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データアナリストの成長段階

自己紹介

私は現在、マッチングアプリのPairsを運営するエウレカという会社でデータ組織のマネジメントを行っています。役割としては、BIチーム(データアナリストチーム)、AIチーム、Data Managementチーム(データ基盤チーム)の3チームの戦略推進が主になります。実際どのようなことをしているのかは以下の記事をご覧ください。

この記事について

今回記事を書こうと思ったきっかけは、データアナリストのキャリアについて自分の考えをまとめたかったからです。「データを使って意思決定に貢献する」「データからインサイトを得る」…と多くの組織がデータ分析に注力している中で、分析者であるところのデータアナリストが実際どのようなキャリアを歩んでいるかは、まだ情報が少ない印象を持っています。

そもそも「データアナリスト」という役職から想像される人物像は組織によってバラバラです。指標をレポートする人、データ基盤を整理する人、データを元に提案を上げてくれる人、データサイエンスを駆使して課題解決に導いてくれる人。様々な期待値が持たれているために、役割が言語化が難しく、Job Descriptionもスーパーマンになってしまったり、採用でフィットする人が見つからなかったり、ということが起こりがちです。

私個人としては、2014年にDeNAの分析部に新卒アナリストとして入社し、その後ゲームデザイナー、AI PdM、そして2019年にエウレカに入社してからはデータ組織のマネージャーとしてキャリアを歩んできました。

本記事では、① 個人のアナリストとしてのキャリアを振り返ること、② そこから抽象化して一般論や転用可能な考え方を示すこと、を目的としています。

また、議論が広がりすぎないように、以下のようにスコープを絞ります。

● ドメインはこれまで関わってきたtoCサービス、特にモバイルゲームが中心になります(が、一般論はtoBなど他のサービス形態でも使えるものだと思っています)
● AI領域での活動についてもいろいろと書きたいことはありますが、ここでは深堀りしません
● データ基盤、UXリサーチ、マーケティング、といった話題は割愛します。実際にはこうした部門との連携はとても重要ですが、話題を広げすぎないように別の機会で扱えればと思います。

最初はあくまでも個人の話になりますので、結論だけ知りたいという方は「アナリストとしての成長段階」までスキップしてください。

アナリストキャリアの出発地点

私はもともと就職するまでは宇宙物理学の分野で研究をしていました。D2の頃から民間への就職を意識し、自分の分析経験を活かしたいという想いから、早いタイミングで内定が出ていたDeNAに入社を決めました。就活中はビジコンや戦略コンサルの短期インターンにも参加していましたが、その過程でDeNA創業者である南場さんのビジョンに共感したのも大きな理由です。

入社後は、モバイルゲームの分析を行う部署に配属されました。この頃のDeNAは新卒をアナリストに登用し始めてまだ2, 3年目の頃で、周りはシニアな先輩ばかり、という状況でした。今でこそゲームドメインにはかなり詳しくなった自負がありますが、入社当時はモバイルゲームの知識はほぼなく、右も左も分からない状態でキャッチアップするのに必死でした。楽なことばかりではなかったですが、当時は些細なことでも相談に乗ってくれたり、親身になって並走してくれる先輩がたくさんいたおかげで、新卒で飛び込んだにも関わらずなんとかやっていくことができていました。

新卒採用か中途採用か
アナリストを採用する際に、即戦力となる中途人材を求めている会社が多いと思いますが、それは正しいアプローチだと思っています。ビジネス理解が未熟だと、どのようなアウトプットが求められるのか、というゴールを理解できないまま闇雲に分析しがちです。そうした分析は当然現場に受け入れられず、頑張っている割には成功体験につながらない・評価されない、という状態が続くことになります。

ジュニアなメンバーに対しては、時間をかけてビジネス構造を説明し、分析の型を並走しながら教え、時にはプロジェクトチームとの間に入ってコミュニケーションを助ける、という動きができるメンターがいなければ育成の選択肢を持つべきではないと思います。

1年目: アナリストとしての基本スキルを身につける

新卒1年目として最初に取り組んでいたのは、データを使ってゲーム開発チームの仮説を検証することでした。「ユーザーの離脱が増えているから、誰が抜けているのか調査してほしい」「ステージの難易度が適切かどうか検証してほしい」「アイテムの値付けと確率が適切か判断してほしい」などなど。担当していたゲームプロデューサーからの依頼に、プレイヤーの行動ログを集計して答えていきます。この辺りは、すでにコモディティ化しているアナリストの基本スキルでしょう。

