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1週間ホームレス日記1日目

*全部フィクションだと思っていただければ幸いです。

関西国際空港 国際線ロビー

 3週間のオーストラリア合宿を終え、関空に20時ごろ到着し、合宿中衣食住を共にしてきた同期と久しぶりに日本食を食べた。特に新しい話題があるわけでもなく、3度目くらいの合宿の振り返りをした。彼らと会うのはもう当分先でいいと思った。そして、彼らは京都への帰路につき、1人関空に取り残された。

 3週間で伸び切った無精髭、乾燥機にかけよれよれの服、手にはサドルバック、脇に断熱マットをもった私はまるで若いホームレスだ。関西の空の玄関に似つかわしくない異質な存在で、他人から避けられている用に感じた。実際避けられていたと思う(笑) 

 同期が帰ると寂しさに襲われ、友人たちに電話をした。いつもより自分の口が発する声が大きいように感じる。周りへの一種の威嚇のようなものだ(笑)。1時間くらいがたち、国内線出発ロビー前の椅子を離れ、寝床を探す事にした。この時の私に関西国際空港内にあるカプセルホテルに泊まるという選択肢はなかった。2枚のクレジットカード上限まで行っており、手には同期から借りた3万円のみだったからである。国際線ロビーのベンチには寝ている人が散見されたので、私もそこへ移り、断熱マットを敷いた。

 部活の特性上、駅や空港で寝るのは少なくない。「赤信号みんなで渡れば怖くない。」の心持ちで、他の部員よりも寝つきはいい方であった。しかし、1人で寝るのは久しぶりで周りの目が気になる。私は赤信号を1人を平然と渡れるほど厚仮面ではないようだ。その日は長期合宿の疲れもあり、3時ごろには就寝することができた。

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