ジャパンスネークセンターに行ってきました! (ゆるい展示と蛇料理編)

こんにちは、稲見晶です。
実はヘビが大好きなので、8月12日に、日本蛇族学術研究所が管理するヘビ園、ジャパンスネークセンターに行ってきました。
展示施設としてはやや小規模ながら、非常にディープなヘビ体験をしてきました……!
長いので記事を分けて感想など書き連ねていきます。
「ゆるい展示と蛇料理編」(本記事)、「ゆるい展示と採毒実験編」を予定しています。

【ご注意ください】
今回、ヘビ、ヘビ毒、ヘビの捌きかた、ヘビ料理を含む、生々しい記述があります。
ヘビが苦手な方はもちろん、ヘビがお好きな方にも受け入れにくい箇所があるかもしれません。
お楽しみいただける範囲でお読みいただければ幸いです。

ジャパンスネークセンターのこと 〜ゆるい展示と蛇料理編〜

では書き始めていきます。

ジャパンスネークセンターは、群馬県の藪塚にあります。
失礼ながら、いかにもヘビが出そうな地名で期待が高まります。

特急りょうもうが停まる藪塚駅から徒歩10分くらい。
入場料は大人1,000円、子供500円ですが、公式ウェブサイトのアクセスページ提示で1割引になります。
全体の雰囲気としては、昭和に建てられてそのままゆるく続いてきたような……、もっちりのっそりしたニシキヘビとだらだらするのに最適そうな空間です。
入場時にもらえるパンフレットが家庭用のインクジェットプリンタでコピー用紙に印刷したような風合いで、さっそく萌えポイントでした。

ただ、運営母体の日本蛇族学術研究所はすごいです!
毒蛇の研究を行い、マムシやヤマカガシ、ハブ等の被害を減らすために活動し、時には密輸や密飼育の捜査に協力・助言を行い……。
昨年ヤマカガシに咬まれてしまった小学生の男の子のニュースがありましたが、その血清を開発・提供したのもここだとか。

そんな名前も含めて格好いい日本蛇族学術研究所ですが、ジャパンスネークセンターはゆるゆるでありながら随所にものすごくパンチが効いています。
巡った順番がちょうどゆるさとディープさを交互に味わえる構成だったので、それに従って書いていきます。

まずはゆるっと、熱帯蛇類温室です。

右手のジャングルのようなところは、ふれあい&写真コーナーです。
ケージに入ったアルビノのボールパイソンの傍らで、係員のお兄さんがのんびり本を読んでいました。
展示室にいたのはオオアナコンダやアミメニシキヘビなど、大型の種が多かったように思います。
大きなヘビは隅っこあたりで伸びていました。
7~8mくらいありそうなヘビは、もってり寝ているだけでもなかなかの迫力。
もちもちひんやりした感触は、今の季節いっしょにお昼寝したら気持ちよさそうだとずっと思っています。
いつか実現の機会がきますように……。

あとはワニガメやワニもいました。ジャパンスネークセンターですが、
最初に見たのはワニガメでした。

二階には古代の生物の模型が。
二足歩行のトカゲ、サルトポスクスのファンになりました。

続いて食堂へ。
おそらくジャパンスネークセンターで一番のディープスポットです。
手前側は学食風の食券スタイルのスペースなのですが、
奥にはちょっと高級感のある和風の空間が。
行ったことはありませんが、小料理屋の雰囲気が近いかもしれません。

この小料理屋(?)、入り口の水槽にヘビがうじゃうじゃにょろにょろしています。
これも生簀というのでしょうか。
掲げられた筆文字は「蝮料理」。
気さくなおじいちゃんがマムシを捌いて料理してくれます。
思うにこの方、ボアコンストリクターやブラックマンバ、キングコブラといった錚々たるヘビたちに勝るとも劣らない存在感を発揮していらっしゃいます。
ヘビを捌くので、ちょっと白衣に血が散っていらっしゃいます。

マムシはフルコース(ハンバーグ)と姿焼きの二種類ができるそうですが、
味がよくわかるとのおすすめをいただいて、姿焼きを注文しました。
おじいちゃんが厨房から去り、私はお姐さんが出してくださるお茶や小鉢をいただきつつ待ち……。