この時期に悩んでいたのは「正しい問いを立てる」ことです。プランナーからの分析依頼を機械のようにこなすだけでは、本質的な課題解決に向かえているか分かりません。自分の分析が本当に価値を生んでいるのか不安になりながら、様々なゲームをやり込んで課題を自分ごと化したり、なるべく多くの時間を現場で過ごしてチームメンバーが普段考えていることを聞いたり、試行錯誤を繰り返しました。

最初は、プランナーが立てた仮説に対して分析をそのまま打ち返す、ということしかできなかったのですが、徐々に自分が仮説を立てる割合を増やしていくことで、分析が価値につながっている実感値を持てるようになっていったのを覚えています。ここがアナリストとしてのスタートラインでした。

アナリスト不要論について
少し横道にそれますが、当時別のゲーム会社から転職してきた先輩に聞いて好きだった話に「あるタイトルではアナリストなんかいなくてDAUとMAUしか見てなかった」というエピソードがありました。そのタイトルはセールスランキングでも常に上位にあり、イベント施策がことごとく当たっていました。

この話を聞いて感じたのは「課題の解像度が高くて構造化されていれば分析なんていらないのでは」ということです。最初から進むべき方向性が分かっていたり、チームが正しく課題を構造化して仮説を持っていれば、アナリストはただのレポーティング担当として分析を受け仕事としてこなせば十分です。

しかし、そのような現場は稀でしょう。上述の文脈でアナリスト不要論が語られることもありますが、自分はどちらかというと反対の立場です。もちろん、正しい問いを立てる役割をPdMや事業責任者が一人で回しているところもあるかもしれませんが、組織としてそうしたスーパーマンに依存する構造を良しとするかは別問題です。データリテラシーを持ち、客観的な立場から適切な問いと適切な分析を考え続けるファンクションを「アナリスト」として切り離しておくのが長期目線でいい場合もあるでしょう。ここは事業ドメインや組織形態によって賛否が分かれるところかと思います。

データアナリストの基本スキル、というとすごく漠然としてしまいますが、もう少し具体的に書くと、以前の記事で紹介した「正確さ」「早さ」「納得感」を兼ね備えた分析が一定の水準でできることだと思っています。もちろん、これらをすべて完璧にできる人などいないですが、記事で紹介しているアンチパターン(やらかし)が少なくて分析を安心して任せられる状態がミドル以上である、という評価基準を持っています。

2年目: 分析を越境して、ビジネスを前に進める

当時のDeNAの分析部は、アナリストが全員上述の基本スキルを持っており、ゲームチームからの信頼も厚い部署でした。しかし、ビジネス課題というのはデータ分析をすれば見通しが立つものばかりではありません。プレイヤーの行動を分析しているだけでヒットタイトルが生まれる訳ではなく、アナリストがさらに価値を出すために、よりドメインに寄った課題解決が模索されていました。

そんな中始まったのが取り組みの一つがゲームデザインです。他社のヒットタイトルをひたすらやり込んで「なぜこのゲームが流行っているのか」という共通項を言語化したり、ゲームの進捗感を生み出すための数理モデルを作ったり、レベルデザインや行動経済学の書籍を乱読しました。

ゲームというのは、ダメージロジック(ダメージ量を攻撃力、防御力、レベルなどで数式として表現したもの)、レベル上げに必要な経験値、武器の価格、必殺の一撃が出る確率、セグメントごとの想定プレイ時間、マッチングロジック、といった様々な変数やモデルで成り立っています。このさじ加減でプレイヤーの進捗感が変わるため、面白いゲームを作るためにはゲームの基本設計が重要になります。これはプランナーの領分ではありますが、高度な数値シミュレーションの活用やゲーム設計観点の標準化の文脈でアナリストが担当することもありました。社内では常にたくさんの開発ラインが動いていたので、知見が分散しないように整理する点からも横断組織が取り組む意味があったと感じています。

