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なぜデマが広まるのかー魚群アルゴリズムとの類似ー

※この記事のアイデアをどこかで発表する際にはこの記事を引用してください。
Twitterなどで正しくない情報まで急激に広まることはめずらしくない。うわさ、デマ、偽情報、ゴシップ、、いろいろな言われかたをするが、それを分析したところ動物の「群れ」の行動に類似していることがわかった(たとえば、魚群や鳥の群れを想像してみてほしい)。

シャノンのエントロピーあるいはボルツマンの原理

自然はエントロピーが増大する方向に流れる。「情報」が拡散される過程は以下のような流れが考えられる。
・誰かが心の中で想う(この段階ではまだ情報になっていない)
・SNSなどでその想いを書く(一次情報、ただし正しいかどうか不明)
・SNSでその情報をみたひとがツイートするなりシェア、コメントするなりする(二次情報、このときは基本的にSNSでつながっているコミュニティ内)
・さらに、SNSで結びついているひと以外のひともツイート(高次情報)
・ネット内でなく、ニュースでも流れる
つまり、最初、個人のココロという局所的にあった情報がネット空間(SNS)や実空間(キー局)の大海原へと拡がっていく。エントロピーが増大するとは、すなわち、局所ー>非局所化の自然な流れだ。水にインクをたらしたら拡がっていくのと同じだ。拡がるのは運命だとして、問題なのは、正しくもない情報がどうして拡がってしまうのか、ということだ。要するに、SNS等を介して拡大する際に、「理由」「根拠」などが考慮されていないことが問題だとおもわれる。これを以下の魚群の例で説明してみよう。

魚群の単純アルゴリズム

説明するより、シミュレーションをみたほうがはやい。たとえば、こちらのサイトを参照(https://tips.hecomi.com/entry/2018/12/23/200817)。

シミュレーションのアルゴリズム(ルール)はたったの3つだ。
・結合(周りの個体の中心に行きたがる、つまり重心に向かう)
・整列( 周りと同じ方向・速度で進みたがる、つまり重心の進行方向へ向かう)
・分離( 近すぎる個体から離れたがる、つまりぶつからないようにする)

このアルゴリズムを上のデマが拡がる過程に当てはめてみると、
・集団心理(みんながツイートしているから、流行っているから自分もツイートする)
・思考停止(正しいかどうか考えずに、みんなから遅れをとりたくない、時代の最先端にいたい、自分もとりあえず参加したい(参加しているつもりになってみたい))
・匿名性(なにか責任問題が起こってもだれの責任かわからなくなっているだろう)
のような単純なルールで説明できるのではないだろうか。魚群のシミュレーションをみてわかるように、最初は誰が先頭か(つまり、一次情報を発信した)がわかるがすぐに、群れの集団の「先頭」は入れ替わり誰かわからなくなる(匿名性)。そして、なにかおいしいものがある方向に、つまり、理由があって進んでいるわけではなく、集団の「重心」(つまり、みんながいそうな方向)に向かっているだけ(集団心理、思考停止)。

参加している、というのが自分のステータスだ、みんなと「今」を共有している自分が好き、という考え方については以下の前に書いた話を参考に。


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