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読書紹介パート1-蒸気と幻想に満ちた空想世界“スチームパンク”

・スチームパンクって何?

こんにちは、図書館好きライターの駿河です。
さっそくですが皆さんは“スチームパンク”という世界観を知っていますか?

スチームパンクとは創作などにおける世界観の一つで、SFとファンタジーを融合した独特の雰囲気が特徴です。

その名の通り蒸気機関の華やかりし19世紀イギリスをモチーフにしており、ヴィクトリア朝ロンドンのレトロな雰囲気と奇妙に発展した蒸気技術が組み合わさって1980年代から急速に人気を集めました。

日本人であれば宮崎駿監督の「天空の城ラピュタ」や「ハウルの動く城」。「鋼の錬金術師」に登場する機械鎧(オートメイル)がイメージしやすいでしょうか。
巨大な飛行船や空中都市、奇妙なテクノロジーもスチームパンクの魅力の一つです。

日本でもコスプレや創作の分野で見かけることが多く、和製スチームパンクとしてアニメ「スチームボーイ」が王道のスチームパンク作品。変わり種としてセガの「サクラ大戦」シリーズは、大正ロマンを取り入れた和風スチームパンクの端緒と言える作品です。他にも「甲鉄城のカバネリ」などが和風スチームパンクの典型と言えるでしょうか。

霧と蒸気でけむる街を歯車と配管だらけのロボットが歩き回る。そんなロマンあふれる世界観が「スチームパンク」なのです。

・スチームパンクを題材にした小説

さて、SFの一分野としてかなりメジャーなジャンルであるスチームパンクですが、個々の作品、特に小説となるとなかなかとっつきにくいのも事実。ここでは素人ライターである僕の個人的なおすすめの作品を紹介します。


1.「リヴァイアサン -クジラと蒸気機関-」

:スコット・ウェスター・フェルド 著

あらすじ
第一次世界大戦前夜の欧州、遺伝子操作によるバイオテクノロジーを使う「ダーウィニスト」と、進歩した機械技術を誇る「クランカー」に分かれた各国の対立は深まっていました。
そんな中、「サラエヴォ事件」で両親を暗殺されたオーストリア公子アレックと男装のイギリス軍兵士ディランとの出会いは世界を揺るがす大冒険へと発展していきます。

2010年にローカス賞(一般投票で決定される英語圏のSF賞)のヤングアダルト部門を受賞しただけあって純粋なボーイ・ミーツ・ガールとしても面白い作品ですが、なんといってもその魅力は次々に登場する不思議なガジェットの数々。

ヒロインのディランが乗り込む英国海軍の飛行戦艦「リヴァイアサン」はなんとクジラを改造した生物兵器‼︎ 他にも巨大歩行戦車「ストームウォーカー」など、この手のファンにはたまらない設定がこれでもかと出てきます。

ちなみに作中では日本も登場し、カッパ(⁉︎)を用いた戦闘場面も。
大戦期を舞台にした歴史改変小説としての一面もあり、仮想戦記好きも必見!
シリーズ3作品ともハヤカワ文庫で出版されているので入手するのは難しくないでしょう。

2.「ミス・ファーブルの蟲ノ荒園」

僕の知る限り数少ない純スチームパンクのライトノベル作品です。巨大な「蟲(“ギブル”)」と彼らから採取される化石燃料によって築かれた架空の文明が栄えるフランス。薩摩藩からの留学生、彗太郎が蟲好きの少女アンリ・ファーブルと繰り広げる冒険活劇で、藤ちょこ氏の美麗なイラストが美しい世界観を見事に表現しています。
主人公2人を軸にした明るいストーリーは活字慣れしていない読者にも読みやすく、「蟲“ギヴル”」の存在を介した独自のスチームパンク要素も本格的で広い層にお勧めできる作品といえます。

2013年に第1巻が発売され電撃文庫から全4巻が刊行されていますが、僕が読んだ2015年前後にはすでに手に入れるのが難しく。全巻揃えるためにBOOKOFFを数件回るはめになりました。Amazonでは全巻セットも販売されているほか電子版もあるため、すぐ読みたい方はこちらを利用することをお勧めします。

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