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20191122

行ってきた。折坂悠太、最近なかなか観に行けていなかったので、めちゃくちゃ楽しみにしていた。一言でいえば、最高。出てくる人出てくる人、みな異常に声がいい。最近のロックバンドは大半が中性的というか、甲高い声のボーカルばかりで正直うんざりするようなところがある。しかし今日の演者は低音の美しい声の人たちばかりだ。こうしてじっくり聴くとわかるが、低音のなかには実に豊穣な響きがある。だからのろしレコードの三人のコーラスワークは本当に素晴らしかった。butajiもやはり一人の声の中に含まれている響きが豊かで、折坂とのコーラスはそれだけですさまじい多幸感がある。

折坂悠太はだみ声、だみ声がまた一段とよくなっていて興奮してしまった。いいですね、素晴らしい。彼はかなりいろんな歌唱法を織り交ぜて歌うけど、やはりだみ声の魅力をよく理解している歌手だなと思う。特に喉歌的な倍音歌唱が聴くたびにうまくなっていて、最高。素晴らしい。それをもっと聴かせてくれ。

語りと歌が分かちがたく結びついている。そういったスタイルの歌手をたくさん聴くわけではないのだが、懐かしいと感じる。そしてそれはこれからもなくならないだろうと思う。むしろまた増えるのかもしれない。

それにしても、ガットギター一本の表現力の凄まじさよ。O合奏もめちゃくちゃいいが、弾き語りの世界観の解像度はまったくそれに劣ってはいない。声ひとつ、ギター一本で成立する強度を思う。

ゲストは青葉市子、のろしレコード(松井文、夜久一)、butaji、イ・ラン。のろしレコードは二曲、それ以外は一曲ずつだったが、やはりもっと聴きたいと思ってしまう。青葉市子との「百合の巣」では声の響きだけで掛け合いを混ぜているのが印象的だった。のろしレコードでは二人はアコギを持ち、折坂はフラットバックのマンドリンを持つ。アコギを使うのはこの二人とbutajiだけなので、かえってアコギの音がいつもと違って聴こえる。

イ・ランとは「調律」を歌う。韓国の音楽はたまによくわからずパンソリを聴くくらいでまったく知らないんだけど、これはとてもいい曲だ。生で聴けてとてもうれしかった。そしてイ・ランさん、カッコよくてかわいい。

ライティングもほぼ演者を囲むように立っている3,4本の照明がメインで非常に抑制が効いていて、幻灯機をのぞき込んでいるような感覚があった。900人規模のホールの客席との距離感を縮めていた。暗いので目は疲れたが。

「また会いましょう」と言って本編ラストにやった曲が「さびしさ」なのが、余韻を残してとてもよかった。

ライブ盤を出してほしいライブだった。ツーマンツアーを通してそれぞれの対バン相手と育ててきた曲があり、それをひとつのアルバムとして聴けたらと思う。


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