「コアラのマーチ」に憤り、関心し、元の良好な関係をとりもどすまで
今年も無事に1年が終わりそうだと思っていたら、事件が起きた。コアラのマーチで、「まゆげコアラ」が大量発生しているのだ。
最初はこのキャンペーンのことを知らずに、いつも通りコアラのマーチを手に取ったので、食べても食べても同じ絵柄のコアラしか出てこないことに大いに戸惑った。私にとっては、「コアラのマーチを食べる=絵柄を楽しむ」なので、昨今の物価高などがコアラのマーチの絵柄の多様性をも奪い、コアラのマーチはそのアイデンティティを失ってしまったのかと一方的に憤り、絶望した。しかもパッケージには「しあわせの?まゆげコアラ大量発生中‼」とある。多様性を奪われたコアラのどこに幸せを感じればいいのか。だが、ここでふと思った。
まゆげコアラってなんやねん、と。
近所の薬局で、まゆげコアラが大量発生していない、シェアパックをゲットした。大袋の裏面にいるのは、3大ラッキーコアラだ。どうやら、1990年代前半に「この3つのコアラを見つけると幸せになる」と女子高生の間で爆発的な口コミが広がったらしい。なんとも1990年代っぽいエピソードだ。ちなみに、ネットやSNS登場前の口コミやうわさの怖さなどについては「ノーライフキング」という小説にも描かれている。
なお、鼻血コアラがどう見ても鼻血を出していないので調べてみたら、
・鼻血→唇の両脇から伸びるしわが鼻血のように見える
・盲腸→お腹にケガをしたのが盲腸のように見える
・まゆげ→ラッパを吹いているキャラクターのしわが眉毛に見える
という消費者の勘違いが口コミで広がり、その名が定着したらしい。うわさはすごい。
さらに調べていくと、コアラのマーチはMAXで500種近い絵柄があったが、今は数を絞って365種まで絞ったらしい。もはやポケモンである。この辺りで憤りは既におさまり、もはや関心してしまっている自分がいた。そもそもなぜそこまで絵柄の多様性にこだわるのかというと、時代を反映した絵柄の数々にこれまで何度も関心させられてきたからだ。コロナ禍では、テレワークやウーバーイーツを思わせる絵柄のコアラも登場している。
そして多様性を奪われていないシェアパックで、いざ開封の儀。一見しただけで何なのかよくわからない絵柄を読み解くのが、コアラのマーチの醍醐味である。シェアパックは小袋1つあたり基本的に6個入っている。1袋で6回楽しめるわけだ。公式サイトに「絵柄ずかん」があるのでそこで答え合わせもできる。
というわけで、1袋(あるいは1箱)でここまで楽しめるのがコアラのマーチなのである。この楽しみが脅かされたと感じ、ティルト寸前であったが、そうではなさそうなので良かった。無事に年を越せそうだ。