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居候日記 #猫が来た

*フィクションだと思って読んでいただければ幸いです。

 バイト先の先輩カップルの家に居候してから、1週間ほどが経った休みの日。カップルの女性の人(今後Mさんとする)から突然電話がかかってきた。
「〇〇(本名)お疲れ、今猫を拾って、飼いたいんだけど猫が住んでも大丈夫?」
「あ、はい」
別に猫アレルギーでもないし、住まわせてもらっている身分であり、拒否する理由もない。動物を飼った経験がないので少し不安だったが、承諾した。

20分ぐらいすると、Mさんが帰ってきた。どんな猫なのだろうと期待と不安を胸にドアを開けると猫はいなかった。
「あれ、猫は?」
「今、外で自転車を止めてる。」
というので、意味がわからなくなった。

 しばらく待っていると、童顔の女の人が現れた。Mさんは僕に
「これ、A」と言って、Aに僕の方をさして
「これ、〇〇(本名)」と言った。
「今日からAもここに住むから」と言われた。
英国の詩人バイロンの「事実は小説よりも奇なり」が頭の中に浮かんだ。
この状況はなかなか珍しく、面白いことだと思った。

 AとMさんは昔バイト先が一緒で気の合う友達であったが、Aに彼氏ができ、バイト先も辞めて、そのまま音信不通になっていた。しかしたまたま、Aは彼氏と一悶着あった日に、バッタリ街で再会し、居候先に流れ着いたというわけだ。

 確率で計算するとどんな数字になるのだろうか?奇跡というかなんというか、こんな想像もしなかったことが起きるからこそ、人生は面白いと思う。

 


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