留学は「目的」ではなく目的達成の「手段」


最近、家族や友人との話題に「海外留学」というトピックがちょこちょこ登場します。頭がごちゃごちゃになってきたので、一度アウトプットしてみようと思います…。

グローバリズムの現実って…?

「グローバル教育」と言えば英語!海外!留学!
「外国人と英語を流暢に喋って、国際的な仕事についてる姿✨」

…ぼんやりとそんな想像をしちゃいません?
その想像の中に登場する外国人はどんな姿ですか?
ネクタイをした白人でしょうか?
それとも民族衣装をまとったアジア人でしょうか?
(…うかつに人種の話題を上げてはいけませんね💦)

将来のことを考察する際には、自分が実際に心の奥底でどんなイメージを持っているのか?をよく考えてみる必要があります。時に自分の中にある劣等感や差別意識と向き合うこともあるかもしれません。
その事実に向き合うことは、目標や未来像のビジョンをクリアにするために必要な第一歩です。

私は、日本社会における実際のグローバリズムは決して生易しいものではないと想像しています。もっと泥臭いものではないかと。上に上にと自分を高めてトップ層で活躍するのはあくまでも一握り。一般大衆は格差も相まって時代を遡るような変化をするのではないか…と。

どんどん入り始めていますよね。移民。

個人的にはアジアや中東系の方々が多い印象です。私の住んでいる地域では既に学校のクラスに2~3人はいますし、近所のアパートは一棟まるまるアジアの若い男性が入居しています。

これからの日本で私たちが目の当たりにするグローバリズムとは、こういう人たちを交えた住みよい社会の確立であり、その中でいかに生き残って行くかという壁との闘いだと思っています。ヨーロッパの移民政策における課題点はそのまま日本の近い将来の姿でしょう。治安の悪化教育・医療・福祉の取り合い格差の拡大…不安ばかりが先走ってしまいそうです。

PACのフォロワーさんにはお子さんを持つ保護者の方がたくさんいらっしゃいますが、例えば私はこんな具体的な妄想までしています。

・学校のお便りにすべてフリガナがふられる
・クラスの連絡網は日本語Onlyの人と英語OKの人で枝分かれする
・PTAの連絡は簡単な日本語と英単語でやりとりするようになる
・子供会で手配するお弁当はアレルギーだけでなく宗教背景にも注意

などなど。

…だいぶマイルドに書いてしまいました。
批判を恐れずもっと正直に言えば、授業スピードの遅れ道徳教育の多角化、家庭環境やハンディだけでなく性別・人種・宗教・文化など多方面への配慮が重なり合いますます運営の難しさに行き詰まる学校教育
(これはあくまでも私の妄想の一例ですけれども)

グローバル社会の「英語」とは?

そんな社会でどんな子どもが窮屈な思いをし、どんな子がバリアを感じずに平気で過ごせるのか。その辺りを深く深く掘り下げて考えていくと、私はどうしても、グローバル教育とは単に外国語の習得だけにとどまらないという結論に至ってしまうのです。

言語に関していえば「グローバル社会における共通語としての英語」といわゆる「ネイティブの英語」は私の中で全くの別物という位置づけです。ネイティブのように複雑な関係代名詞や節を重ねる文章は、ノンネイティブスピーカーにとっては分かりにくく双方の誤解を招く可能性を多分にはらみます。また、特にアメリカ英語の発音はリエゾンが強く癖があり、聞き取りずらいという弱点があります。
他の各国の人々とバリアフリーなコミュニケーションをとるためには、共通語としての英語はよりシンプルで明確で聞き取りやすい言語でなくてはなりません。
そう考えると、アメリカへ留学してネイティブレベルの英語を身に着けるという選択は、ある意味少し将来を狭めてしまう可能性もありますね。

10代の留学が及ぼす人格形成への影響

若いうちに留学することのメリットはやはりそのスポンジのような吸収力にあると思うのですが、これも一方で危険をはらんでいます。人格形成が不十分なうちに異文化に浸かることによるアイディンティティの喪失や、帰国したあとの疎外感に苦しむ人も少なくありません。日本人のままでいるのか、例えばアメリカに染まってしまうのか、それとも両方をうまく取り入れたり使い分けたりできるのか…?

