かんたんには見抜けない!リメイク素材としての価値
ネットオークションやフリマ、楽しいのは良いけど、
ゴミ箱へ直行するしかない品物を買ってしまうことがあります。
先日もやってしまいました。
スマホでネットオークションを見ていたら、めっちゃ好みの図柄の帯に出会ってしまって。
この写真です。
PCならきっと手を出さないはずのところ、この日はスマホの画像で見ていました。よく観れば劣化していると理解できたでしょうが、「目立った傷や汚れなし」という説明を信じて、落札してしまいました。
競争相手はほとんどいませんでしたから、とても安かったけど、送料が意外に高かくてビックリ!
しかも実物は写真どころじゃなく、封を開けた瞬間『やっちまった』と思わずつぶやく始末。
全体的に色あせているし、部分的には極端に色あせていて、
白っぽい点々が隅々までついていて、
しかも擦り切れてほぼ穴になっている箇所もありました。
しょうじき、こんなボロボロの帯を出品する人がいるなんて想像もできませんでした。
気分は最悪、ただただ嫌悪感に見舞われて、いったんは帯をクシャクシャにして捨てようとしました。
ふだんから、汚いものは即、捨てるのです。
ところが今回はなぜか、心にブレーキがかかったのです。
それで解きほぐすことに。
それでもまだ、あまりにも酷くて、どうしてこんなことしているのかしら?と、解きほぐしている間中、ずっと不愉快な気持ちになっていました。
縁と縫い目は穴だらけ、裂け目だらけ、色あせがひどくて白い点々だらけ。
なにかしら勘がはたらいたのでしょうか、すごく不愉快なのに、ゴム手袋で手洗いをして可能な限り汚れを落とし、最後にアイロンをかけて、可能な限りの殺菌と除菌を行いました。
それでキレイになったのかといえば、答えは「ぜんぜん」です。
地はむしろマダラになって、白い点々も隅々まで残っています。
内心、洗ってもダメなら捨てるつもりでした。
でも、柄が好きすぎて。
しかも、古い帯だからか、特殊なデザインなのか、ふつうのなごや帯とは違い、おなじ絵柄が2箇所あって珍しい。
それで、まだ粘って進むことに。
幅70㎝ほどの縦長の窓がありまして、そこにツインで下げたらどうだろうと。
イメージは「後光が差す」という、あれです。
そこで、後光にうってつけの裏地を探し始めました。
『色白七難隠す』といいますしね、ぼろいけど絹なので、絹にはやはり絹がいいだろうと、白い絹を合わせてみたらよく映えました。
元の縫い目よりも少し内側を縫えば、小さな穴ぼこは目立たなくなります。でも、最大限、柄を活かしたいので、傷んだ部分をすべて隠すことはできません。そういうところは、ワックスみたいな解れ止めをつけて処理しました。後光が差せばきっと目立たないでしょう。
そんな風に計画を立てて、制作を始めたわけですが、それでもまだ、ひどいヤケやアクを目にするたびにムカつくのです。ここまでやって結局、ゴミ箱送りになったら本当にガッカリです。
でもその一方で、どうしてなのでしょうか、この帯をどうしてもなんとか活かしたいという、強い意思がはたらいていて。
作っている間中、我ながら複雑でした。
そして、完成したものを窓に下げてみて、
そこではじめて、これは品格のある帯だと思いました。
もっとちゃんと作ればよかったと後悔したほどです。
完成するまでずっとムカついていたのに、そこまでひどくても、やってみるまでわからないものだと学びました。
しばらくは、この小窓を素敵に演出してくれると思います。好きなデザインには価値があると思います。
さいごまでお付き合いありがとうございました。
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