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PMとUXデザイナーのグラデーション

プロダクトマネージャーとUXデザイナーの仕事は線引をすることが難しく、正解はないと思っています。プロダクトマネージャーがワイヤーを引くところまで担当する現場もあれば、アウトカムからアウトプットまで一貫してUXデザイナーが担当する現場もあり、様々なグラデーションが存在しています。そのグラデーションの具体⇔抽象のサンプルを作成しましたので、協業時のたたき台にご利用いただけますと幸いです。

例とするグラデーション

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フードデリバリープロダクトを例にして、「売上を上げる」という最終的な目標を達成するために「スタンプカード」という機能を実装する間のユーザー体験のグラデーションを取り上げます。

① プロダクト指標を決める

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売上を上げるための戦略が必要です。高級料理に特化するならプロダクト指標として単価を持つこともあるでしょう。今回の施策がプロダクト指標のどこに貢献するものであるのかを定めることが1つ目のステップです。

◆ 役割のグラデーション
ここはプロダクトマネージャーとUXデザイナーのグラデーションでいうと、プロダクトマネージャーの色が濃い領域です。

◆ このときの成果物例
North Star MetricやKPIツリー。
※ 詳細は、本題から外れるので別noteをご覧ください: プロダクト指標の作り方

② ユーザー価値の仮説を立てる

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注文数を上げるために、ユーザーにどんな価値を提案することで行動を変えるのかを定めます。ここでは「連続して毎日利用することでインセンティブを得ることができる」というゲインによって、利用頻度を上げることで注文数を増やすというアイデアを挙げました。

◆ 役割のグラデーション
この領域はUXリサーチャーが調査により仮説を立てることも多くあります。プロダクトマネージャーが「利用頻度を上げる」という目標指標をもち、逆算して解決策をUXデザイナーとともにアイディエーションすることもあります。

◆ このときの成果物例
バリュープロポジションキャンバスや現状のカスタマージャーニー。ターゲットユーザー。
ユーザーはどんなときにどんな課題を感じているのか、そしてその課題に対してどのような方向性の価値を提案することができるのかの組み合わせ。

③ 価値を実現するジャーニー

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「では、その価値はプロダクト上でどんな体験として提案することができるのか?」をもう一段階解像度を上げて考えるフェーズが来ます。インセンティブは「次回使える100円クーポン」であるのか「現金同様に使える100pt」なのか「スタンプカード」であるのか解像度を上げていきます。

◆ 役割のグラデーション
この領域が最もプロダクトマネージャーとUXデザイナーのどちらがボールを持つのか、企業文化やプロダクト特性、そして時と場合によって曖昧になっている印象があります。

◆ このときの成果物例
この解決策がリリース後に理想とするカスタマージャーニー。

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④ ジャーニーを実現するワイヤーフレーム

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カスタマージャーニーをアプリであれば画面に落とす作業です。どの順番にユーザーが情報を得て、操作をするのか、スタンプカードの画面遷移を定めます。

◆ 役割のグラデーション
ここをプロダクトマネージャーが担う場合には、画面の要素を作り込まずにおおよそのフローをUXデザイナーに伝達することを目標に実施して、最終的にはUXデザイナーがワイヤーフレームを書き直すのが良いのではないでしょうか。

◆ このときの成果物例
どこの画面にどんな要素があって、どう遷移するのかが分かるワイヤーフレーム。

🤔 どうしてこの言語化をしたのか

下図のような「注文数をあげるためにスタンプカードをやります」といったプロダクト開発が多く、スタンプカードの実装によりどんな状態を作ることで注文数が上がるのか?の道筋の設計にお困りのプロダクトを多く見かけます。

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この状況では、UXデザイナーのゴールは「良いスタンプカードのユーザー体験をつくる」となり、チーム内で「良さとはなにか?」の歩み寄りが必要になります。その道筋の可視化と、どこまでを誰が考えるのかの議論の解像度を上げたくて書いてみました。このnoteには、プロダクトマネージャーがどこまでやるべきだとか、UXデザイナーがどこまでの担うべきだ、といった主張は一切含まれません。

おまけ: 取り上げたフレームワーク

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以上です。プロダクトマネージャーとUXデザイナーの線引・協業についてぜひ皆様の知見も教えて下さい。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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