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介護業界どうして給料が増えないか考えてみた

こんにちは!

今日は少し踏み込んだ話をして行こうと思います。
巷では clubhouse という新しい SNS が人気ですね。こうした新しい SNS が出てくるとそれに伴って新しいビジネスモデルやお金の得方が出てきます。
流行りに乗るのは非常に良いことだと思いますが、あまり流行りに踊らされずに本質を捉える努力をしていくのもいいかもしれません。

さてそこで今日は

介護業界の給料がなぜ上がらないのか

についてお話をして行こうと思います。

まず大前提なんですが、需要と供給のバランスで言えば明らかに供給が足りていない状況です。簡単に言うと介護の人材不足が深刻なんですね。
その場合、需要が多く供給が少ないので需要側が値段を吊り上げていく、そしてそれが供給側に還元されるといったようなサービス価格の動きがあるのが普通です。

しかし、介護業界はこの需要供給バランスが崩れているにも関わらず給料は一定のラインでストップしています。
これを解決せずに人材不足の面だけを捉えて就労した際の給付金を与えるなどの政策が取られていますね。

では、一時期のような給付金を与えることによって人材不足が解消されるのでしょうか。この人材不足ということについて考えていくとともに、給料がなぜ増えないのかについても話をして行こうと思います

まずは本当に人材不足になっているのか、です。
そもそも介護という仕事は一体何をしている仕事何でしょうか。

介護という仕事は大きく分けて直接業務間接業務の二つに分かれます。
何が直接で何が間接かと言うと、その人のケアに対して直接手を下しているのかもしくはその業務やケアを行うことの補助的な作業をしているかによって分けられます。
例で言えば直接業務とは排便の介護、清拭の介護などのことを言います。
間接業務とは掃除や洗濯料理などを言いますね。

直接業務と間接業務

この時に介護という名前でも必要なスキルが異なることがわかります。
では直接業務を行う人もしくは間接業務を行う人どちらが人材不足になっているのでしょうか?
答えとしては明らかにどちらが不足しているといったような回答はありません。なぜなら介護の現場ではこの仕事の分け方をしていないからなんですね。

どういうことかと言いますと、通所介護や入居介護をしている時にこの直接業務と間接業務は並行して行われます。つまりは担当が決まっているわけではなく、本日出勤している人が直接業務と間接業務を同時にこなしていくという状況になっているんですね。そうなると直接業務が得意な人、間接業務が得意な人という得意分野・不得意分野関係なく仕事としてしなくてはなりません。

ここを考えた時、仮に主婦がその介護現場にいるとしましょう。
この主婦は間接業務は得意ですが、持病に腰痛を抱えており直接業務を速やかに実施することはできません。しかし、20代の男性介護士が同じ職場に一人勤めていたとしましょう。そうすると20代の男性で一人暮らし経験が少なく家事動作と言われるような間接業務は不得意かもしれません。
ただし、体力はありますので直接業務自体はそこまで苦にならない可能性があります。

しかし、【介護の仕事】と一緒くたにしてしまうとこの直接業務・間接業務を得意不得意で分けられないんです。するとあの人がやればもっと時間が短縮されたにも関わらず、必要以上に無駄ができてしまう可能性があります。

この無駄はどういったところにしわ寄せされるでしょうか。またどうしてこのような状況に陥るのでしょうか?
それは平等と公平の違いで解決できます。

まず現場レベルで話をすると、必要な人材が適材な場所に配置されていないといった問題が起きています。
プロフェッショナルな仕事を求められるよりもどちらかといえばユーティリティ=どんな場所にでも対応できるような人材が求められる介護現場ですが、
それゆえに不得意分野も努力しないといけないという暗黙知が広がっています。これを行うことにより本来だったら配置できたはずの人材を雇えないという盲点を作っています。

つまりは直接業務だけをしたい人、間接業務だけをしたい人というような棲み分けをすることを鼻からアイデアとしてなくしてしまっている可能性があるんですね。
この問題を打開する方法として間接業務に元気高齢者を活用しましょうという厚労省のガイドラインがあります。
しかし、元気高齢者の活用とひとえに言っても問題点があります。それは業務に関しての平等と公平です。
平等というのはどのような人でも同じ施しであったりとか同じサービスを受けられることです。
公平というのはどのような人でも同様のサービスを受ける権利があることを言います。
簡単に言いますと平等は体の大きさや男女関係なく同じ業務を行うこと
公平は体の大きさや男女の特徴などを加味した上で同じ業務負担量に調整することです。
つまり体の大きい人や体力のある人がその特徴を生かした仕事を抜擢されそうではない方もその特徴を生かした仕事を割り振れるかどうかが公平のポイントになります。

