと言うなら、
私も練習がんばろう…と
自然と力が湧き、思いが込み上げました。

素敵なホールと、井上さんの演奏・解説、
苦しかった大学時代に救われた思い出、
そんなことが相まって
行ったこともない八ヶ岳音楽堂が私の意識に
こびりついていたようです。

あの美しいホールは、
単にホールじゃなく
私にとって「芸術場」の象徴なのだと思います。

望むのは、とても大切なこと。
望むことにこそ莫大なエネルギーがあるのだそうです。
だけど多くの人は、「どうせ叶わない」と望むこと自体をやめてしまう。
そのうち自分の心が喋らなくなり、
自分のやりたいことがわからなくなる。

叶うこととセットにしなくていい。
自分が何を望んでいるのか。
ちゃんと自分で気づいて、
認めてあげることが大切。

「何を望むか」が、「その人が誰であるか」だと、どこかで誰かが言っていた気がします。

本当にそう。
だって私は、皆に人気のアイドルになって東京ドームをいっぱいにしたい、とは望めません。
たとえ叶うと言われても、しっくり来ない。

少なくていい、
そのかわり本当に私の演奏を愛して
必要としてくれる人たちと、
八ヶ岳の美しい、小さなホールで、
親密なピアノコンサートがしたい。

それを望むことこそが、
叶えること以前に「私が誰なのか」を
知る方法だし、
「私が誰か」を自分で知らなくては
叶うものも叶わない。
そういうことだと思いました。

というわけで、
まずは夏に八ヶ岳にコンサートを聴きに行ってみます!!


そんな私が日々、音楽の発見で大興奮しているインスタ🎹
ドビュッシー、ラヴェル〜
ショパン、スクリャービン、
ジャズ、分析など。
一緒に楽しみましょう😘

毎日寒いですね。体に気をつけて!