ここまで来ると、やっていることはアナリストというよりもなんでも屋に近くなってきます。実際、関わっていたタイトルは10程度に及び、アナリストだけでなくゲームデザイン、マーケ、リサーチ、ファイナンス、といったゲーム開発に必要な役割はなるべく関わるようになっていました。最終的には、プレイヤーが楽しめるゲームが開発できて、事業が成功すればそれでいいので、アナリストの役割を限定する必要はないのです

このような越境的な動きをする中で一番成功したのが『逆転オセロニア』というゲームです。チームが一丸となって、継続率を2倍に伸長させてV字回復を達成したタイトルで、当時の動きについてはCEDEC2017のアーカイブ動画でも紹介しています。この頃には、他に関わっていたタイトルでも成果が出始めており、仕事の幅が広がることに対して充実感を感じていました。

アナリストのコミットメント
アナリストは日々数字を追っていく過程で課題解像度が上がるので、ドメイン知識も身に着くに従って、自分で施策を立案して推進していった方が事業に貢献できるようになっていきます。こうした動きに楽しみを感じられるタイプの人は、アナリストを離れてPdMや事業リーダーになっていく傾向が強い気がします。実際、同僚でそのようなキャリアを進んでいった人は少なくありません。

事業へのコミットメントが高いアナリスト、というのは自分が理想としているところです。ただ一方で、マネジメントの立場からはこのようなマッチョなアナリスト像をどこまで持つべきか気をつけないといけないなと感じています。

3年目: 分析の引き出しを広げる

基本的な分析が身について、ゲームドメインでもできることの幅が広がると、次に力を入れたのは分析の引き出しを増やすことでした。当時の分析は、SQLを使ったクロス集計でクイックに結論を出すことが多く、それだけでほとんどの問題に答えることができました。しかし、よりプレイヤーの解像度を上げていくためには、大量の細かいログデータからパターンを見出したり、A/Bテストのようなランダム化比較試験ができない状況で施策効果を分析する手法が必要になります。

この時期には、機械学習や統計モデルを使ったプレイヤー分析に着手しました。勉強をしながら、学んだ手法をとりあえずログに当てはめてみる、という手段ベースの分析で、今思い返すと恥ずかしい失敗も重ねています。ただ、実際に手を動かすことで、機械学習の使い所や気をつけないといけないことがクリアになっていき、1割くらいの確率でそれまでの分析では出てこなかった発見もありました。ゲームキャラのパラメータ設計の分析パイプラインを組んだり、モンテカルロ法を使ってユーザーの行動シミュレータを作ったり、いろんなことに興味ベースでチャレンジしていた時期です。

今の会社のデータチームで、積極的に担当業務外のチャレンジを推奨しているのも、この時の経験がもとになっています。

4, 5年目: アナリストを離れて、AI開発に

データサイエンスに触れるにつれて、当時盛り上がっていた深層学習や強化学習といったトレンドにも触れるようになりました。このタイミングで分析部からAIシステム部という部署に移動することになり、ゲームAIのPdMをしながら、強化学習のビジネス戦略を作ることになります。特にゲームドメインで蓄積した開発・運用の経験は、PdMとしてAIを事業化するのに大きく役立ちました。優秀なメンバーたちが開発したゲームAIは、世界的にも珍しい事例だったのと、事業的にも成功した(開発・運用費をリクープする以上の売上貢献があった)ため、GDC2019やGoogle Cloud Next2019といった海外のカンファレンスでも紹介されました。社内でチームが社長賞を受賞したのもこの頃です。

AIのキャリア論はスコープ外になるのでここでは割愛しますが、データアナリストとして分析手法を深めていく中で、データサイエンティストやMLエンジニアにジョブチェンジする流れは以前よりもできているのかなと思います。

6年目: データ組織の課題に向き合う

ここまでプレイヤーとしてデータに関わってきましたが、ここで突然キャリア迷子になってしまいました。このままアナリストやMLエンジニア、あるいはPdMとしてキャリアを深めていくべきか、そもそも当時広がっていたゲーム以外のドメイン(ライフサイエンスやオートモーティブ事業)に関わっていくべきか、海外で働きたいと思っていたので思い切って日本を出て転職活動するべきか。この時期は本当に悩んでいて、色んな人に相談を聞いてもらっていた気がします(あの時に向き合ってくれた人たちに頭が上がりません)。

