ちぐはぐな会話#2
光あれ
「なあ、宇宙ってなにから始まったのかな~」
「光あれ」
「でも、”光あれ”ってしゃべれたんなら言葉が最初にあったんじゃないの」
「・・・」
光あれ2
「光あれ」
「言葉が最初に、、、」
「しゃべれるなら、そのしゃべってる存在のほうが先にあるよね。しかも、宇宙がまだないのに、その存在はすでに存在してた、ということだね。」
「テグマーク流にいえば、その原始の存在が”数学的構造”ということかもね。」
※マックス・テグマーク:理論物理学者
光あれ3
「なあ、宇宙ってなにから始まったのかな~」
「ビックバンとかインフレーション宇宙とかいわれてるね。」
「でも、それもなにかの原因で始まったんだよね、その原因のほうが先にあったということだよね。」
「ビレンケン流にいえば、”真の無”の状態(虚時間が流れているだけ、時空がない)”からトンネル効果で始まったらしいよ。」
※アレックス・ビレンケン:理論物理学者
光あれ4
「なあ、宇宙ってなにから始まったのかな~」
「オレたちがいるこの宇宙は誰かがシミュレーションしているだけのゲームの世界らしいよ。」
「え?!」
光あれ5
「なあ、宇宙ってなにから始まったのかな~」
「”無”から始まってどんどんひろがっているらしいよ。」
「宇宙の外には何もないんだろ?じゃあ、どうやって宇宙はひろがっているのかな。」
「空間自体を生成しながらひろがっているんじゃないの。」
「そっかー。光が宇宙の外の境界めざして進んでいるとき、まだ空間ができていなければ進めないことになる。つまり、”空間生成”は光より先まわりして空間を準備しておく必要がある。なので、準備するためには光より速い速度でひろがらなくてはいけない。これは矛盾では?光速は超えられないんだろ?」
「空間がひろがる速度は光速を超えてもいいんだってよ」
光あれ6
「宇宙って最初はものすごく小さな空間(プランク長)にあったんだろ?」
「そうだね、あった、といっても量子力学が成立するぐらい小さいから、なんか雲みたいな実体がない存在だったはず。」
「波動関数のはじっこって、境界条件で決定されるよね。宇宙の最初はちいさなちいさな空間でその外にはなにもない、のだから波動関数の存在確率は境界では完全に”ゼロ”になっているはずだね。」
「まあそうだね。」
「そう考えると、原始宇宙の中からみて、はじっこの境界には何も存在していないことになる。境界には何もないのに、どうやって空間がひろがったり、物質が外に向かってひろがることができた(インフレーション宇宙)のか。波うち際(ぎわ)でたとえると、波が打ち寄せて砂浜をどんどん濡らしていけるのは、砂浜がすでにそこに存在しているからだ。砂浜がなく(境界の外は何もない)、波が打ち寄せて到達できる限界のところでは、波もなくなる。波がないのに、どうやってそれ以上砂浜のほうに向かっていけるのか?空間自体も波動関数で記述できたとすると、空間の境界では空間の存在確率もゼロのはず。ひろがることができず、小さいままとどまるのでは。」
※カルロ・ロベッリ:ループ量子重力理論
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