「じゃあ今からこいつを調理すっから!」
おじいちゃんが厨房からマムシを見せてくれます。
気づかぬうちに毒蛇が背後を通っていました。

卵を抱えたメスヘビということで、ヘビは塩、卵はタレで料理していただきました。

シャーッと毒を絞り出すところも間近で見られます。
ショットグラスに採毒されますが、飲めません。
血が滲むくらいまでグラスのふちにヘビの歯茎を押し付けるので、歯列矯正中の身としては「ああ、それ痛いよね……」と共感が湧きました。

その後、事務クリップでマムシの頭を挟み、壁に吊るし、キッチンばさみで首のあたりをショキショキと切り込み、皮を剥ぎます。
一息にきれいにむけます。
あとは魚と同じように内臓を出し、骨と身とに分け。
この時に写真を撮らせていただきましたが、まだ動いて、乗せていた大皿から落ちそうになっていました。
さすがに生々しさが過ぎるので、ここには掲載しません。身はきれいなうすピンクでした。

昔は生き血もいただけたそうなのですが、保健所からの通達により、生ものは出せなくなってしまったそうです。
「50年やってきて一度も食中毒なんか出てねえのに、何言ってんだって感じだけどよぉ」とはおじいちゃんの言です。
吸血鬼小説を書いた者として一度は生き血くらい飲んでおきたかったので、私も残念です。

おじいちゃんが奥に引っ込んで、捌きたてのヘビの調理にかかります。
香ばしくていい匂いがします。

しばらく経ってお皿が運ばれてきました。

私がイメージしていた「姿焼き」とはうっすら違っていました。
右側のミニソーセージのようなものが卵です。
あとは肝、頭(牙は抜いてあります)、胴体、尻尾。

卵と肝以外は一度素揚げしてからネギと合わせて炒めたようでした。
胴体部分は肉が少なくジャクジャクした食感で、鶏皮の唐揚げに近いような。
お酒のおつまみによさそうです。
やや肉厚のところはタレに絡めて山椒をつけてみました。
土用の丑の日には鰻の代わりに蝮を食べるのもよさそうです。

頭はほとんど骨で、ボリボリいただきます。
骨せんべいのような、食感と香ばしさを味わう食べものかと。
尻尾は不思議と胴体と味が違い、土の風味が感じられるような気がしました。

卵はぷにっとしていて、中はとろっとコクがありました。
今までに食べたものだと白レバーに似ているかもしれません。
ねっとりむにむにと、いかにも栄養がありそうです。

あらかた食べ終えたところで、「お酒飲めます?」とおじいちゃんがマムシ酒を出してくれました。
アルコール70度だそうです。
せっかくなのでいただきました。
気前よく、ウイスキーでいうところのシングルくらいを注いでくださいました。
そのまま一口、二口飲んでみたのですが、さすがにマムシの味を云々いうより先にアルコール分で喉と胸が焼けそうだったので、お冷で割りました。
最初はきつかったものの、次第に口が慣れて飲みやすくなってきます。
マムシよりは薬草の味がこっくり出ているようです。
マムシの皮のかけらも入っていたので、こっそりお酒と一緒にいただきました。もちもちしていました。

おじいちゃんも言っていたとおり、酔いは後に残らず、カーッときてサーッと醒める感じです。
薬草の後味はジャパンスネークセンターの見学を終えるくらいまで、時々ふっと上ってきました。
欲を言えば、もう少し姿焼きが残っている間にいただきたかったです。

デザートにフルーツ盛り合わせもいただきました。
ブドウやスイカは近くで採れたものだったのかもしれません。
甘くておいしかったです。
ちなみにお姐さんのおすすめはブドウ、おじいちゃんのおすすめはミニトマトでした。

日々マムシを料理しているおじいちゃん、やはり6~7回咬まれているそうです。
おそらく日本一咬まれている方ではないでしょうか……。
マムシに咬まれると咬まれたところがパンパンに腫れて壊死するとのことで、見せていただいた手は関節が強張り、爪が小さく黒く萎縮し。
50年間毒蛇を料理し続けてきたという、なんともすごい人生です。

5~ 6月にはシマヘビが旬を迎えるとのことで、またその頃にうかがいたいです。ちょうどライラックと同じ時期で覚えやすいですね。
そしておじいちゃんともっと仲良くなって、半生を聞いて本に書かせていただきたいです……!

それではヘビ料理の話が長くなりましたので、続きはまた次の記事で書きます。

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