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消えない「こうかい」

「企画を作ること」って、思い付いた瞬間は新種の鉱石を見つけたような夢心地で、それを具現化する過程で磨き続けていくけど、なかなか光らなかったり、変哲もない石ころだと気づいたり、やっと光ってお店に並べて、人を呼びこんでも誰も買わないまま、自分だけの思い出になることもある。
ただ、鉱石を掘り起こして見つけ続けないと、またお店に光る石で出来た商品は置けないし、お店に商品を並べないと誰にも見つけてもらえないし、手にも取ってもらえない。
たとえ買ってもらえなくても、店に商品を並べ続けること、それは開拓者や冒険者にしか出来ないことで、店で販売だけ上手な人には決して不可能なこと。

多くの冒険者は1つ目の商品が売れなくてへこたれちゃう。なんなら1つ目の石が光る前に諦めちゃうかも。

僕はありがたいことに今まで色んな種類の石を磨いて、店に置かせてもらってきた。会社が見つけた石、はたまた石の掘り方を教えてもらったり。個人的に磨きたくない石もたくさん磨いた。
でも1度だけ自分が大事に隠し持っていた石を磨いたこともある。

考えて考えて自分だけの石をめちゃくちゃ大事に磨いた。一緒に見つけたい人を探して探して、1人ずつ口説いて、口説いて、仲間になって、一緒に磨いて磨いて。
でも、磨き続けてその石を光らせて店に並べたとき、どこかで自分の中の勝負が終わってしまった感覚があった。
店に人が来ないこと、光る石がたくさん売れないことにどこか「しょうがないかも」って思ってしまっていた。
声を出して呼び込みするけど、でもどこかで諦めた自分がいた。冒険者として達成感を勝手に持って、販売員として絶対に失格だった。
石が売れなかったことよりも、諦めた自分に対しての後悔が、今でも残っている。
でも世界と繋がる大きな海に漕ぎ出せたこと、この航海自体は自分の自信にもなっている。
どちらの「こうかい」も僕の中からは消えることはない

今、磨いている、この石。
この石は厳密に言うと相棒が見つけた石だ。
相棒が手探りで磨いたり、僕が知っている磨き方を試したりしながら、2人で磨いている。
1人で磨く時よりそれはとても難しくて、うまく磨き進められなかったり、ふと知らないうちに石の形が変わっちゃってたり。
でも、だからこそ、1人で磨いていないからこそ、1人で出来ないことが出来るのかもしれない。今は、それはまだわからない。だけど、今は2人で石を磨き続けて、とにかく店に並べるしかない。店に並べたら法被を着て声が枯れるまで叫ぶしかない。
何はともあれ、自分が、自分たちが信じた石をちょっとずつでも磨き進まないと、原石は原石のまんまだ。

とにかく磨き続けなきゃ。

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