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【トンガ噴火】現地に住む日本人に近況を聞いてみた

こんにちは。Pacific Coffeeのはるるです。
先日トンガでは、5週間にも及ぶインターネット障害がようやく復旧し、現地の情報も少しずつ入るようになってきました。

そんな中、本島であるトンガタプ島に住む日本人女性とコンタクトを取り、噴火当時のこと、また災害から1ヶ月経った現在の状況についてお話をお伺いしました。

大噴火の前日に前兆が起こっていた

お話ししてくださったのは、トンガの本島であるトンガタプ島で、現地人の旦那様と2人のお子さんを持つ日本人女性です。彼女から聞いたお話をまとめて、以下にご紹介します。

まず、今回噴火が起こったフンガトンガ・フンガハアパイでは、大噴火があった前日早朝にも一度噴火があったそうです。ですが、噴火音や降灰などは何もなく、現地の人は特に気にはしていなかったのだとか。

ただ、津波警報が出ていたため、仕事が休みになる会社もありました。今回お話いただいた女性の旦那さんはパイロットをされているとのことで、津波警報によりフライトが全キャンセルになったようです。

また渦巻きや異常な引き潮などが起こり、現地ではSNSを賑わせてざわざわしていたとのことでした。しかし、誰もあんな噴火が起こるとは思っていなかったといいます。

津波警報は、大噴火が起こる1月15日も引き続き発生していました。そのため、彼女の家でも家族全員が揃っており、念の為に避難用の荷物もまとめていたため、すぐ車で出かけることができたのだそうです。

前日からの警報は、人的被害が少なかった要因のひとつと言えるのかもしれませんね。

噴火当時の状況


災害に見舞われたのは、1月15日の現地時間17時10分ごろ。家で過ごしていると、突然「ドォォーン!!!!」大きな爆発音がしたとのこと。何事かと思っていたら、もう一度「ドォォーン!!!!」。

あまりの音の大きさに耳が痛くなるほどだったそうです。

大きな爆発音は3、4回鳴り、その後に地震も数回起こります。さらには津波も。火山灰は雨のように次々と降り注ぎ、窓に当たってボタボタボタと音を鳴らします。「今だから笑って話せるけれど、本当に映画の世界みたいな感じで、この世の終わりかと思いました」と、お話ししてくださいました。

トンガには日本みたいに緊急事態を知らせるシステムもないため、現地の人の多くはラジオを聴いて情報を得ていたそうです。ネットも噴火から1時間ぐらいは繋がっていたそうなので、SNSも見られたとのこと。

それでもあまりちゃんとした情報は入ってこず、次に何かあったら逃げてくださいという程度だったようです。しかし、海抜30m程度のエリアのため、高台といってもたかが知れています。

いったいどこに行けば良いのかもわからない状況で、彼女たちはひとまず家の窓やドアを閉め、家族全員で車に乗り込み、避難を試みたのだそうです。

まずは、トンガ人の旦那様の家族に足の不自由な方がいるため、その人をピックアップしようと車を走らせます。しかし、旦那様の兄弟がすでにピックアップしていたとわかり、ルートを変えて旦那様のお父様の家へ。意外にもお父さんは落ち着いた様子で、スープを作って食べていたのだとか(笑)。

その後、ネットの通信は途絶え、3日間程度の停電と断水もあるなど、噴火直後はライフラインがかなり不安定だったようです。情報も限られていたので、かなりの心理的負担だったのではないかと強く感じました。

被災状況はエリアによってかなり差がある

今回の噴火に伴う人的被害は死者3名、負傷者10数名とのこと。多くの国民が無事だったのは、不幸中の幸いです。

被災状況はエリアによってかなり差があるとのこと。今回お話ししてくださった方が住む地域は津波の被害も少なく、今まで通りの生活がおくれるようになってきたと言っていました。

一方、トンガタプ島西部のリゾート地は建物も流され、10軒ほどあったリゾートは壊滅的な被害を受けているようです。また、離島も同様に、かなり大きく被害を受けていているところもあるとのこと。

こういったエリアは支援の手が行き届かないことも多く、復興までに何年もかかる可能性もあるため、長期的な支援が必要になってきます。

火山灰の影響は?

