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好き


困った顔とばかみたいな会話

街を歩く。天気のいい日に街を歩くのは気持ちがいい。お薦めの店に入り、食事をする。ここがいかに素敵な場所か教わる。私は店よりも君が好きだよ。君が美味しいと思うものを食べて、私が残したら食べてくれる。それもいいけど、たった一回だけ、適当に入った店で甘いものばかりがメニューに載っていたときに、食べるのは得意な君が、「甘いものは少しでいい」と言いながら困った顔で渋々パンケーキを食べていた日が、一番好きだなと思った。食べたくないのに、食べるしかないって顔。私はいつも、困っていたり、嫌々何かをさせられている男の顔が愛しいと感じる。征服した気持ちになるのかもしれない。でも、そんなシーンに巡り合うのはほんとに貴重で、いつもは自信に満ち溢れた君に、ついて行って街の歴史や文化が語られるのを聞く。でも、私はもっと、「好きだよ」とか「大好きだよ」とか、「優しいところが好きなの」とか「それ苦手だよね、好きだな」とか、「私のこと好き?」「どんなときに好きだなって思う?」とかそういう、まわりから見たら、ばかみたいな会話がしたい。それを本気で言ったり聴いたりして、もしも気に入らない返答が返ってきたりしたら、気持ちが変に昂ぶっちゃって夜、ふたりで横になっているのに全然眠れなくなったりしたいの。よく眠っている君の横で本を読んで気持ちを落ち着かせて、やっと寝て起きて、目が覚めたら隣に君がいて、なんかもう全部いいやって許したりしたい。

その日暮らし

その日暮らしの生活のいいところ。お金がないなあと思って、一日倉庫とか、作業場みたいなところで言われた通りに働く。7500円もらう。これは、エッチ一回分。つまり、昼間だけ遊ぶ予定だった日をお泊まりに変えるチケット代(自分が全部払うことはあんまりないかもしれないけど)。私は来たるエッチ一回のために、こんなに一生懸命、一日働いてんの。この生活って、めちゃめちゃ分かり易くて、そんなことのためにわざわざ早起きして労働してる自分に可笑しいって笑ってあげられるから、すごくいいと思う。明るく仕事ができるし。ちなみに、分かり易い分、真面目な気分のお仕事の日もある。今日は毎月引き落とされる奨学金の返済のために働く日。今日は退会しそこねたけど行ってないジムのための日。今日はあっけなく抜けてしまった髪の毛の色を染め直すため。あ、新しい髪色にするため、と言い換えるとモチベーションが少し上がるな。人間は生きている限り何かを消費するんだなあと思う。消費するための通貨としてお金を稼いで使うんだなあとしみじみ、思う。私は社会に見放されてるように見えるけど、全然社会は見放してなんてくれなくて、自由になんてしてくれなくて、社会との断絶なんて今の時代、死ぬ以外叶わないんだなと思う。

目の悪い人

メガネの男が好きだ。私の今まで恋した人たちは、中学生の時に何となく2ヶ月付き合った男の子を除いて、ほぼ100%(しっかり数えたら80%くらい?)のメガネ率である。私は目が悪い人が好きだ。メガネが好きというよりかは、目が悪い人がメガネをかけているのが好き。メガネをちゃんと欲している人に、メガネをかけてもらいたい。伊達メガネはあまり趣味でない。メガネを外したあとは、何も見えなくなって困ってもらいたい。メガネがなくてそれを探して部屋の中をさまよう男ほど、愛しいものはない。女の子の場合、後輩で冷たい性格だと尚、良い。メガネを外すと綺麗な二重で、構いたくてアイシャドウを塗ってあげる、と持参したコスメで瞼をキラキラにしてあげると、喜ぶのが可愛い。でも瞼が弱いからとコンタクトではなくメガネをかけていて、アイシャドウは目が痒くなると後から聞いた。あのときは本当にごめんね。いつもは冷たいのに、意外と言えなかったのも可愛い。メガネを外して何もはっきり見えないからと安心していて、目が合って(いるように感じて)、そのまま私を見つめたまま手を握って、ついに寝てしまったのも可愛い(これは私信であるので、彼女はこの世に一人だけ存在するが、この文章を読むことはないだろう。かなり昔の話)。

白湯

本当にどうでもいいんだけど、白湯が好き。最近コンビニに白湯が置いてある。その姿を初めて見たとき、本当に嬉しかった。今頃になって現れたの?もう、ずっと待ってたよって思った。何でないんだろってずっと思ってた。ただ、水をあっためたやつ。カフェインを摂りたくないときも、お薬飲みたいときも、ずっと水買ってたけど、水って寒いとき冷えるし。白湯を販売しましょうって言った人、体弱い人が傍にいたのかなあ。笑
なんて。
もしかしたら今まで、白湯が飲みたい人はしっかり水筒に入れてきて持ち歩くような、手間をかけるのが好きな人が多かったのかもしれない。でも水筒の用意は横着するくせに、白湯が手軽に飲めたらなあと思う人間も中にはいるみたい。私を含め。ちなみに友達の友達(口悪い)を入れて3人で一度だけ遊んだとき、白湯を買っていた私を見てからずっと、私は彼に白湯女と呼ばれているらしい。


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