当時悩みながらよく考えていたのは、プレイヤーとしてだけでなく裁量を持ってより上流の意思決定に関わりたい、という気持ちです。そこにはAIプロジェクトが難しすぎること(事業部との期待値調整やパイプライン整備の投資判断)という背景がありました。AIプロジェクトの泥臭さを見てきた立場から上段の意思決定に関われたら、もっと正しく物事を動かせるかもしれない。結果として、データ人材が成果を出しやすい環境が作れるかもしれない。

プレイヤーである限り、どんなに分析の幅が広がったり、施策立案ができるようになっても、それだけでは動かせない組織課題もたくさんあります。そうした考えもあって、組織運営に向き合える場所を探してエウレカに入社することになりました。当時副業として関わっていたエウレカのデータチームが好きで「この人達とだったら一緒に泥臭い課題に向き合えるだろうな」と思ったのがきっかけです(もちろん、前職もデータキャリアの環境としては最高であることを付け加えておきます)。

長々と書いてしまいましたが、ここまでが私のキャリアの全体像です。続いて、もう少し抽象度を上げてアナリストという役割を俯瞰してみたいと思います。

アナリストとしての成長段階

これまで個人としていろんな試行錯誤を続けてきましたが、ずっと一貫していたのは課題解決に向き合うことです。アナリストキャリアは、課題解決能力をどの方向に伸ばしたいかによって決まってくるのではないか、というのが自分の立場です。

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キャリアを始めてから、徐々にゲームデザインをやってみたり、機械学習の活用に集中したり、マネジメントに向き合ったり、とアナリストの枠を超えて様々な役割に手を出してきた気がしますが、事業を前に進めるためにできることはなんでもやりたい、というモチベーションは変わっていません。その時々で解決したい課題の種類が異なっていて、課題に合わせた役割を選択してきました。

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また、それぞれの課題解決のカテゴリごとに、スキルを深めていく成長軸もあります。データアナリストであれば、SQLを使ったクロス集計だけでなく、データサイエンスや因果推論、質的分析といった自分が扱える武器を増やしていくのもいいでしょう。最近は分析課題も複雑化していますし、マーケ領域でもMMMなどの統計モデルを使ったアトリビューション分析が一般化してきているので、高度な分析の重要性はより増している認識です。

プロダクト開発で価値を出すのであれば、PdMや事業リーダーといった役割を深めていく方向もあります。データ基盤を効率化して分析しやすい環境を作るのであればデータエンジニアのキャリアも開いています。機械学習に興味があれば、ML開発に関わるエンジニアとして成長するのもいいですし、組織マネジメントに課題を感じていればリーダーや役員になっていくのもありです。これまでいろんなアナリストの方と交流してきましたが、みなアナリストの経験をコアにしつつ、掛け算が活きるポジションに移動しています。

自分はこの先どうなりたいの?

7年間の社会人生活では、課題解決能力を伸ばすという気持ちでキャリア選択をしてきました。今はその中でもマネジメントのカテゴリを深堀りする時期です。データ組織のマネージャーとして、他の先輩の経験を参考にしながら、メンバーからフィードバックをもらいながら、マネジメントの一つの型を作っていきたいです。

個別スキルとして意識しているのはデータマネジメントやMLOpsの領域です。データ組織は、BIやAIといった利活用だけではなく、それを実現するための基盤がとても大事で、エウレカでも投資を加速しています。個人としても経験値が必要な領域なので、日々勉強をしています。

他にも将来のキャリアの中で成し遂げたいことはたくさんありますが、結局今は目の前の組織に向き合い続けたいし、納得できるまでやりきることが自分の役割なのでしょう。

アナリストキャリアを考えている人に

長々と書いてしまいましたが、アナリストを目指している方や現在アナリストとして試行錯誤を続けている方へ。自分からどこまで参考になることが言えるか分かりませんが、いくつかメッセージをまとめます。

いろいろチャレンジしながら自分が尖れる領域を見つけよう

アナリストはスキルの幅がとても広い役割です。すべてのスキルを広くカバーしていくのもいいかもしれませんが、そうしたジェネラリストとしての道が合っているかどうかは人それぞれです。アナリストのカバー範囲が広いからこそ、今後はより分業化が進むはずで、自分がやっていて楽しいことを深めてスペシャリストになっていくのが納得いくキャリアを作るための近道かもしれません。そもそもジェネラリストになるためにはスペシャリストを経由するべき、と言われるように「自分がどこで尖りたいのか」という観点は普段から意識しておいた方がいいように思います。

