「がんばれ」ではなくて、何て声をかければいいのか
幼い頃、といっても小学生くらいの思い出かな。
母親と、駅伝だかマラソンのテレビを見ていたことがあった。たまたまつけたテレビがスポーツ中継だっただけで、普段はほとんど見なかった。
そんな中で、アナウンサーや観客たちが「がんばれ〜!」という声援を選手たちに送っていた。まぁよく見る光景だし、特に何も思わなかったが、
それに対して母がふと、「がんばれって言葉って、好きじゃないんだよね。」と呟いていた。
普段は持論など語ったるすることもなかったが、このときは何か語りたそうな口調だったので、私は「何で?」と尋ねてみた。
すると、「だって、選手たちは既に“頑張っている”のだから、それに対して“がんばれ”というのは、失礼だと思うから。」と母は応えてくれた。
なるほど、一理ある。私もよく、応援をするときに「がんばれ〜」というありきたりな言葉をあまり考えずに使っていたので、母の持論が少し気になってきた。
そこで、私は続けて質問をした。「ではどんな言葉をかければいいの?」と。
すると母は、「“大丈夫だよ”って声をかけてあげればいいんじゃないかな。」と応えてくれた。
「きっと、頑張っている人は、体力的にも精神的にも辛いだろうし、どれだけ続くのか不安だろうし、勝ち負けなど心配しなければならない。そんな人に、大丈夫だよ、って言ってあげるのが、いいと思うんだよね。」
話を聞き終えて、私はとても納得した。
その話を聞いた時は「なるほど」と感じたくらいだったが、自分が部活などで“頑張る”当事者となったとき、この言葉の大切さが身に沁みた。
私は、この考えが好きになって、それからは、人に声をかけるときも「がんばれ」という言葉はあまり使わず、「大丈夫だよ」という言葉をかけてあげるようになった。
スポーツに限らず、勉強やボランティアなど、“頑張っている”人や物事はたくさんある。もちろん、ただ生きるということであっても、頑張っている人もいる。
母の持論のような効果があるのかはわからないが、私はこの言葉をたくさん使っていきたい。
頑張っている人に、「大丈夫だよ」と。
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