IMG_3917のコピー

日常をスペシャルにしてくれるおじさん【タイ・パーイ】

「この小さい村には、自然といい人と、いいものだけが集まる。こんな心地良い場所に、僕は本当に初めて出会ったんだ」。バーで出会ったジョージアが白ワインを片手にわたしに話した。

チェンマイからバスで3時間のパーイという小さな村に来た。ノマドワーカーが多く、最近タイ人からも避暑地として人気の場所だと、バンコクで出会ったタイ人に聞いたからである。


バーに座ってLEOビールを飲んでいると、雨が降ってきた。5月のタイは、雨季。今はまだ外に出られないから、もう少しゆっくりしよう、というまったりした空気が小さいお店全体に流れる。

テラス席に座っていたジョージアは、雨があたらないようにと、わたしの隣の席に移って来た。お店に入るとき、お互いに微笑みあったのを思い出して「やあ、また会ったね」というような口調で自然と話しが始まった。


ジョージアは、オーストラリア出身で、年齢はわたしのお父さんと同じだった。彼はバーの店員さんと冗談を言い合っては大笑いして、タバコをぷかぷかと吸っていた。

「旅でここに来て、この小さな村に一目惚れしたんだ。それからここに住んでいる。いろんな国を旅して来たけど、こんなにあたたかい場所は、はじめてだ」。

旅行者の誰もが、ここにいる時間を延ばしたがる。

食べ物もオーガニックのものばかりで、やさしい味がする。売っている洋服や雑貨も、チェンマイやバンコクと比べるとかなり安くて、それでいていいものばかりだ。ほとんどがこの村で作られている、とジョージアは嬉しそうに熱く語った。


彼は、ミッキーマウスのような明るさで、この村のみんなと仲が良かった。道を歩いてすれ違うタイ人とハイタッチをしたり、知らない旅行者にも話しかけて、大笑いさせていた。

そしていくつかの行きつけのバーと、おいしくて安いタイ料理屋さんを案内してくれた。


食事が終わると厨房まで行って「ママ、今日もご飯最高に美味しかったよ」と、働いているおばさんに伝えに行く。音楽が終わると、必ず演奏者に「お前の曲、最高だった!」と、握手をしてチップを渡しに行った。


こういうの、すごくいいなぁと思った。自分がいいと思ったものを素直にその人に伝えたり、自分から人に歩み寄ったりできる、人の懐に入るのがとても上手な人。

待っている人が圧倒的に多いこの世界で、自分から微笑んだり、自分から人に話しかけたりするその行動は、ちょっと勇気がいるけど、毎日を楽しくしてくれるなぁと思った。

ちょっとだけ、えいっ、て動き出すことができればそれはもう世界はとんでもなく面白い。


そしてこれは、大袈裟に言えば人の人生に価値を与える生き方だなぁと。

「あぁ、歌ってよかったなぁ」「今日も頑張ってご飯を作ってよかった」「なんか、今日はいい日かも」って思える。

誰にとっても繰り返される日常が、誰かのひとことで、ちょっと特別になる。


いいなぁ。



〜パーイの日常〜

いぬ、いぬ。

やさしい味のご飯。

雑貨や洋服もかわいい。

タイのグランドキャニオンに、たまたま出会ったコリアンガール達と一緒に。

5月29日は仏陀の日だったのでアルコールが飲めなかった。結構厳密にどこのお店も飲めなくて、バックパッカーのヤンキーも、おじさんもみんなコーラを飲んでいる光景が、かわいかった。



パーイで見つけた、素敵なおじさんのアートギャラリーのお店。

Studio poem   

"I travel so far But I found my self on the way back"

おじさんは、若い頃ずっと旅をしていたらしい。バンコク出身で、人混みがきらいでパーイに移り住んだ。もう16年ここに住んでいると言っていた。

おじさんの写真を撮るのを忘れてしまった。毛むくじゃらで、笑うとニタァってする。

並んでいるのが、おじさんが書いたタイ語の本。4冊あるらしい。ちょっとペラペラしてみたけど、読めなかった。

はやくGoogle翻訳がもっと、発達すればいいなぁと思った。




いつも見てくださっている方、どうもありがとうございます!こうして繋がれる今の時代ってすごい