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【多様性をただ謳うだけでなく、バラバラであることをポジティブにつなぎとめている場があるとしたらその中心には何があるのか】PARADISE HOUR(2017)|オープンスタジオ レポート

2017.09.30公開のレポート記事を再掲します
http://paradiseair.info/activity/2017/09/30/6647

PARADISE HOUR
日程:2017年9月3日(日)
時間:13:00~19:00
会場:PARADISE AIR
展示・ワークショップ:クリストフ・トラッカー、ミンウー・リー、黒木晃、他

9月3日(日)はPARADISE AIRのオープンスタジオ「PARADISE HOUR」が行われました。

アーティストは日ごろからPARADISE AIRに滞在しているので、双方の都合が合えば見学することはできますが、この日は特に一般開放としてスタッフ一同ホスピタリティ高めでお迎えの準備をし、滞在アーティストの展示、公開制作とワークショップも合わせて行われました。

様々な方々が見学にいらして、思い思いに見ていかれていました。僕もせっかくの機会だからと見学者と話したり滞在アーティストと話したりし、わざわざ来てくれた知人とたまたま来ていた知人と一緒に、長い間立ち話もしました。PARADISE AIRの説明、松戸市のこと、アーティストインレジデンスのこと、あと今と将来の仕事の仕方についてなど、スタッフとして、またはただの一個人として。

オープンスタジオを過ごして気づいたのですが、開放時間が13時~19時ととても長く、見られる部屋も多く、場所・時間の制約が少ないからか、ささっと過ぎ去っても気まずくないし、逆にたむろするのも気まずくありません。みなさん何をしに来たのかな、と伺ってみても、ワークショップに来た、以前から運営組織に興味があった、たまたま伊勢丹にきたから、市の関係者で見学に来た、などそれぞれバラバラでした。みなさんアートが好きなのでしょうか。ひとまず確かなのは、ここはアーティストインレジデンスなのでアーティストが住んでいるということです。

PARADISE AIRのスタッフには松戸市在住者も常勤もいません。僕も会計フリーランスとして生計を立てていますが、この運営チームはみなそれぞれが専門性をもって他の様々な仕事に取り組んでいます。それでいて市、町内会、地元企業など多様な方々と交流・連携を図りながら場が回っています。そこに、外からアーティストがやってきて住み、そして出ていきます。

この日の最後はお酒を買って、アーティスト、ゲスト、来場者とスタッフみんなでラウンジで打ち上げをしました。PARADISE AIRは文化庁の事業でもあるのですが飲食費は補助の対象外経費で、お酒代はもちろん法人の自己負担です。ただそこではアーティストがワインを喉に注ぎながらイベントゲストのコスプレイヤーの方と熱心に議論をしていたし、僕はといえば来場者の演劇関係者に、日本と海外の演劇業界の動向を伺ったりしていました。

アーティストがそこにいるからといっていきなり非日常的な場になったり時間が流れたりするわけではないが、アーティストがそこにいるということを中心としているから、そこにいる人や話す内容に対して場が寛容になるということは言えるかもしれない。多様性をただ謳うだけでなく、バラバラであることをポジティブにつなぎとめている場があるとしたらその中心には何があるのか。公と私、個人と組織、外と中が流れるように入り交じる中で蓄積しているもの、していくことは何だろうかなどど、半内輪な立場で考えています。

10月中旬には、LONGSTAY Programのアーティスト2人の展示・公演が行われます。(編集注:2017年当時・開催終了)よかったら遊びにきてくださいね。


五藤真 / PARADISE AIR アドミニストレーター

アーティスト・イン・レジデンス「PARADISE AIR」の持続的な運営のために、応援を宜しくおねがいします!頂いたサポートは事業運営費として活用させて頂きます。