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4.サウナ行きたい 長野ゲストハウスヘルパー体験記

2021年6月10日 午後7時半。宿から歩いてすぐの銭湯に行った。帰りの夜風が気持ちいい。

 宿泊施設のスタッフなのだから、わたしからゲストに観光情報等を教えるべきだと思っている。しかし、今回はゲストからあることを教えていただいた。サウナだ。
 ある時連泊していたゲストが、宿に帰ってくるなり「うるおい館のサウナがとてもよかった」と言った。うるおい館というのは、宿から徒歩20分くらいの入浴施設の通称だ。水風呂が心地よく、全然下調べしないで施設に行ったがみくびっていたととても感動していた。そのゲストはサウナがとても好きで、聞けば今回の旅のメインは、同じく長野のゲストハウス「LAMP」さんのサウナに入ることらしい。

 自慢じゃないが、わたしはサウナの楽しみ方を全然知らない。温泉に行き、時々興味本意でサウナのドアを開けてみることはあるが熱気に恐怖を感じすぐ退散する。なぜあんな暑い部屋に蒸されに行かなくてはならないのだ、しかもそのあと冷たい水風呂に入るなんて心臓麻痺を起こして倒れそうじゃないか。
 最近サウナが流行っていて、みんな“整う”ことに魅力を感じていることは小耳に挟んでいたが、「ふ~ん」てな具合だった。しかし、ゲストの方がとても熱心に魅力を語るので興味がわき、温泉のついでに行ってみることにしたのだ。

 場所は教えていただいたうるおい館。作法がよく分からなかったので、周りの人を観察する。まず水風呂の水を桶に汲んで足や肩、そして頭のてっぺんからざーっとかぶる(後で上記のゲストに聞いたら“水通し”と言うらしい)。手持ちのタオルや手ぬぐいを水でぬらし、マットを持ってサウナ室に入る。マットを敷いて座り、5分ほど滞在。当然暑い。タオルは頭に巻いたり、顔に乗せたり自由なようだ。暑さにがまんできなくなったら脱出し、桶に汲んだ水か、水シャワーで汗を流し、水風呂に肩まで浸かり、1分ほどがまん。冷たくて顔が歪む。このサウナ→水風呂を3セットほど繰り返す。

 するとどうだろう。途中から暑いなかでも呼吸が楽になり、なんだか頭がすっきりクリアになってくるではないか。最後の水風呂のあと、少しして暑いような寒いような、ぼんやりなようなクリアなようなそんな全ての感覚の中間地点にいるという瞬間が訪れた。これがあの“整う”か!!?

 宿に戻り、ゲストに体験を話した。それそれ、それです!と自分の感覚に正解をもらい、うれしくなったわたしは、日を開けずに、今度は徒歩5分のサウナつき銭湯“亀の湯”にでかけた(ちなみに客同士がこんばんは〜とあいさつし合う昔ながらの銭湯で、番頭さんもいる)。地下のサウナにおっかなびっくり行き、水シャワー(正確には水桶)とサウナのセットを繰り返す。またもやあのふわりとした心地よい感覚に包まれた。

 今後の生きる上での足がかりを、と意気込んで長野に来たが、仕事としてできることだけではなく、自分をケアして大切にする方法を教わった気がする。今日も明日もやることがあるが、ああ、またサウナ行きたい。


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