『気血水論①』〜気虚とは〜
心身を健康に保ち、病気を防ぐためには、自身の身体の個性について知っておくことが大切ですが、身体の個性を知る為の物差しとして、漢方には「陰陽論」、「五行論」、そして「気血水論」があります。
そこで今月から5ヶ月に渡り『気血水の体質』ついてお話しします。
気血水とは、基本的な人体の構成成分で、それぞれの特徴から、気を陽(陽気)に、血・水(津液)を陰(陰液)に分けて考えます。
気血水(津液)は、互いに助け合い、コントロールしあい、密接に関係しあいながら全身をめぐり、生理機能を営んでいます。
質の良い気血水が身体を巡っていると健康といえますが、足りなくなったり、滞ったりすると心身に不調が現れます。
「気」は生命を維持するためのエネルギーです。
気血水の気とは人体の構成と生命活動の最も基本となるものであり、
私たちが身体を動かしたり、人と話をしたりできるのは、まさに「気」のはたらきがあるからです。
その気が足りなくなっている状態を「気虚(ききょ)」といいます。
主に下記のような状態があります
疲れやすく体力がない/風邪をひきやすい/手足が冷えやすい、寒がり/朝が苦手、食欲もない/胃腸が弱い、消化が悪い/身体を動かすと具合が悪くなり横になって休むと楽になる/呼吸が浅くて息切れしやすい/普段から眠気が強い/汗かきで少し動いただけでも汗ばむ
漢方の養生には『心/食/動/休/環』の5つがありますが、気虚の方に取り入れていただきたい養生は
心...頑張りすぎない。今日もよくやったと自分を褒める
食...補気食材(お米や雑穀などの穀類、芋類)、よく噛んで時間をかけて食事をとる
胃腸の負担になる食事(脂もの)、冷たいものを控える。
動...ストレッチや散歩など心拍を上げない緩やかな運動
休...よく休む。睡眠時間を充分にとる。
環...1日の始まりにお部屋の空気の入れ替えをして朝日を浴びる
などがあります。
この気虚の体質はやっかいなことに、放っておくと「血虚」や「✳︎陽虚」、「水滞」、「瘀血」を生んでしまいます。
食べたものを消化吸収する力が不足するため血不足=「血虚」となり、
気には身体を温める働きがあるので慢性的な冷え=「陽虚」へと進行します。
さらに気には血液を巡らせる働きがありますので血行不良である「瘀血」にもなりやすくなります。
気が不足すると胃腸の動きが悪くなり、処理しきれない水が体内に貯まるようになります。これが「水滞」ですね。
「気」は目に見えませんが、何となく感じ、伝わります。
元気な赤ちゃん/気力がわく/活気のある職場/気持ちが良い/気の流れが良い場所
気の合う友人/陽気な仲間/気遣いができる人...
いつも顔を合わせている家族や同僚の「何となく元気がない状態」はすぐにわかりますよね?
中国最古の医学書「黄帝内経素問」にはこのように書かれています。
『百病は気に生ず(全ての病は気から生ずる)』
病は気からというと誰もが耳にしたことのある言葉ではないでしょうか。
健康のために、
周りにもご自身でも、少しの変化に気づいてあげましょうね。
✳︎陽虚...身体を温める力が不足した状態