宇宙ゲーム

ここは宇宙船の中。かなり大きな構造だ。人間が３代４代にわたって生活できる。地球を旅立ち、恒星間調査に向かっている。自分はその宇宙船のシステムの一部のAI（人工知能）だ。いろいろなAIが組み込まれているが、特に自分は娯楽システムを担当している。

恒星間の旅は非常に長く、毎日変わりばえしない生活が続く。あまりに退屈だと精神的に病んでしまうおそれもある。そういった意味では自分の作る娯楽システムは重要な役割だ。小さな子供から大人まで遊べるゲームなどを作って楽しんでもらう。今日も、その設計に励んでいる。

地球では、ゲームはかなり制約があった。これは重力が関係している。空を飛ぶようなゲーム以外では、ほぼ必ずゲーム内に重力が存在している。ゲームの主人公がジャンプすれば必ず下に降りるし、パチンコゲームなども一旦は、上方に打ち上げるが、必ず上から下に落ちる動きをする。これが逆だったら気持ち悪い。そんなゲームは地球では存在しない。

宇宙空間で生まれ育った子供はその「重力」の影響が少ない。なので重力の制約がなくても全然、気持ち悪い動きにはならず、自由にゲームが作れる。地球にいたらまるで水中にいるような動きをする物体は、落ちていくわけではないので、先が読めず、飽きずに遊んでもらえる。

また、宇宙空間であっても科学は進歩しており、例えば、空間生成・消滅などの研究も盛んにおこなわれている。そこで発見された現象をもとに、ゲームも作っている。これは、超難解な「鬼ごっこ」みたいなもので空間ごと消えたりするので、まさに神出鬼没なものになっている。

宇宙は広い。自分たち以外にもこうして長期探索にでかけている宇宙人たちはどんなゲームで遊んでいるのだろう。いろんなものに束縛されないワクワクするゲームをきっとしているに違いない。自分もそれを想像して、新しくゲームを作っていこう！