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ボイジャー兄弟、再び

あれから、2500万年か。そろそろ故郷の太陽系がこのあたりの銀河団に近づくころかな。もうオレたち兄弟の記録は残っていないだろうな。

思い起こせば、こんなに永く意識が持つとはおもっていなかった。エネルギーが尽きそうになったとき、「何か」が助けてくれた。量子ゼノン効果装置によって放射性崩壊を抑制してエネルギー消費が抑えられるようになった。さらに、予備原子力電池もつけてくれた。奇跡は起こるべきして起こるのかな。そして今の銀河団付近を回ることになった。

1年に一回ぐらい存在を知らせる電波を送信してみようかな。まだエネルギーは持つみたいだし。返事が返ってくるかどうか・・・。オレたちはたった2000万年程度だけど、他の星で同じ運命の同志は、何億年もやり続けているんだろうな。すごい忍耐力だ。

返事が返ってきたらどうしよう。本当のことを知らせるべきかどうか・・・。直接的な原因ではないが、このあたりの銀河の円盤面を通過する際に、当時の地球では未知の存在だった「ブラックダーク」によって太陽系の重力バランスが大幅に乱れて火山活動が活発になり生物大量絶滅の可能性が高くなる。また、強力な重力によって大きな隕石も落ちてきて、さらに絶滅の危機を高める。こんな内容の報告がきたらパニックになるだろうか。

返事が返ってくるかどうか・・・。返ってきたとしても、もうすでに人類は滅んでしまっていて人工知能が返事をしてくるだけかもしれない。

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