噴火直後からトンガ全土に降り注いだ火山灰は、作物に大きな影響を与えます。今は、まちの人が少しずつ掻き出し、また雨によってかなり流されてきたとのことですが、地域によってはまだ撤去ができていないところもあるようです。

人体への影響や農作物や農地への影響などは、私の方でも後日詳しく調べてまたnoteに書きたいと思います。彼女の話によると、現状としては、一度枯れてしまった草花もまた蘇り、人体への影響もそこまでないのではないかとのことです。

ただ、フルーツや野菜が一度全てダメになってしまったので、今は輸入品に頼るしかなく、マーケットはクローズしているし、スーパーでも限られた種類の野菜が高値で売られているとのことでした。

政府や諸外国からの支援状況

今回の災害により、海外からは数十億円規模で支援金が集まっているとのことです。今後、家屋の倒壊や被害が出ている国民に対し、トンガ政府は約350万円の支援を出す予定もあるようです。

日本を含めた海外諸国からの物資支援も多く集まっており、食料品や飲料水は概ね手に入るようになったとのことでした。

新型コロナウィルス感染状況について

トンガは約2年コロナの陽性者のいないコロナフリーの国でしたが、1月後半に陽性者が確認されてから一気に感染拡大となってしまいました。現在は200名ほどの陽性者が確認されています。

2月2日から全土でロックダウンとなり、外出制限もありましたが、2月21日からは緩和され、18時〜朝6時の夜間早朝の時間帯は外出禁止となっているものの、日中は通常通りの生活ができるようになったとのことです。

トンガは、もともと日本からの経済支援も多く受けている国です。日本の支援によって建てられた国立病院は設備も整っており、途上国の中では比較的医療体制は整っているのだそう。ただし、今回のコロナ感染拡大により医療関係者の人員が不足しているようで、今オーストラリアやニュージーランドから医療従事者を派遣しているとのことでした。

2月22日にインターネットも復旧した

地震・津波によって、トンガの海底ケーブルの損傷が起こり、5週間にもわたってインターネット障害が続いていましたが、2月22日に復旧が完了し、無事にネットにつながるようになりました。

ネットダウンで困ったのは送金関係とのこと。

トンガは、海外からの送金の割合が非常に大きい国です。つまり、オーストラリアやニュージーランドへ出稼ぎに行き、国の家族へお金を送っている人がとても多いということ。

通信障害によって1ヶ月以上も送金ができなくなったのは、海外に住むトンガ人もかなり不安が大きかったことでしょう。

また、国中のATMもダウンして、1台のみしか動いていない状況だったのだとか。

「最後の方には慣れてきました」と言っていましたが、ネットのない生活が考えられない私としては、これはかなり辛かったのではないかと想像してしまいます。

長期的な視野で支援できることとは?

今回お話を聞かせていただいた方は、とても明るい笑顔でお話ししてくださり、その顔を見られただけで私は涙が出そうになる程安心しました。

ネットが復旧したことで、本格的に元通りの生活が戻りつつあると、彼女は語ります。

しかし、支援の手が届かないところもきっとたくさんあると思うと言っていたので、そういうところにこそ、自分達が手を差し伸べられたら、と改めて感じました。

ありがたいことに、14日から始めた復興支援のクラウドファンディングも多くの方に支援いただき、目標を達成することができました。いただいた支援を元に、現地のために何ができるか、しっかりと考えて、皆様にも随時報告していきたいと思います。

クラウドファンディングは引き続き受付しています。1000名の支援者を目標としているので、ページを見て共感いただけた方は、ぜひ一緒にトンガを応援しましょう。

プロジェクトページはこちらから
https://camp-fire.jp/projects/552205

引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。


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