エリクソンの発達理論によると、青年期(中学生~大学生頃)の発達課題は「アイディンティティの確立」です。簡単に言うと「これが自分だ」という実感ですね。所属する社会が増え学校や部活動では家庭と違う一面が見られたり、優劣感・劣等感・自信・失敗…様々な経験を通して自分がどんな人間なのかを深く悩む時期です。
親の期待が過剰であったり、周囲に受け入れられない経験が重なると自信を失い、人の評価を気にして自分を見失ってしまう可能性もあるとても不安定な時期です。

人格形成期に2つの文化を行き来するということは、ざっくり言ってしまえば2つの人格を獲得することに似ています。アメリカでは自己主張のできる強い人格、日本では柳のようにしなやかな人格、うまく使い分けるのは大人でもなかなか容易とは言えません

自分はどんな人間で、どんな人間になりたいのか?多感な時期に人一倍悩むことでしょう。
将来留学を視野に入れるのであれば、低学年から多様なコミュニティに身を置き、どこに行って誰と会っていても自分を見失わない確固たる「自分」を少し早めに作ってあげられると理想的ですね。
実際に留学する際(特に帰国直後)は海外経験のあるメンターに精神面をサポートしてもらえると良いと思います。

求められるグローバル人材とは?

現在、どこの国のどんな人材価値が高まっているかご存じですか?
ひと昔前のアメリカ至上主義は儚くも消え去り、現在人気をぐんぐん挙げているのがなんとフィリピン人です。

アジア人がグローバルマネーを稼ぐ手っ取り早い方法として人気なのが海運業界ですが、フィリピン人クルーの賃金はついに日本人船員に追いつき、間もなく追い抜くか…というところに来ています。
他にも医療福祉分野においてフィリピンの人材輸出数のすごいこと!

なぜフィリピン人が人気かというと
①英語が上手
②ニコニコ誰とでも仲良くやれる
③食事に好き嫌いが少ない
④でしゃばらない
⑤勤勉

私は特に②と④がズキューーーンと胸に刺さっています。

イギリス王室のメーガン妃が世界中から嫌われていますが…そう、アメリカ人って自己主張が強くて常に強気で上から目線。…ちょっと嫌われやすいのです。(例えがちょっとエキセントリックすぎますかね💦)正直なところ、私は我が子にはあまりアメリカ文化に染まりすぎてほしくありません人格の基礎は、平和主義で道徳心が高く、礼節を重んじ、人に親切で協調性のある日本人であってほしいと願っています。

⑤の勤勉さこそ日本が誇る黄金の国民性かと思いますが、これも残念、国際的には「真面目ゆえにルール重視で融通が効かず臨機応変に対応することができない」という弱点が不安視されてしまいます。英語力の不足との兼ね合いで「英語の下手な真面目くん」より「英語の上手いそこそこ真面目くん」の方が重宝されるわけですね。

…うーん。
いろいろと考えると求められているグローバル人材が少し見えてきますね。

留学の現実
留学=成功ではない。2割は挫折して帰国?

ところで、留学のゴールについて具体的に考えたことはありますか?
我が家でもやはり海外留学は視野に入れているのですが…正直なところ10代の留学は1年程度にとどめておこうと思っています。それも語学留学ではなくあくまで人生経験の一つとしての留学です。仮に高校で留学した場合シンプルに「とにかくたくさんの経験をして楽しんで帰ってくる」が唯一親が期待する成果です。

高校にしろ大学にしろ、留学したら必ず成功するとは限りません
私が知る限り、
2割ぐらいは挫折して帰国
2割ぐらいは楽しむけど学業不振で無駄になる、
3割ぐらいは「海外経験」としてハクがつく程度で就職に大きな不利も有利もなし
残りの3割がしっかりとした言語力なりグローバル思考なりが形成できて仕事に活かせる
その3割の内1割程度が日本社会でも上手くやっていけるグローカル人材
…という印象。(あくまでも私の独断と偏見ですが!)

