試着室の魔法
試着室の鏡には魔法がかけられているに違いない。
いや私も別にそんなディズニー映画のようなファンタジーの話をしたい訳ではない。
私は現実主義なので、魔法なんて存在しないと思っている。
だが試着室の中の鏡に限り、魔法がかけられているのではないか、という話なのである。
では、試着室という名の魔法の部屋の入口へ、みなさんをお連れしよう。
まず適当な服屋さんに入る。
このワンピースは間違いなく私に似合うだろうから、どうせ買うだろうけど一応試着しておこうと自信満々に店員さんに「あ、あの、試着、してもいいですか?(なんでそこだけ自信ないんや)」と声をかけ、試着室に入って、今日から私のクローゼットに入る予定のワンピースを着る。
そして目の前の鏡を見るとあら不思議。
胴と足の割合が「7 : 3」なのである。
いやいやそんなわけあるまいと、もう一度頭から足先まで視線を舐め回すように見るが「7 : 3」。
こんなに悲しいことがあるだろうか。
いやどうしてだ。
どうしてこんなに足が短い。
それに加え、前回のnoteで話した通り肩幅が広い。
短足ゴリラが再来している、、、だと?
試着室に入る前は絶対に自分に似合うと思っていたのに似合うだなんておこがましい、調子に乗ってすみませんでした、と慌てて試着したワンピースを脱ぐ。
そしてトボトボと試着室を後にし、店員さんに「すみません考え直します」と小さい声で言いながらワンピースを返すことになるのだ。
嗚呼さよなら私のものになるはずだったワンピース、、、(飛び散る涙)。
ただしこれはワンピースに限ったことではない。
服を試着してもズボンやスカートを試着しても決まって「胴 : 足 = 7 : 3」なのである。
でもこの足の長さが現実だなんて認めたくない。
「7 : 3」なんて前髪の分け目ならまだしも、足の割合が「3」だなんてあんまりだ。
だからたぶん試着室の鏡だけ魔法がかかっている。
これを読んでいるあなたは私のことを「足が短いと認めたくないから試着室の鏡には魔法がかけられているということにしよう」、と言い張っているシンプルに足の短いババアだと思っているだろう。
その通りだ。
言い返す言葉なんてない。
私の足はシンプルに短い。
それでも私の意見を貫き通すなら、試着室の鏡に魔法がかけられているせいで、私は全然新しい洋服を買うことができない、ということである。
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