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お客さまと寄り添う、パン屋さんのために。

みなさん、はじめまして。私は、街にあるパン屋さんの取り置きアプリ「sacri」を作っています。いろんな方と話すたびに、「どうして始めようと思ったの?」というご質問を頂くことが多いので、この記事では”このサービスを作るに至った3つの理由”にフォーカスし、纏めておこうと思います。

1.幼い頃に体験した釣具屋さんでの出来事

私は、街にある個人店はそのエリアに暮らす人々にとって”文化財”だと思っています。そのお店があることによって、周りの人々の生活(人生さえも)を豊かにする力を持っていると強く思っています。そして、そんな店という文化財をひとつでも多く、長く、残していきたいと思っています。
その理由は、僕が幼い頃に体験した出来事に起因します。

私が小学生の頃、家の近くにある小さな釣具屋に通い始めました。そしていつの間にか放課後、友達との用事がないときは決まってこの店に通うようになりました。そこで可愛がってくれたのは当時20歳くらいの店員さんでした。小学生の僕は当然お金をほとんど使うことができないのにも関わらず、その方はいつも嫌な顔ひとつせずに、質問に答えてくれ、また度々釣りに連れて行ってくれました。まだ幼い私にとっては兄のような存在で、非常に貴重な経験ばかりでした。

私がその体験で得たことは、釣りの知識はもちろんですが、道中の車で聞く彼の音楽の趣味、いろんな相談をする中で触れる彼の価値観など、私の人物形成に非常に影響を受けました。

残念ながらそのお店は数年後に潰れてしまいましたが、私はそのお店とその店員さんに非常に感謝しています。大げさではなく、私の人生は大きく影響を受け、今の自分を形成している大切なパートになっています。それから僕は"街に根ざす魅力あるお店は、そのエリアに暮らす方の日常を(物質的、精神的ともに)豊かにする"と信じています。

デジタル化が進んだ昨今、その波に乗れるお店や人は、新たな顧客を獲得しやすくなりSNSを通した発信も出来ます。でも、そういった知識がない人や余力が無いお店は容赦なく飲み込まれていく。ECの波に飲み込まれていくのです。決して、魅力の無い店だけが潰れるわけではないのかなと思います。

なので、私は(すごく僭越かと思うのですが)そういったお店のサポートをしたい。私がそうであったように、魅力あふれる地域のお店には、お店の顧客の人生を変え続ける文化財として育っていってほしいと思っています。

2.前職のメディア運営での挫折と教訓

私は、勤めていた大手広告代理店の社内ベンチャー制度に応募し、まさに私の原体験を具現化する「個性的なお店をローカルの人がおすすめするメディア」を作るビジネスにチャレンジしました。試行錯誤しながら50万PVに達するも、マネタイズに行き詰まりわずか1年半でそのメディアを閉じることになりました。(敗因はたくさんあり、そこで得た教訓はまた別の記事で書こうと思います。)

そのメディアで東京都内の約600店舗のお店の賛同を得て、私自身も300店舗ほど取材で足を実際に運びました。でも、いろんな店主の方が私の作ろうとしているものに共感してくださったのにも関わらず、結局1年半で閉じることになったのです。その事実は僕が実現したかった「個人店のお店の人びとを応援する」ことではなく、むしろ巻き込み迷惑を掛けて終わったという結果だったなと自分では思います。

そこで痛感したのは、何事も「継続しないと意味がない」ということでした。そしてそのためには、しっかりと稼げるサービスを作らないといけない。そこを意識した上で、もう一度別の形でお店に貢献できることにチャレンジしたいと思いました。

3.取材でみたパン屋さんの現実

どういうサービスを作ろうかと思いを巡らせていた時、ふと思い出したのはある取材現場で見た光景でした。

私は、雑貨屋やカフェ、レコード屋さんなどのライフスタイルにまつわる色々なお店をめぐっていたのですが、その中でも特に一番忙しそうだったのが、街のパン屋さんでした。朝から晩までひっきりなしにお店に人がやってきます。

最初は「さすがパンブーム来ているだけあって人気だなー。」くらいしか思わなかったのですが、パン屋さんを10店舗くらい行った頃、あることに気づきました。それは、どのお店でもお客さんと店員さんの間である決まった言葉が交わされることです。

その言葉とは、
お客さん「○○パンありますか?」
店員さん「あー、今日もう売り切れちゃったんですよ。すみません。」
お客さん「あー残念!」

本当にこのやりとりを何回も、何回も耳にしました。パン屋さんの人気さを垣間見る一方で、ある疑問を抱きました。

「なんで、お店に来ないとパンがお店にあるかがわからないんだろう。」
「お店に来る前に、パン屋さんのパンが取り置きできたらいいんじゃないか?」
と思うようになりました。

街のパン屋さんも、ただでさえ早朝からパンづくりに勤しんでいるのに、売れるまで店を営業しておく必要があり、長時間労働が常態化しています。そしてライフサイクルが短いパンを扱うが故に、日々発生する食品ロスという課題と日々戦っています。

そうしたお客さんの「買いたい」とパン屋さんの「売りたい」という思いのズレを解消するものとして、”街のパン屋さんの取り置きアプリ”の開発に至りました。こちらがWEBサイトです。


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