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2020年の終わりに

それは2011年の経験ともまた異なる、当たり前のことが当たり前ではなくなる一年だった。行動様式の制限が全人類に課された結果、自分自身も、自分から見える他人も、色々なものが炙り出された一年だったと思っている。

大嫌いな満員電車に乗らなくても良く、集中できる環境で仕事をできるようになったのは大変ありがたい進歩だった。外出できない間は読書や映画、絵画などのインドア趣味があってよかったと思った。オンライン飲みは喋っていて100%気持ちの良い人とだけした。ちょっとでも無理して他人とあわせなければいけないようなところには絶対に顔を出さなかった。呼吸と同じくらい必要な海外旅行に行けないことが大変つらかった。1年に多くて2回程度のことだけど計画すらできないことがつらかった。またこのさなかに家族が病気になってしまい面会もできないことももっとつらかった。

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それらを救ったのが、登山だった。登山口までには大概利用しなければならないバスに乗るのに抵抗があったが、数年前にペーパードライバー講習に通って車を運転できるようになっていてよかった。山小屋の密を避けるため、マイテントを思い切って購入した。機動力が上がった。一人でや、少しの友人と、気ままに自然の中に出かけることで何度も気持ちを軌道修正できた。頭を空っぽにして深呼吸できる時間がとても貴重だった。

また、今年よりも前に自分がやってきたことに少なからず救われたという実感もあった。それは、真っ直ぐな気持ちで取り組んだ仕事で信頼できる人との繋がりができていたり、長く一緒に励んできた人との共感が今年になってから強まったりしたこと。お互いを大切にできる友達とこれまで長い時間を共に過ごしてきたこと。昨年のうちは、たまに疲れたと思ったけどまあ頑張るかと、体調悪化が進む家族に頻繁に会いに行けたこと。

今年になってからの後悔を、ちょっとだけ少なくできてよかった。

だから、今できること、やりたいこと、やるべきことは、やっぱり後回しにしてはならない。今年はいつもよりもそう思わせられる瞬間が多かった。大人の世界はあるべき論や変化を起こしにくいことが割と多くて、いつもいつも心身元気なわけでもないし、選択を誤ってしまうことは多くあるけれど、やはり自分の気持ち、正義、美徳には嘘をついてはいけない。お互いを大事にできる人との繋がりは何よりも大切にしなければいけない。そして、あなたを大切にしない人からは離れなくてはいけない。人間のパワーも時間も有限なのだから、本当に好きなもの、大切なものに集中するべきだ。今年は本当に、何度もそう思った。

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疫病流行という今生きている人は誰もが未体験のことは、突然やってきた。2011年の災害だってそうだった。この年は、きれいごとや言い訳が何の意味もなさないと、誰もが多かれ少なかれ気づき、実感したのではないか。もうそろそろ自分の「正しい」を実行に移していかねばならないという大きなうねりを感じたのではないか。少なくとも私自身はそう思わせられた一年だった。

2021年はどんな年になるだろう。
何があっても感染予防だけは怠りなく!


ご覧いただきありがとうごさいます。旅と登山と散歩の記録をコツコツと書き続けていきます。