ハイレベルな学校の卒業生ならもっと良い数字が出るのかなぁ。

でもやっぱり…
日本の大学でしっかり学びつつ、目的を持って1年〜2年だけ海外で特訓!というカリキュラムをおさめた人の方が、目的意識がしっかりしていてその後の社会的スキルやバランス感覚が良い人が多いように感じます。
留学ってほんと成し遂げるのが難しいビッグチャレンジですよね。

我々のほとんどは凡人

我が子のこととなるとつい夢のような期待をしてしまいますが…
いろいろと努力してもやはりまあまあの凡人として生きて行くのが現実です。
子どもが小学生までは「もしかしたらうちの子は特別かもしれない」という淡い期待が胸をくすぐりますが、中学生になり勉強に部活に忙しくなるとその特別感が次第に薄れていきます。勉学でも運動でも飛びぬけた才能を発揮するのは学校に1人いるかいないか、ものすごく稀なことだという事実に親子共々気づきます。
「留学✨」という言葉に惹かれて夢を見た20年前の私自身にもよ~~く言って聞かせたいものです。あなたはちょっと英語が上手なだけの普通の女の子だよ、と。

私は子どもたちにバランスの良い人生を歩んでほしいと思うので、あまり過剰な期待をしないようにブレーキをかけています。それはもう必死に。
凡人なりにしっかりと歩み、世の中がどう変わっても凡人なりの幸せをつかむことができるように育ててあげたいところです。

夢も希望も健全な心身と基礎学力の上に成り立つ

子育てで意識してきたことは基本的にエリクソンの発達理論に(たまたまですが)沿っていたと思います。
乳児期は愛と平和を(愛着形成と自己肯定感の基礎作り)
幼児期には良質な食事、充分な睡眠、そしてたっぷりと遊びを(健全な心身の育成
児童期には多様な経験と友達付き合いを。学習面では読書と算数を徹底重視
中学校からは自立と自律、友達、部活動、青春を!学習は国語数学、そして社会。特に社会は小学校高学年から歴史、政治、経済の学びを家庭でも力を注いで深めてきました。
(↑太字が最優先事項!)

…なかなか英語教育が出てきませんね(笑)
良いのです。英語力は後からでも間に合います。まずは健康な心身と多様な経験が彼らの人格を形作ってくれるはず!英語は必要になったときに武器として習得しても遅くはありません

具体的にいつ留学するべきなのか?

個人的な意見にはなってしまいますが、これまで述べてきた理由により、私は子どもたちに充分に芯のある人間に育ってから留学してほしいです。
人生経験、異文化交流としての留学なら高校で。
大学で行くのであれば専攻や将来の目標、方向性がはっきりと決まってから

あくまでも海外留学は目的達成の手段
留学そのものが目標になってしまうと、何かを見失ってグリッドが効かない踏ん張れない。自分は何者で何になり何を成し遂げたいのか…子どもたちにはその目標設定を間違わないような人間に育ってほしいですね。

たとえ英語教育が遅れても、留学できなくても、あまり心配する必要はないのかもしれません。一つ進路を選ぶということは他の選択肢を捨ててしまうこと…怖いですよね。でも、選んだ先にはまた新しい選択肢が広がっていきます。可能性は狭くなるようでその反面深みを増し、未来はますます大きく広がるものだと希望を持ちたいです。

留学に必要なワクチンのおはなし

これから留学するとなったらコロナワクチン必須かな?
20年前、高校の交換留学でJ-1ビザを取るのに追加で10以上のワクチン接種が必要となり、効率的な順番と間隔で接種したもののなんだかんだで準備に半年以上かかりました。

あ、そうそう!余談ですが…
お子さんが大きくなっても母子手帳を大切に大切に保管してくださいね!母子手帳はお子さんのワクチン記録簿として大切な役割を果たします。(同期で留学予定だった友人は母子手帳紛失のため予防接種の記録証明を作成できず、すべてのワクチンを一から接種し直す事態になりました💦残念ながら出発を1年遅らせることになり大学進学にも影響してしまいました。)

そんな訳で、現在中3の長男がもし高校で海外へ行くのなら…1年生の1学期には決めていなければ…となるともうあと1年しかない
悩ましいですね~。ちなみに行くとすると私費留学で私がお世話になったホストファミリーに半年~1年預けることにすると思います。留学機関もホストファミリーも当たりはずれがありますし、都会に行くと日本人同士でつるんじゃって学びが低下することも多々あるので。

そもそもこの感染状況で数年以内に留学できるのかどうか…

ま、進学を希望するなら、の話ですけれども。
やる気のない子どもにかける教育費なんて、ドブに捨てるのと変わりませんからね(笑)

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