そこで分かりやすいのが運転手さんです。
介護事業所、特に通所サービスだと必ず送迎があり運転手が必要になります。
この運転手は資格(運転免許)が必要なので、その方の特徴が周りからも理解されやすいです。そして、運転手さんは直接業務をこなしません。
それが運転手さんに与えられた特徴を生かした役割ということです。しかし、掃除や洗濯、料理に関してはこの特別な資格、役割といったところが判断しにくくなっています。この部分をはっきりと棲み分けすることにより、より効率的に人を人材配置することができるようになります。

これにより人材配置が効率化されることで、必要な人数を必要な箇所で仕事をしてもらうことができるようになります。そうすると今までは5人でやらないといけなかった業務内容が4人、または6人だけど時短の勤務をされる方が3人など相対的に見て人件費の削減が可能です。また業務内容を細分化することにより求人の幅を広げることが出来ます。例えば昔の持病で重度な介護ができない人でも自分のペースで行う掃除だったら可能だという人を雇うことはあり得ますよね。

ここまでで適材適所による人員配置の整備を行うことで人材不足の解消が可能かもしれないということをお伝えしてきましたが、問題点はまだあります。

それは、そもそも適材適所を行うことが難しいんですね。

理由は介護はあくまでも生活です。生活の中で見えることもありますし、それを担当性にすることで本来見落としてはいけない部分をすくい取れない可能性が出てきます。
ということは根本的に問題の見方が違うということですね。

ここで人材不足と給料に関して関係のある話に戻していきます。
そもそも通所介護、入居介護ともにどうして人が必要なんでしょうか?
その理由は介護を受ける人が自分の力で出来る事もしなくなっていることが大きな原因だと私は考えています。

私は理学療法士としての立場から話をしていくとほとんどの人が自分の能力を持て余して生活をしていると言えます。
その理由としては家族や関係者からの【危ないという心配】による抑制から起きることです。

危ないなら一緒にすればいいんですね。

どこが危ないのか、どこが心配なのか、何を手伝えばその人ができるのか、といったところをきちんと評価し、そこに対してフォローをする形で仕事を組み立てていくと人材不足も給料も一気に解決ができます。

人材不足で言えば、元気高齢者を頼ろうとするとこの元気高齢者を探してくるための営業費用や求人費用がかかります。
そうではなく介護現場に来ているのはスタッフ以外に利用者がいます。この利用者さんに働いてもらう、生活の中で自分たちがこの時間を豊かにするためのケアを一緒になって作り上げていく。
そのためにどのようなサポートが必要なのかを考えればいいんです。そうすることで利用者を集めると介護現場が豊かになっていきます。
ここで反論意見として考えられるものは、 利用者の評価ができない・忙しくてそこまで関わることができないです。
考えてもらいたいことは一点だけ。


誰のための介護かという点です。


介護事業所はあくまでも利用者のためにあります。この利用者を満足させることができればどのような介護を届けていても満点だと僕は考えています。利用者を満足させるためには利用者を参加者として位置付ける必要があります。この考え方をパーソンセンタードケアと言います

この考え方は、今までの現場のやり方とは大きく異なりますので、なかなか定着することは難しいです。
理由としてはスタッフの仕事の考え方を180度を変える必要があります。そのため少しずつ教育をしていく我慢強さやスタッフを信じる気持ちが必要になります。このスタッフ教育が完成された時に給料面として一気に改善されることが予想されます。
その理由は人材不足が解消され常に求人や仲介業者に出していた営業費用が浮くため給料に反映させることができるからです。

介護現場の問題は人材不足ではなく利用者一人一人が適切な能力で生活を行っていないことにあります。

この適切な能力を測る評価する仕事が理学療法士です。
しかし理学療法士も介護保険の中では機能訓練指導員として、その人の評価より機能訓練を重視する傾向にあります。本来理学療法士が発揮しないといけない能力は評価と予後予測です。
この二つにより今の最大能力をきちっと発揮させ、利用者本人として生活できるように場を整えていくことが重要になります

ここまで現場改善をしていくことは非常に難関かもしれません。
しかし、日本の高齢化を考えた時に今が一番若いんです。
なので1分でも一秒でも早く現場の考え方を変えていくことが、今後の高齢化を乗り越えていく第一歩になると私は信じています

少し長くなりましたが最後まで読んで頂きまして有難うございます。
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