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6歳の子供に説明できなければ、理解したとはいえない#13「宝くじと量子力学」

宝くじ。例えば、1等が10本あり、1億枚くじが売れたとする。そうすると確率的には1000万人に一人が1等に当選することになる。大ざっぱにいうと、神奈川県でたった一人にしか当たらないということになる。買った本人からすると、まあ当たらない、当たるわけがない、と思ってしまうのも無理はない。が、当たるわけがない、と全員が思っていても誰かには当たるのだ。つまり、”起こり得ることは起こる”、どんなに確率が低かろうが、起こってしまう。

一方、量子力学。その解は確率分布になっている。何回も試行すればその確率分布に従うような結果が得られる。1回だけの実験については量子力学は何も語らない。宝くじの例だと、一人が1枚だけくじを買って、はずれたからといって、当たる確率がゼロだ、という結論にはならず、1000万人単位の人がくじを買って、その中で何人が当たったか、を調べなければ当選確率という数字を語ることはできない。

いきなりだが結論からいうと、”宝くじを買えば、どこかの宇宙ではくじに当たった自分が存在する”のではないだろうか?その確率がどんなに小さくても。

再び、量子力学の話に戻る。1回だけの実験結果について、それ自体の精度や解の答え合わせができるわけではないだろう。しかし、結果は結果だ。その実験をした宇宙ではそれが結果だ、実在だ。その瞬間死んでしまえばその結果を抱えたまま死ぬことになり、それ以外については何も知り得ない。その人の宇宙で起こった結果はその事象だけであり、それがすべてだ。じゃあ、量子力学が導き出す確率分布という解はいったい、どの宇宙の話なのか?同時に存在する多重宇宙があり、その多重宇宙全体の実験結果をまとめると、量子力学の解の確率分布になる、としか解釈できないのではないだろうか。Aという結果を得た自分もいるし、Bという結果を得た自分もいる。その他、大勢の自分がいろいろな実験結果を得ており、それらの実験結果を全部考慮すると正しい確率分布になる、という考え方だ。
これを宝くじで例えれば、はずれを引いた自分もいるし、ものすごい小さい確率だが、当たって大喜びしている自分もどこかの宇宙にはいる、ということになる。

この文章を読んで”ああ、なるほど”と、うなづくあなたもいれば、読まずにそういった考え方を知らずに死んでいくあなたもいる。宇宙は広大だ。

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