アナリストは中継地点

アナリストとしての基本スキルを身につけることは正直難しくなく、誰でもそれなりに分析ができるようになります。ただ、ある程度分析ができるようになると「その分析力を使って自分は何を成し遂げたいのか」を問うことがあるかもしれません。もし自分の裁量で事業の成長に寄与したいのであればPdMや事業リーダー、データを効率よく扱うシステムに興味があればデータエンジニア、機械学習に興味があればデータサイエンティストやMLエンジニア、チームに興味を持てばマネージャー、などなど。アナリストという役割をずっと続けていくのは恐らく珍しいことで、どこかのタイミングで分析力との掛け算が活きるポジションに移動することになるはずです。

逆に言うと、アナリストとしてのスタートも新卒である必要はなく、エンジニアやPMからのジョブチェンジも全然ありです。アナリストはあくまでも一時的に通過するキャリアである、と考えたほうが将来の見通しが立つかもしれません。

他社のアナリストとつながろう

自分がアナリストとしての成長に悩んでいた頃に、一番居場所になってくれたのがData Analyst Meetup Tokyoというコミュニティです。2016年の第一回イベントに参加した時の運営メンバーである(当時メルカリの)樫田さん、(当時クックパッドの)伊藤さん、Facebookの西谷さん、Brainpadの吉田さん、参加者の方々には本当にいろんなことを学びました。アナリストは周りにロールモデルや相談相手が少ないので孤独になりやすく、そうした時に気軽に飲んで考えを吐き出せる仲間は本当に貴重です。今は以前よりもコミュニケーションが取りやすくなっているはずなので、これからもアナリストコミュニティが様々な形で盛り上がるといいなと思っています。

アナリスト組織のマネジメントについて

こちらはマネージャー向けの内容になります。実際にマネージャーという立ち位置からどのようにメンバーをサポートしていくべきか考えることが増えています。書きたいことはたくさんありますが、今回は一部だけ。

メンバーのチャレンジに投資しよう

これまでアナリストとしていろんな役割に挑戦させてもらいました。その中にはもちろん失敗したものもたくさんありますが、様々な領域に手を出していくうちに、次第に自分のキャリア像や得意領域がクリアになっていったのは間違いなくいい体験でした。仮に遠回りだったとしても、メンバーのチャレンジに対してはぜひ背中を押して、(仕組みとして)成長をサポートしてください。

キャリアの入口と出口を用意しよう

上述の通り、アナリストというキャリアは中継地点のようなものだと考えています。ジョブチェンジを積極的に推進したり、他部署からのトランスファーを受け入れる仕組みが必要です。もちろん流動性が高まることで大変になることはありますが、それ以上にデータリテラシーを身につけた社員が他の場所で活躍することをポジティブに捉えましょう。

成果はちゃんと出す

この記事では、マネジメントの中でも特にピープルマネージメントに着目した書き方をしています。一方で、事業会社である以上、分析組織がしっかりビジネス成果を出せていなければ意味はありません。最後に評価されるのは結果。経営陣と期待値を握りながら、組織が本当に事業を前に進めているのか常に気にかける必要があります。今回はこの部分について扱いませんが、また整理できたタイミングで記事が書ければなと思っています。

最後に

過去の自分を振り返りながら、アナリストキャリアについて考えてみました。フェーズはどんどん変わってきましたが、どういう選択をしても悩みはあるし、毎日が試行錯誤です。そんな状況で自分を支えてくれているのは、間違いなくチームメンバーやこれまで交流してきたアナリスト達です。昔を思い出しながら改めて感謝の気持ちが強くなりました。

キャリアの話はどうしても「べき論」や「どちらが得か・損か」みたいな話が多くなりがちですが、N=1の話をたくさん出すことによって見えてくる輪郭もあるはずです。そうした意味で、もっと他の人の個人史も読んでみたいなと思っています。この記事が、少しでもデータ人材のキャリア選択の参考になればと願っています。コメントや意見がある方は、@pacocat までお願いします。

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