見出し画像

創志学園時代は阪神・西純矢の控え投手…亜細亜大の右腕・草加勝がドラフト戦線に浮上!昨秋、東都1部でブレイク

3月に入りアマチュア野球もオープン戦が本格化し、カテゴリーによっては公式戦がスタートする時期となった。「プロアマ野球研究所」では、2023年のドラフト戦線に浮上した候補選手を中心に、積極的な情報発信を進めていきたい。今回は、昨年の秋に東都1部でブレイクした、亜細亜大の本格派右腕を紹介する。

2023年3月1日 薩摩おいどんカップ
亜細亜大2-5ENEOS

草加勝(亜細亜大) 新4年 投手 182cm75kg 右投右打 創志学園

社会人野球の強豪チームを相手に力投する草加勝(亜細亜大)

大学、社会人、独立リーグ、NPB三軍などが鹿児島に集い、今年から開催されることになった「薩摩おいどんカップ」。この日は昨年の大学選手権優勝チームである亜細亜大と都市対抗優勝チームであるENEOSの対戦という豪華なカードとなり、スタンドには3人体制で視察する球団もあった。その中でアピールに成功したのが、亜細亜大の草加勝だ。

創志学園時代は、西純矢(阪神)と同学年で控え投手だった。当時から140キロを超えるスピードをマークしており、素材の良さが光っていた投手である。亜細亜大では、なかなか登板機会を得ることはできなかったものの、昨年秋は先発に定着すると、リーグトップとなる防御率0.29をマークし、敢闘賞を受賞した。

この日も立ち上がりから安定したピッチングを披露する。特に、見どころがあったのが、プロから大きな注目を集めている度会隆輝との対戦だ。

第1打席では、内角のストレートと緩いツーシームで追い込むと、最後は外角低めへのこの日最速となる145キロのストレートで見逃し三振を奪った。5回に不運な当たりもあって一挙5点を奪われて負け投手にはなったものの、度会の打席では明らかに力を入れており、3打数ノーヒット(三振・ライトフライ・ショートフライ)に抑え込んで見せた。

◆コントロールと投球術が光る!


この日際立っていたのが、コントロールと投球術だ。140キロ台のストレートと100キロ台のカーブ、110キロ台のツーシームを巧みに投げ分け、4回までは、ENEOSの強力打線をわずか2安打に抑え込んでいる。

ボール自体の緩急もさることながら、フォームにも巧みに変化をつけている点に感心させられた。基本的にいうと、ゆったりとしたモーションだが、足を踏み出すタイミングは1球1球異なっており、走者がいなくてもクイック気味に投げることもある。

ボールのスピードとフォームの変化でかなりのバリエーションがあり、打者はタイミングをとるのが難しい。それでいて、コーナーや低めへしっかり集める制球力を備えているというのが、昨年秋の好成績に繋がったと言えそうだ。

一方で課題となるのがフィジカル面だ。体つきは大学生にしては細く、ストレートも力を入れると140キロ台中盤に達するものの、アベレージのスピードはまだそこまで高くなかった。3月上旬という時期的なものもあると思われるが、もう少しボール自体のスケールアップを目指してもらいたい。

ただ、これだけ打者を見ながら投げられる投手は貴重であることは間違いない。春のリーグ戦でも昨年秋のような投球を見せることができれば、本人が目標と語っているプロ入りの可能性も高くなるだろう。

・この日の投手成績
5回 被安打6 5失点(自責点5) 4奪三振 2四球

・リーグ戦通算成績
8試合2勝0敗 32回1/3 被安打20 自責点1 29奪三振 7四死球
防御率0.28 被安打率5.57 四死球率1.95 奪三振率8.07

西尾典文(プロアマ野球研究所主任研究員)
1979年、愛知県生まれ。大学まで選手としてプレーした後、筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から技術解析などをテーマに野球専門誌に寄稿を開始。修了後もアマチュア野球を中心に年間約300試合を取材し、全国の現場に足を運んでいる



この記事が参加している募集

#野球が好き

11,070件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?