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難聴児はあなたより耳がいい

難聴児はあなたよりも耳がいい可能性があります。
健聴の人にこう言ったとすると「いやいやそんなわけないだろう。イヤモールド の耳垢が取れにく過ぎて頭おかしくなったんか?」と返されそうですが、本気で言っております。

そもそも音の世界というのは非常に曖昧なものです。
姿形がなくてすぐに消えてしまう。
健聴者もよくわかっていません。
それでも難聴の人よりは耳が確実に良いでしょうか?

メガネをかけていてもわからない目の能力

(あなたがメガネをかけていないとして)
初対面のメガネの人に対して
「この人より自分の方が絶対絵うまいな」
「目で見たもの覚えるの下手そう」
「この人、絶対細かい色見分けられないわ…」
なんてことは普通思いません。
唯一言えるのは「裸眼になったとき遠くのもの見るのは自分の方が得意だろう」というくらいで、他の目に関する能力はメガネのあるなしではわかりません。
逆にメガネをかけて目に関する能力を使って仕事や趣味をしてらっしゃる方が
裸眼の人には負ける〜とは思わないわけです。

目がいいという表現にはいろんな意味がある

目がいいという表現は
・絵を描くとき細かいディティールまで見られる
・わずかな違いの色を見分けられる
・間違い探しなどで早くものを見つけられる
などいろんな意味合いで使います。
そしてこれは耳がいいという表現でも同じです。

補聴器をつけている難聴児も同じ

補聴器をつけているのであれば「小さな音を聞き取ること」は苦手でしょう。
しかしそれ以外の耳に関する能力。
・聞いたものを記憶する力
・聞いたものを口で再現できる力
・音痴or音痴ではない
・(聞き取れる範囲の)細かい音にフォーカスする力
・音楽を楽しいと思うか、踊りたいと思うか
こういった部分はその子それぞれ難聴とは離れたところで特徴を持っています。
例えば我が家の難聴児は新しい言葉に対して何度が聞き返しますが、一度わかれば複雑な言葉でもよく覚えています。
また歌に関しては兄弟よりも上手に歌います。

難聴児の耳の良さを誰も理解していない

一般の健聴の方がそう思うのも当然です。
療育を受ける中で言語聴覚士もろう学校の先生も誰も難聴児の耳の良さについては触れません。
とにかく耳が悪いという問題を抱えている子供、これが療育の場で求められる難聴児の立場です。
まあ療育に来ているんだから当たり前っちゃ当たり前なんですが目の話に置き換えると異様さがわかると思います。
各専門家が悪いわけではないのですが、母数の圧倒的な差があり目の障害と耳の障害では文化の成熟度が全然違います。

お父さんお母さんが理解してあげて下さい

タイトルで難聴児としたのは難聴者の方が音に対して何か得意な意識があるのか知らないからです。
でも人間、苦手だろうという扱いを続けられると本人もそう思ってしまう人が多いと思うんですね。
なので難聴児のお父さんお母さんにはぜひお子さんの耳の能力を信じてあげてほしいです。
もちろんスパルタで頑張るということではなくて、難聴児は目がいいことも多いですから目からの情報が大事になると思います。
でも声かけに疲れたときなんかに、ちょっと聞こえづらいお子さんの耳の先には豊かな世界が広がっていることを思い出してほしいと思います。

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