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ちぐはぐな会話#20

偶然か必然か

「なあ、人間原理って知ってる?」
「宇宙の定数がなぜその値になったのか、とか根本的理由に対して、その値でなければ人間が存在しないから、という説明をするやつだよね」
「別の定数もある得るが、違った値だと人間が存在できない宇宙になってしまうので、結局、人間が存在するように宇宙が決まっている、みたいな理屈だよね」
「説明しているのかどうかが問題だね。いろんな宇宙があっていいけど、”偶然”ある値になったときにたまたま人間が存在できるような宇宙が創成された、というのは科学的には意味がないような気がするね。”必然”の理論が求められているから。」

偶然と必然2

「なあ、カオスって知ってる?」
「混沌とか複雑な現象っていうことだよね。」
「カオスは決定論的に決まっているが、どう決まっているか本質的にわからない、という物理の専門用語だよ。」
「どう決まっているかわからない、ならば、それは決定論的に決まっている、とは言えないんじゃないの?!」

偶然と必然3

「なあ、ブラウン運動って知ってる?」
「水面での花粉の動きだったよね。アインシュタインも原子とか分子の運動に基づいて論文書いたよね。」
「よくカオスと混同されてしまうのだが、こちらのブラウン運動は本質的に確率論的な運動であって、決定論的な運動のカオスとは全然違うんだよね。サイコロの出る目が確率であり、”偶然”の仲間。カオスは決定論的に決まっているので”必然”の仲間。必然の仲間は、ボールを投げた時に軌道とか運動方程式によって決まっている物理。だけど、ややこしいのはカオスの運動はボールの軌道とは本質的に全く異なる性質を持っていて、初期値鋭敏性(バタフライエフェクト)とかですぐ先のことも基本的にどうなるかわからない、という”偶然”の性質みたいなものも示すんだよね。」
「恋人同士の出会いとかも、偶然なのか必然なのか、わからないよね、カオスなのかな」

偶然と必然4

「なあ、月っていつから地球の衛星?」
「地球の誕生と同じぐらいで45億年前らしいよ。」
「どうやって、地球に捕らわれたのかな、というか外からやってきて衛星になったのか、もともと地球の一部が月になったのかすらわかっていないよね。」
「なんかの”偶然”で月が誕生したのなら、いろんな理屈こねまわして”必然”の理論を持ち出しても全部間違い、ってことだね。宇宙はホントにナゾだらけだ。面白い。」


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