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今日の短編小説

## 涙 座布団 枝豆

夏の夕暮れ、蒸し暑さが和らぎ始める頃、涼子は縁側に座っていた。古い家の木製の縁側には、座布団が並べられ、彼女はその一つに腰を下ろしていた。彼女の目の前には、風鈴が心地よい音を立てる。

涼子は小さな皿に盛られた枝豆を手に取る。塩味の効いた枝豆を一つずつ口に運びながら、過ぎ去った日々のことを思い出していた。祖母が元気だった頃、この縁側で一緒に座布団に腰掛け、夏の夜を楽しんだ思い出が蘇る。

「おばあちゃん、元気にしてる?」と心の中で問いかけた。祖母は去年の秋に亡くなった。涙が涼子の目に溢れ、彼女の頬を伝って落ちていった。

突然、風が強く吹き、風鈴の音が一層大きくなった。その音に混じって、涼子は祖母の優しい声を思い出した。「涼子、人生は辛い時もあるけど、必ず楽しいこともあるのよ。その瞬間を見逃さないでね。」

涼子は涙を拭い、枝豆をもう一つ手に取った。「ありがとう、おばあちゃん。」心の中でそう呟いた。彼女は祖母との思い出を胸に刻み、これからの人生を強く生きる決意を新たにした。

縁側にはまだまだ座布団が並んでいる。涼子はその一つ一つに座りながら、祖母との思い出を振り返り、枝豆を味わい続けた。風鈴の音が涼しい風と共に心を癒してくれるように感じた。

ワードは
涙、座布団、枝豆

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